十二話
ノルクステット、宿
「朝よー起きてー?レイ君」
朝、グレイより先に目を覚ましたアリシアはベッドから身を起こすと大好きな彼を揺する。
「きゃっ!」
すると目を覚ましたグレイにいきなり抱きしめられアリシアは驚いた声を漏らす。
「あー良い匂いで柔らけぇ・・・」
アリシアを抱きしめたグレイは腕の中のアリシアの髪の良い匂いと体の柔らかさを堪能する。
「変態め」
んしょっとグレイの腕の中から腕を外に出したアリシアは彼の頬を指で突く。
「変態で結構、だからもっと触らせろ」
「ヤダ」
「そう言わずにさぁ、ほらちょっとだけ」
「・・・仕方ないなぁ、どこ触るの?」
押しに弱いのは相変わらずである。
「おっぱい」
「・・・」
グレイの言葉を聞きアリシアは彼を睨むが仕方ないと言った手前触らせない訳にはいかない。なので恥ずかしそうに頬を染めながらも良いよと頷く。
「やったぜ」
アリシアが頷いたのを見てグレイは嬉しそうにアリシアを離す。離してもらったアリシアは起き上がってそっぽを向いた。グレイはアリシアに近付くと両胸を両手で服越しに揉み始める。
「デケェ・・・柔らけぇ・・・、最高だよ・・・」
グレイはアリシアの胸の大きさと柔らかさを堪能する。アリシアは一揉みされる度に顔を赤く染めて行く。
「ううー・・・、いつまで揉む気なの?」
「もちろん、満足するまで」
「出来るだけ早く満足して・・・」
恥ずかしさでどうにかなってしまいそうなアリシアは彼が早く満足するのを祈りながら。彼に胸を触らせる。
ガチャと扉が開きたっぷりとアリシアの胸を堪能し満足気な顔のグレイとそんな彼の横顔をジーと睨むアリシアが出て来た。すると部屋の前にシールスがいた。
「昨夜はお楽しみでしたね」
「・・・あっ」
ニヤニヤと言うシールス。自分が散々恥ずかしい思いをさせた今ちょっとの言葉でもマズイと思ったグレイはスススとアリシアから離れる。
「ええ!楽しんだわよ!、だからさぁ!あなたも楽しんで頂戴な!」
案の定シールスの言葉にプチンとキレたアリシアはシールスの腕を掴むと背負い投げ床に押し付ける。
「イテテ・・・、いやあのアリシアさん?、ほんの冗談だろ?」
「言って良い冗談とダメな冗談があるのよ!、オラァ!」
「きゃっ!ちょっ!、あはははは!」
男勝りな彼女にしては珍しい可愛らしい悲鳴を上げた後シールスはアリシアに全力でこしょばされ始めた。
「おいおいシア、他の客に迷惑だろ?やめとけ」
グレイは他の客に迷惑だとアリシアを止めようとする。その言葉を聞いたアリシアはシールスをこしょばせながら彼の方に顔を向け首を傾げた。
「今日の夜ベッドの上で朝まで寝れなくしてやろうか?」
「ごめんなさい」
「よろしい」
この後シールスは騒ぎを聞いたアイリーンが部屋から出て来て止めるまでたっぷりとアリシアにこしょばされた。
ノルクステット
アリシア達はノルクステットの南出口に向けて歩いて行っている。
「うう・・・アイリーン・・・」
「よしよし、お母様?普段強気なシールス様がこんな風になってしまうまでこしょばすのはやり過ぎですわ、反省して下さい」
腕に抱き付いて歩きながら泣いているシールスをあやしながらアイリーンはアリシアに反省するように言う。
「やよ」
アリシアはツーンとそっぽを向き反省するのを拒否した。
「へぇぇ?、分かりましたわ」
反省しないアリシアを見たアイリーンはスッと無表情になりシールスに離れてもらってからアリシアに近付く。
「な、何よ?」
「反省しないお馬鹿な子にお仕置きをするのですわ!、」
そう言って杖を天に掲げるアイリーン。すると猛烈な勢いでアリシアに向けて雷が落ちて来る。
「フニャァァァァァ!」
雷はアリシアに命中しビリリとアリシアを痺れさせる。
「ねぇアイリーン?、大丈夫なの?アレ・・・」
「今回使ったのは天罰アタック雷の魔力使い版!ですわ、雷の魔力使いに凄く痛い程度のダメージを与える雷ですので大丈夫です、生きてますわ」
アイリーンの言葉通り雷が消えると地面に倒れ手足をピクピクとさせているアリシアが現れた。己の雷の魔力のおかげで手足がピクピクする程度のダメージで済んだようである。
「もう一度言いますわお母様、反省して下さい」
「はいっ!アイリーン様!、この私聖騎士アリシア、反省しましたっ!」
アイリーンに反省しろと言われたアリシアはバッと起き上がると反省していると言った。
「それではシールス様に謝って下さい」
「はいっ!、シールス様!ごめんなさい!」
「お、おう、・・・なんか変だけど大丈夫か?お前」
自分に様付けをするなど明らかに変だと思ったシールスはアリシアに大丈夫か聞く。
「大丈夫大丈夫、全身がまだビリビリするけど大丈夫」
「大丈夫じゃないだろそれ・・・」
「安心しろそう言う時の俺だ」
グレイはそう言うとアリシアの手を握る。するとアリシアの体の中に帯電していた電気がグレイの中に一度流れ込んでから地面に流れて行く。鉄の魔法の避雷針効果を活かしたのだ。
「ありがとーレイ君、ビリビリがなくなったわ」
体の中に帯電していた電気のせいで変なテンションになっていたアリシアは正気に戻りグレイに感謝する。
「良いさ、それじゃ平原に出てその先の街に向かおうぜ?」
「はい、早く蒼狐さんに会いたいです、どんなパレードなのでしょうか?」
「それは見てのお楽しみってやつさ」
アリシア達はノルクステットの南出口に向けて歩いて行く。




