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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第四部、七章、友の記憶を戻す旅
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十一話

セリクル大平原


霧が濃い山道を進み続けていたアリシア達はセナオラ山の反対側の麓に到着していた。下り坂を歩く彼女達の目の前にはセリクル大平原が広がっている。そしてセリクル大平原の最南部の海と隣接した場所に今回の目的地であるセリクルの街がある。


「見て町があるわ、あそこで休みましょう」


ニアが指差す先遠くに見えるセリクルの街の大分手前に確かに町が見えた。


「あれはノルクステットと言う宿場町ですわ、この南部平原からセナオラ山から大森林を越える人の準備地点ですの」


「美味しい料理はあるのかね?、アイリーン君」


山越えですっかり腹ペコの愛理はノルクステットに美味しい料理があるのかどうか聞いた。


「美味しいお肉料理を出すお店がありますわ」


「肉!、良いね!、急ごう!」


お肉大好きな愛理は尻尾を嬉しそうに振りながら一人走って行く。その速度は速いとにかく速い。


「あっという間に点に・・・」


「おっそろしい身体能力だよホント・・・」


あっという間に愛理は点となったがアリシア達は特に走るつもりはない。のんびりと下り坂を降りて平原に入る。


平原に入ると沢山の動物や魔物が歩いているのが見えた。ノルクステットやセリクルの街からやって来たのだろう。冒険者が賞金を稼ぐ為にこの地に住まう魔物を狩っている。


「この国には冒険者ギルドあるのね」


「はい、お母様の国は騎士学園が同じような機能を持っているのでしたっけ?」


「うん、依頼の受注は騎士学園に通う生徒の必修科目なの、首席を取ろうとするとこれが大変でねぇ・・・」


「懐かしいなぁ、三学期の終盤になると放課後になる度、アリシアとシールスで依頼受けまくって首席争いしてたよね」


「ふふん、三年間私の勝ちだったけどね!」


「くっ・・・、これは事実だから言い返せない・・・」


ドヤ顔なアリシアを見てシールスは悔しそうな顔を見せる。


「・・・ムカつくから平和になったら一日で良いから勝負しようぜ?アリシア、どっちが依頼を一日で多く完了させれるか?ってやつ」


「良いわよ?、どうせ勝つのは私ですもの」


「いいやあたしだね」


「いやいや私」


ライバルな二人の距離は縮まって行き額と額を合わせてグリグリし始める。


「他の人が見ているここでそんな子供みたいな争いしないで下さい」


メアがアリシアとシールスの間に入ってグリグリを止める。


「あっ、ついでだからメアも勝負に参加してよ、あなたが参加してくれたらもっと楽しめそうですもの」


「なんで私がそんな子供みたいな勝負に・・・」


「良いじゃんたまには、こう言う馬鹿な勝負って楽しいぜ?、しかも今すぐって訳じゃない」


アリシアが勝負にへの参加を誘いシールスが更に推す。


「そこまで言うのならば仕方ないですね、良いですよ?やってあげます、ただし!やるなら本気でやりますから」


「望む所よ!」


「おう!」


メアの言葉を聞いたアリシアとシールスは同時に全く同じ仕草でガッツポーズする。


「たまに思うんだけどアリシアとシールスって姉妹みたいだよねー」


「・・・、その場合私が姉だな!」


「何を言ってるの私よ!」


今度はどちらが姉かで言い争いを始め額と額を合わせグリグリし始める。メアがやって来る前の二人のお目付役であったニアは手慣れた様子で二人を引き離すと。シールスの口に飴、アリシアは髪や頬をワシワシしてあげる。するとシールスは満足気に飴を舐め始めアリシアはえへへと満足気な顔をして大人しくなる。


「慣れてる・・・、これは凄いですわ・・・」


「何年こいつらの面倒を私が見てたと思うのよ、そこの二人は頼りにならないし大変だったんだから」


そのそこの二人はニアの言葉を聞いてそっぽを向き口笛を吹く。


「ニア飴もっと欲しいぞ」


「手が止まってるわよニア」


「はいはい」


二人の注文を聞いたニアはポケットから飴を取り出すとシールスの口に放り込み。アリシアの髪を撫で始める。すると二人はまた大人しくなる。アイリーンとメアはその様子を見てニアこそ二人の姉と呼べる立場なのだろうと思う。




ノルクステット


久し振りに思いっきりニアに構ってもらい満足気なアリシアとシールスを含む一行はのんびりとノルクステットに入る。すると入り口で愛理が仁王立ちで待っていた。


「遅い!、こちとらお腹空いてるのに!」


その証拠としてグギュルルルと愛理のお腹が鳴った。この狐腹ペコのようだ。


「ごめんごめん、師匠の事だから店見て回ってるんでしょう?、どの店にしたの?」


「ついて来なさい!」


「はいはい」


腹ペコ狐はお腹を鳴らしながら一軒の店の前に立つ。


「ステーキショップイソノ屋?」


「ステーキ食べたい気分なの!入るよ!」


「高そうなんですが・・・」


「大丈夫アリシアが払う!」


「!?」


師に飯代払えと言われたアリシアは目を見開き驚く。そんな弟子に構わずさはそそくさと店に入って行く本当に払わせるつもりのようだ。


「まぁ良いじゃないですか、あなた使い切れないくらいのお金持ってるんですし」


「持ってるけどさぁ・・・、こう言う時は師匠が払うもんじゃないかなぁ・・・」


「シア、忘れるな、あの人の常識は通用しない」


「あー説得力あるわー」


グレイの言葉を聞き払う事にしたアリシアは仲間の方を向く。


「ええい!私の奢りだよ!、今日はたあーんと食いなさい!!」


「ひゅー!、流石へ聖騎士アリシア様!太っ腹だぜぇ!」


「デザート頼みまくっても良いですか!?」


「好きにしな!」


「「イェーイ!」」


この後アリシアの奢りで彼女達は美味しいステーキやデザートをたらふく食べた。勿論一番食べたのは・・・。


「はぁー・・・さ・い・こ・う」


「三十皿って・・・、この人本当に女なのかしら・・・」


三十皿も食べた愛理であった。

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