八話、目指すべきヒーロー
ファルレオン平原
明日奈とメリアが空をかける。目指すは三体の巨大な亀型の魔獣。彼等が王都に砲撃をする前に倒すこれが二人の今の目的だ。
「クォォォ!」
一体の亀型が口に魔力を溜め始めた。それを見た明日奈はメリアと頷き合うと下と上から口を蹴り飛ばし口を閉ざさせる。
「愛理!、攻撃!」
「分かってるよ!お婆ちゃん!」
愛理を仰ぎ見た明日奈は亀型に攻撃をするように言う。それを聞いた愛理はゼロブレイカーを亀型に放ち大きな傷を付けた。
「流石ね、先輩達は流石は私が目指すべきヒーロー!!」
(ふふっ、アリシアが嬉しそうです、そしてあなたも彼女達みたいになれます、私と一緒に目指しましょう!)
メアはアリシアの肩を叩く。するとアリシアはメアの顔を見て頷き彼女はフュージョンモードになった。
「行くわよ!メア!、背中に登って愛理さんが付けた傷から心臓を狙うのよ!」
「はい!」
テレシアとメアは亀型の甲羅に備え付けられた砲台から次々と放たれる光線を剣で弾きながら亀型に接近し。同時に甲羅によじ登るそして愛理が付けた傷の近くに来た。
「この姿なら!、フュージョン!!ブラスター!!」
「ゼロブラスター!」
傷口の至近距離から放たれた二本のブラスターは亀型の背中から心臓を破壊し胸を貫く。心臓を失った亀型はズゥゥンと地響きを鳴らしながら地面に倒れ込み絶命した。
「クォォォ!!」
仲間のうち一体を倒したテレシアとメアに怒った二体の亀型が。甲羅の上に乗ったままの二人に向けて強力すぎる光線を放った。
「いいい!?」
「これは死にます!?」
二人は迫る光線を見てあたふたする。せめてもの抵抗としてシールドビットをテレシアが展開するが容易く消し炭にされた。
「ふぅ、間に合った」
「危なかったね」
慌てるアリシアとメアの元に明日奈とメリアが現れ光線をシールドで防いだ。
「ありがとー!」
「本当に死ぬかと思いました、ありがとうございます」
二人は助けてくれた二人に涙目で感謝した。
「良いって事よ、さぁあと二体!、倒しちゃうわよ!」
「私達が五人なら楽勝さ!」
「ええ!」
「うん!」
「・・・」
意気揚々とえいえいおーしているアリシア達を見て愛理は思う。この場にラフォリアがいればと。アリシアや明日奈にはいて今の自分にはいない唯一無二の自身の相棒が。
(ラフォリア・・・、絶対に記憶を戻して元のあなたに戻してあげるからね)
竜騎士となり悪事を働く相棒を元に戻すと誓った愛理は暗い表情からいつもの明るい表情に戻り。アリシア達に駆け寄る。
「それで?お婆ちゃん、あの二体を倒す作戦は?」
「力こそ正義!」
「・・・?」
「力こそパワー!」
「ああ・・・、正面からぶつかって倒そうってワケ・・・」
「そうよ!私達ならそれで倒せる!」
「ふふ、それは間違いない!」
正面から正々堂々とぶつかり打ち勝つ。通常なら難しい事だが。五人も強者が揃っている今なら実現が可能だ。明日奈がアリシア、愛理がメアを脇に抱えると空に飛び立つ。
「ねぇ久城家にとって人を小脇に抱えるのって基本なの?」
「家訓よ」
「ええ・・・」
「信じちゃダメだよ・・・メア、お婆ちゃんは冗談が好きだから・・・」
「妖狐の悪い癖だね」
「なにおー!、ちょっとした冗談でも笑いに繋がってリラックス出来るんだし、良い事でしょう!?」
メリアの言葉に明日奈は空を飛びながら尻尾をいきり立たせて抗議の意思を示す。
「確かに」
明日奈と同じ妖狐である愛理はウンウンと頷く。そうしている間に亀型の至近距離までアリシア達は迫っており。明日奈と愛理は残り二体の亀型の背中に二人をそれぞれ降ろす。
「やっちゃいなさい!アリシア!」
「ぶちかませ!メア!」
「ええ!、フュージョン!!」
「うん!ゼロ!」
「「ブレイカー!」」
アリシアとメアは亀型の背中に大きな傷を付ける。そして亀型の背中から飛び降りた。大きく開いた傷口に紅蓮の炎の勇者は攻撃をする。
「アリーシャさん!!、ツインバスターモード!」
『了解ですわ!、ツインブラスター!、フル出力!!』
「発射!、うぉりゃぁぁぁぁ!」
ツインバスターモードを起動させたメリアはベリクリオスの管理人アリーシャと共にツインブラスターを放つ。その一撃はアリシアとメアが付けた傷を更に深い物とする。
「今だよ!、明日奈!愛理!」
「ええ!、レーヴァインフィニティ!」
「ゼロストライク!!」
「「いっけぇぇぇ!」」
明日奈は過去の戦いで何度も活路を開いた技を。愛理は相棒の技をこの戦い最後の技に選んだ。二つの金色の光は亀型の体を貫き打ち倒す。
「やったわね!、愛理!」
「うん!」
アリシアと愛理は腕を組み合い勝利を喜ぶ。アリシアは二人の英雄の姿に憧れの視線を送るのであった。
聖シルベリラ王国王都
戦いが終わり王に王室に来るよう言われたアリシア達。その王の目の前でメリアが正座をしている。
「ごめんなさい・・・」
そして深々と土下座をし自分がした事を謝る。
「・・・、亀型三体の撃破はお前がいなければ成す事は出来なかった、それに記憶を失っていたお前が魔族を率いてこの王都に攻め込んだのは、この国の国民による魔族差別への抗議の為だ、私も今回の件で反省をし国民の考えが変わるよう努力をしようと思う」
「!、ありがとうございます!!」
王に許してもらったメリアは顔を上げて感謝する。
「その代わり、お前から記憶を奪い前の世界を滅ぼしたと言うDIVAと言う存在をお前の仲間達と共に討ち果たせ、DIVAと言う存在を討ち果たした時、真にお前の罪を不問としよう」
「分かった!、かならずみんなと一緒にDIVAって奴を倒すよ!」
「うむ、それとアイリーンよ」
メリアの言葉に頷いた王は次にアイリーンを呼ぶ。
「お前の守りと回復の力は戦い際の助けとなるだろう、お前も聖騎士アリシアと共に行け、そして世界を取り戻すのだ」
「はい、お任せを」
「うむ、それでは行け」
「はい!」
王との会話を終えたアリシア達は取り敢えず、アイリーンの部屋に入る。
「明日奈さん早速で悪いんだけど、この時渡りの書の改造を頼めるかな?」
部屋に入るなりアリシアはメアから時渡りの書を受け取り明日奈に渡す。
「これは私の先代の時の神が作った物、同じ時の神の私なら改造出来るけど、何にするの?」
「剣に、能力は刺した者の時を逆行よ」
「分かりました、やってみましょう、完成したらあなた達に渡すわ」
「うん!」
明日奈はアリシアから受け取った時渡りの書を鞄の中に入れる。
「さて、次の目的なんだけど、この国の南部にとある旅団がいてさ、その団長が私の仲間なんだ」
「その団長さんの記憶を戻すのですね?」
「そう言う事、早速移動開始!」
次の目的地を決めたアリシア達は王都から出て国の南に向かう。王都の出口で明日奈とメリアは時渡りの書の改造を里で行うと告げて別れた。
「でさ?愛理さん、その団長さんの名前ってなんて言うの?」
「蒼狐だよ」
「強いの?」
「そりゃあもう、花火の魔法を発展させた爆撃魔法の威力は私から見ても尻尾がヒヤリとしちゃう程さ」
「へぇー!、凄いですね!」
アリシア達は愛理の蒼狐についての思い出話を聞きながら街道を進む。




