二十八話
ホテル
GATEが諦めてくれたお陰でホテルにまで逃げ帰れたメア達はホッと安心をしていた。
「それにしても聖騎士アリシアがあのような姿になっているとは・・・」
「この世界でのアリシアの事知っていたのですね」
「はい、他の国の事を知る事も教師として必要ですから」
「お前らしく真面目に働いてんだな」
「当然です」
グレイは思う彼はこの大学で良い教師をしているのだろうと。その理由は近くの机の上に置いてあるノートに受け持つ生徒達について詳しく記した項目があったからだ。
「そして君達はやはり彼女を取り戻そうとしているのですね」
「うん、今回もアリシアを取り戻して見せるつもりだよー!」
シメラはアリシアを取り戻す!とガッツポーズする。
「ふふ、君達らしいです、しかし私は一緒に行けません・・・、教師としての仕事があるので・・・」
「それは大丈夫だよ、ウォーリー、私達がここに来たのはあなたの記憶を戻す為だから、だからDIVAとの決戦の時合流してくれればそれで構わないよ」
「そうですか・・・、しかし仲間として何もしないと言うのは気が引けます、何か手伝える事はありませんか?」
何か手伝える事がないか聞いて来るウォーリー、メアはならばと口を開く。
「ウォーリーさん、とにかくです、とにかく強力な魔力を含んだ鉱石や剣を探してくれませんか?」
「構いませんが、何故?」
「私達は切り札として恥ずかしながらアリシアに壊されてしまった時渡りの書をもう一度作ろうとしています、それを作るためには強力な魔力を含んだ素材が必要なのです」
「君達がここにいる理由は僕だけじゃないと思っていましたが、合点が行きました」
ウォーリーが合点が行った事は先程GATEが消滅させた剣の事だ。
「はい・・・、残念ながらアリシアが消してしまいました、そして・・・この後もアリシアは邪魔をして来る筈です、それでも私達はなんとか彼女から逃げ果せて、切り札を作り上げて見せるつもりです」
「君達らしい、良いでしょう、僕が素材候補を探しましょう、幸いこの大学には大図書館がある、そこなら素材について記した本もあるはずです」
「頼むね」
愛理はウォーリーの手をギュッと握る。狐耳が付いた美女である愛理にいきなり手を持たれたウォーリーは照れた様子で頬を赤くし。メアはそれを見て頬を膨らませた。
「愛理さんが結婚してて良かったなーメア、イテテテテ!」
「フン、余計な事言うからです」
ふざけるシールスにお仕置きしそっぽを向いたメアは夫婦が窓の外を見ているのに気付き近付く。
「お二人共どうかされましたか?」
「・・・感じるだろ?メア、アリシアの魔力がこの街から離れていないんだ」
「えっ?」
GATEは自分達を見失ったのならばこの街から離れているだろうと思っていたメアはGATEの魔力を追うのをやめていた。オーグルの言葉を聞いたメアは目を閉じで魔力を探り確かにGATEの魔力がこの街にあるのを感じた。
「確かに・・・、あの剣を壊した今、この街にいる必要はない筈・・・、一体何をしているのでしょう?」
「さぁ?でもあの子もこの街での目的は終えている、なら今は悪さをしない筈よ」
「・・・何にせよ近付いてみようぜ」
GATEを取り戻せるチャンスを一つでも無駄にするつもりはないグレイは仲間達にGATEに近付いてみようと言う。
「勿論です、でも少数の方が良い、オーグルさんアイリスさんそれにグレイ、私と一緒に来て下さい」
「分かった」
「良い結果を待っていますわ」
「おう」
アイリーン達に送り出されるメア達は部屋から出てGATEがいる位置を探りながら街を歩く。
GATEとマイナスが泊まる部屋
この街でも最高級と言えるホテルのとある部屋にGATEとマイナスはいた。やたらと豪華な洋室で湯を浴びたGATEは服を着ずにベッドに寝転がり眠っている。
「あら、もう眠ってしまっているのですか」
風呂上がりに姉と内緒で買っておいたケーキを一緒に食べようと思っていたマイナスはGATEが眠っているのを見て残念そうにすると椅子に座り魔法で濡れた髪を乾かし始める。
「先程食事をしている時に気に入った杖を見つけたとお姉様は仰っていましたけど、見せてくれなかったんですよね・・・、どんな杖をお姉様は選んだのでしょうか」
髪を乾かし終えたマイナスはGATEが選んだ杖を空想し始める。
「お姉様の事ですから絶対に色は黒です、デザインはシンプルですかね・・・」
うむむと姉が選んだ杖の姿を考えるマイナスは何者かの気配をドアの前に感じ机の上に置いているビームサーベルを手に取ろうとするが、その前に背後から羽交い締めにされた。
「オリジナルですか、ベランダから入ったのですね」
「はい、開いていてくれて助かりました、お陰であなたを拘束出来たので」
「出来ればそのまま大人しくしててくれよな?、俺達はシアと話をしに来たんだ」
「危害は加えないと約束する」
「なら離して下さい」
「それは無理です、あなたは私達にとって脅威ですから」
チッとマイナスは舌打ちをする。油断しまんまと拘束された自分が腹立たしくなったのだ。その結果敵であるメア達にとって優位な交渉をされている。マイナスはそれが悔しかった。
「・・・煩いわね、折角気持ち良く眠っていたのに」
その時だ、GATEが目を覚まし目を擦りながら身を起こした。同時に少女の美しい裸体がメア達に晒される。
「あら?レイ君、私に開いに来てくれたの?」
グレイの顔を見たGATEは首を傾げ自分に会いに来てくれたのか聞く。
「今日はお前と話に来た」
「ふぅん?、それだけで良いの?、私はそれ以外もあなたとしたいなぁ」
そう言うとGATEは己の腹辺りに手を触れ徐々に上に向けて体をなぞり手が胸に到達すると胸を持ち上げグレイを誘惑した。オーグルとグレイはそれを見て慌ててGATEから目を逸らした。
「はしたないわよ、アリシア」
娘の淫らな仕草を見たアイリスがはしたないと言う。
「赤の他人であるあなたに指図される謂れはないわ」
GATEはアイリスの発言を断ち切ると立ち上がりグレイに近付いて抱き着き彼の体に胸を押し付けた。
「話なんてする必要はないわ?レイ君、そんな事よりも今日も私を抱いて?、私を気持ち良くして?」
「・・・断る」
グレイは抱き着いているGATEを突き放しGATEから離れた。
「今日の君はつまらないわ、この前はあれだけ私を気持ち良くしてくれたのに・・・」
グレイに突き放されたGATEは拗ねた様子を見せる。
「それで?、敵であるあなた達が私とどんな話をしたいのかしら?」
グレイに断られ一気に機嫌を悪くしたGATEはドスンとベッドに座り足を組むと彼女達が自分とどんな話をしたいのかを聞く。
「私達があなたと話したい事なんて一つだけに決まっているわ」
「フン、帰って来いって?」
「そうよ」
「そうだと思った、何度も言ってる気がするけど私はお父様の娘、私の居場所はお父様の隣なの、あなた達の元に帰るつもりはないわ、そしてこれから先お父様を脅かそうとしないのなら見逃してあげる、でもお父様を脅かそうとあなた達が動くのならば、私は徹底的にあなた達の邪魔をするわ、その結果あなた達が私の手にかかり死んだとしてもあなた達が悪い、私はお父様を脅かさないのなら見逃してあげると警告したのだから」
GATEはそう言うと手を拡げニヤリと微笑んだ。これから自信が言う問いに彼等が何と答えるのかGATEは既に予想しているのだ。その為笑みを浮かべずにはいられない。
「さぁ?選ばせてあげる、私達を倒すのを諦める?それとも私達と戦う?、選びなさい」
「決まっている、俺達はお前達と戦う、そしてお前を取り戻す!」
「あははは!、そうよね!それでこそよ!オーグル!」
思い通りの選択をしたオーグルを見てGATEは楽しげに笑う。
「ふふっこれからたっぷりとあなた達を苦しめてあげるわ?、楽しみにしていなさいね?」
右の人差し指を顎先に触れさせ左手で胸を持ち上げる格好となったGATEは冷たい瞳で彼等を見下しながらたっぷりと苦しめてやると言った。
「お前を簡単に取り戻せるとは思っていねーよ、だからちょっと苦しむくらいは覚悟してるさ」
「そうです、全て覚悟の上で私達はあなたと向き合います!」
「その余裕がいつまで続くのか見ものね、それじゃこれで話はおしまい、マイナスを離してあげてくれないかしら?」
「そうですね、話が終わったのならば」
メアはマイナスを離す。その瞬間マイナスは机の上のビームサーベルを手に取り拘束と言う屈辱を自分に与えたメアに向けて剣を振るう。
「マイナス?」
それを見たGATEはいつもマイナスに掛けている優しげな声色ではなく、グレイ達も身を震わせる程の冷たい声色でマイナスの名を呼んだ。姉の冷たすぎる声を聞いたマイナスはビクリと身を震わせ静止する。
「私言ったわよね?、おしまいって」
「は、はい・・・確かにお姉様はそう言いました・・・」
マイナスの身は震えている。上位種の怒りが自分に向けられている事がとにかく恐ろしいのだ。
「なら何故メアを殺そうとしたの?」
「この女に拘束をされたのが屈辱だったのです・・・、だから手を出してしまいました・・・」
「ふぅ・・・、仕方のない子ね」
GATEはため息を吐くと立ち上がりマイナスに近付く。マイナスは目を閉じるがGATEはマイナスには何もしなかった。
「ぐぅ!?」
マイナスの隣を通り過ぎたGATEはメアの腹に蹴りを叩き込んだ。いきなり蹴られたメアは腹を抑えて床に蹲る。
「あはっいい声、・・・、私が代わりにあなたの屈辱を晴らしてあげたわ、これで気は済んだよね?」
振り上げた足を下ろしたGATEはマイナスの方に顔を向けるとニコリと微笑み気は済んだか?と聞く。
「はい!、ありがとうございます!、お姉様!」
マイナスは自分の代わりにメアを攻撃してくれた姉に嬉しそうに礼を言い抱き着いた。GATEは冷たい顔から優しげな顔になると妹の背中を優しく撫でる。
「良いのよ?可愛い妹の為ですもの、ただあなたは少し血の気が濃すぎるわ?、ずっと私の可愛い妹でいたいのなら抑えれるようになりなさい、前も言ったけど私はあなたを気に入っている、だからつまらない事であなたを殺したくはないの」
「善処します・・・」
「さぁ?、あなた達も帰りなさい?、もうここに用はないでしょう?、私達は明日海で遊ぶ予定なの、これ以上あなた達に付き合って睡眠時間を潰すつもりはないわ、あっレイ君は残ってくれても良いわよ?」
「断る」
「あら、残念」
帰れと言われたグレイ達は腹を蹴られてフラつくメアを庇いながら部屋から出て行く。アイリスだけは突然振り返るとGATEに近付き、GATEを抱きしめた。
「何のつもり?」
「なんでも?、ただあなたを抱きしめたかっただけ」
「フン、これになんの価値があるのか分からないわね」
「・・・本当に変わってしまったのね、アリシア・・・」
娘の言葉を聞き悲しそうな表情を見せたアイリスはGATEに背を向けると去って行った。
「はぁ・・・、無駄な時間だったわ、それにお腹も空いた、何かないかしら?マイナス?」
メア達の背中を見送ったGATEはため息を吐くとマイナスに何か食べれるものはないか聞く。
「ケーキがありますよ!」
姉とケーキを食べるチャンスと喜ぶマイナスは嬉々としてケーキがあると言う。
「良いわね、紅茶を用意してくれる?」
「はい!」
GATEは妹に向けて優しく微笑むと紅茶を用意してくれと頼む。マイナスは大きな声で返事をしてから頷くと紅茶の用意を始める。
「出来ました!」
暫くしてマイナスは裸のまま椅子に座る姉の前に紅茶を置く。GATEはティーカップを手に取ると一口啜る。
「美味しい」
「えへへ、お姉様に喜んでもらえて光栄です!、ささっ、ケーキを食べましょう!」
マイナスはそう言うとケーキが入った箱を取り出し中の二つのチョコケーキを自分の前とGATEの前に置く。
GATEはマイナスが買ったケーキを機嫌良さそうに食べ。マイナスと共にベッドに寝転ぶと暫く話をしてから眠りに就いた。
GATEは自分の裸にかなり自信を持っています。なので服がすぐそばになかったりそもそも無い場合は堂々と晒します。ジロジロと見られてもフフンどうだ?見ろ!と胸を張ります。




