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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第一部三章、アリシアのファントム
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六話

アリシアとメアの部屋


パーティの日の翌日、アリシアはベッドの上で・・・。


「えへへ〜」


前日メッシュにドレス姿を褒めてもらった事を思い出しニヤケていた。


「気持ち悪いですよ、アリシア」


「だってぇ、嬉しいんだも〜ん」


好きだと思う相手に自分を褒めてもらえたのだ、アリシアはメアに気持ち悪いと言われても気にしない。


「ふふふ、でも昨日のあなたはよく頑張ってました、アンナさんの邪魔さえ入らなかったら告白まで行けそうでしたのに・・・」


「それは無理だと思います」


「そうですか?、勢いありましたよ」


「無理ッス」


「はぁ・・・」


いつまでもニヤケているわけにもいかないのでアリシアは起き上がり服を着替えガンブレードを腰に装着する。


「おっ、仕事ですね」


「おう、行こうじゃないか」


「はい!」


メアもエナジーライフルを背負い、二人は部屋を後にする。



エンジェルズロビー


ロビーに来るとメッシュが居た、先程はニヤケていたのに顔を見た途端に恥ずかしくなったらしいアリシアはメアの後ろに隠れメアの服を掴む。


「ようメアにアリシア、アリシア?何隠れてんだ?」


「別に?何も」


「ぷっ、ふふ」


「なら出てこいよ」


「ここで良いの、今日はメアの後ろに隠れたい気分なの」


「なんだそれ・・・」


しかしここでメアの悪戯心が発動した、スッと動きアリシアから離れたのだ、隠れる場所が無くなったアリシアは頬を赤く染めアワアワする。


「メアのいじわるぅ!」


「何のことですぅ?」


「ッー!」


「メアの言う通りだぞ?、どうした?」


「何でもないっ!」


そう言ってカウンターに近付くアリシア、そんな彼女を見つめるメッシュは女心ってのは分からんと首をかしげるのだった。




国道十二号線


今回受けた任務はファイヤーカメールの討伐任務だ、ファイヤーカメールは稀にフドーンフォールからこのオルビアの町近くに迷い込んで来る魔物で、口から火を噴くと言う特性上、この緑の多いオルビアの町周辺で見かけたら、火を付け大火事になる事が予想される為、即討伐すべき魔物なのである。


「広〜い平原気持ち良い〜な〜」


いつの間にかついて来ていたシメラが楽しそうに歌を歌う、のんびりとしたその歌を聴いているとポカポカした陽気である事もあり眠くなって来る。


「シメラさーん、そっちは川でーす!」


「おっ?、ありがと〜メアちゃ〜ん」


「そそっかしいんだから下を見て歩いて・・・」


「は〜い」


メアとアリシアの注意を聞き今度は下を見ながら歩くシメラ、前方の木に気付いていない。


「前見て!、木!」


「おお?、ありがと〜、アリシアちゃ〜ん」


「全く・・・」


「今のシメラさんと戦闘の時のシメラさんが同じ人とは思えませんよね」


「確かに」


そう言ってアリシアとメアがシメラを見ると、目の前を通り過ぎた蝶を追いかけ始め、徐々にアリシア達から離れ始めている、二人はそんな彼女を慌てて連れ戻すのだった。



ファイヤーカメール目撃地


「ここね」


「はい、でもいませんね」


「探知してみよ〜」


「お願い」


シメラが探知魔法を発動させた、ピコーンと矢印マークが現れ、地面の足跡を指した。


「これを辿れって事か」


「そうみたい〜」


アリシア達はファイヤーカメールの足跡を辿り進む、すると森の中に足跡は続いているのが分かった。


「マズいわよね・・・」


「はい・・・、森に火を付けたら大惨事です」


「いそご〜」


「ええ!」


アリシア達は足跡を引き続き辿りつつ森の中を走る、そして森の中央にまでやって来ると広場に行き当たり、そこには沢山の果物の木、そして沢山の亀、ファイヤーカメール達がいた。


「はっは!、見つけたヨォ!、喰らええぇ!」


シメラはファイヤーカメールを見つけるなり、水属性の魔法ウォーターボムを放った、一応森に害の少ない水属性の魔法である為、周りに配慮はしているらしい。


「いきなりね!、でも水属性なら丁度いい!」


ガンブレードを引き抜いたアリシアは駆け出す、その瞬間ウォーターボムが炸裂し、油断していた七匹いたファイヤーカメール達は皆吹っ飛び、ひっくり返って落ちる、電気に感電しないと言うライジングスタイル使い特有の特異体質を持つアリシアは、ファイヤーカメール達の中心でその身からバチバチと電気を放った。


「「ギイェェェェ!」」


水に濡れていた為、ファイヤーカメール達は感電する、しかし近くにいた三体は倒せたが少し離れた場所にいた四体は倒せなかった、生き残った者は起き上がりアリシアを囲み火を噴くために口を開く。


「させ」


「ない!」


四体の内、二体の顔をメアが撃ち怯ませ、アリシアがもう二体の顔をそれぞれ蹴り上げ口を閉じさせる。


「行くヨォォ!、ウォーターニードル!」


魔法の威力を高める為にチャージをしていたシメラが魔法を放ち、水の槍はファイヤーカメールの一体を貫いた、これで残りは三体、三体となった彼等はお互いの顔を見合わせ合い、顔を引っ込めると転がり始めた。


「くっ!、意外と速い!」


「弾が当たりません!」


彼等の転がり移動は意外と速い、アリシアとメアが弾を放っても全て外れてしまう、そして彼等は転がりながら三人に特攻して来て、三人は散り散りになって避けた。


「アリシアちゃん!、雷をその場に停滞アレを、ファイヤーカメールの前に!」


「分かった!」


シメラの声を聞いたアリシアはファイヤーカメールの進行方向の前にその場に停滞する雷を配置した、するとファイヤーカメールの一体は派手にぶつかり、勢いが付いていた為宙に跳ね上がる。


「貫いてみせます!」


メアはエナジーライフルの威力を最大にして弾を放ち、ファイヤーカメールの腹を撃ち抜き仕留めた、これで残り二体。


「ギェェェェ!」


更に仲間を失ったファイヤーカメールは怒りの叫び声を上げ、転がりながら炎を放ち始める。


「マズい・・・、お願い!シメラ常に水を辺りにばら撒いて!」


「分かった!」


シメラは天に向けて水を放ち簡易的な雨を降らせ、炎を放ちながら動き回るファイヤーカメールより森に火が付かないようにした。


「これで暫くは燃えない筈・・・」


アリシアは二体のファイヤーカメールの前に雷を設置する、しかし学習した彼等はそれを避けてしまった。


「なっ!?」


「大丈夫です!、避けた時に速度が落ちました、これなら当たります!」


メアの言う通り、ファイヤーカメールは停滞する雷を避けた時に速度を落としてしまっていた、これなら当てられる!、そう判断したメアは二発フルチャージの弾を放ち当てて見せた、これにより元から落ちていたファイヤーカメールの速度が更に落ちゼロとなる。


「今です!、跳んで!」


「ええ!」


アリシアは雷を纏いながら跳びファイヤーカメールの腹の前に現れ剣を突き出す、雷を纏ったアリシアの突きはファイヤーカメールの腹を貫いた。


「グッ!」


しかし一体を仕留めた瞬間もう一体がアリシアに向けて特攻しアリシアを跳ね飛ばした。跳ね飛ばされたアリシアはもう一度跳び自分を跳ね飛ばした事により速度がまたもや落ちていたファイヤーカメールの真横に現れると、蹴り飛ばした。


「今よ!メア!」


「はい!」


アリシアに蹴り飛ばされ一瞬その体が宙に浮き身動きの取れなくなったファイヤーカメールを、メアの弾が貫いた。


「ふぅ・・・、燃えなくて良かったわ」


「はい、シメラさん、ご苦労様です」


「いいよいいよ〜」


ファイヤーカメールの討伐を無事終えたアリシア達はその場を離れ町に戻って行った。



エンジェルズ


アリシア達がエンジェルズに戻って来ると、何故か建物の中が静まり返っている。


「どうしたの?」


「テレビを見てみな」


エージェントの一人にアリシアが話しかけると、彼はテレビを指差す、そこにはエンジェルズとは別の組織の本部がボロボロにされている様子が映っていた。


『皆さん!見て下さい!、キャットシスターズの本部が崩壊しています!』


テレビに映るキャスターによると、崩壊している組織の名はキャットシスターズと言うらしい。


『そして、今回の犯行声明が出ています、犯人はデッドスカルと言う組織で、犯行声明文には、我々の利益を阻害する他の組織は全て殲滅する、と書かれています!』


「デッドスカル・・・?、それってあの時の・・・」


アリシアが三人組のファントム乗りがデッドスカルの者達だったと思い出した時、エンジェルズの外に複数の車が停まった音がした、その次の瞬間、窓が割れ無数の爆弾や銃弾が飛び込んで来た。


「ッ!」


それを見たアリシアは慌てて身を守る、その時だ一人の男がアリシアの前に立ちアリシアを抱きしめる。


(メッシュさん!?)


アリシアがその男がメッシュだと認識した瞬間、激しい轟音と衝撃がエンジェルズのロビー内に襲い掛かった。




病室


ここはエンジェルズ内の病室、先程の襲撃はデッドスカルによるテロだった、その攻撃で多数のエージェント達が傷付きこの病室に運び込まれている、その中にはアリシアを庇ったメッシュもいた、幸いメアはシメラのシールドにより守られシメラ共々無事だった。


「メッシュ、お前は男だぜ、俺との約束通り、アリシアを守り切ってよぉ・・・、お前が傷を受けた分、俺達が仇を取ってやる」


ボスは眠るメッシュの顔を見て頷くとその場を後にした。入れ替わりにボロボロとなったロビーのガラスなどの撤去作業を終え病室にやって来たアリシアが、メッシュの側に座る。


「・・・、ありがとうメッシュさん、私を守ってくれて」


アリシアは眠るメッシュの手を握り、ギュッと胸に抱き締める。


「ゆっくりと眠ってね、そしてまた私と一緒に仕事に行こう」


そう言って眠る彼に優しく微笑んだアリシアは、その頬に感謝の印としてキスをした。


「それじゃあね、メッシュさん」


メッシュから離れ、アリシアは病室を後にした。


第一部三章、アリシアのファントム、完

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