十一話
今話から愛理も主人公となります。
牢
「やぁ囚人君元気してた?」
愛理がアリシアに逮捕された翌朝、アリシアがニコニコ笑顔を見せながら牢にやってくる。
「うん!とっても快眠!、スッキリ!元気!」
愛理は元気だと言う。
「そう!それは良かったわ!、それじゃもうちょっとここにいなさいね!」
「・・・待て待て、一日の約束でしょう?出しなさい」
「ふふ、冗談冗談、出してあげるわ」
アリシアパそう言って左手を牢の扉に手を掛けた。その時愛理はアリシアの左手に指輪が嵌められているのを見た。
「ん?指輪?誰かと結婚でもするの?」
「あーこれはその・・・、うん、グレイと結婚します」
愛理に指輪を見られたアリシアはサッと左手を引き体の後ろに隠すとモジモジとしながらグレイと結婚すると愛理に伝えた。
「そうなんだ!おめでとう!」
愛理は牢の中からアリシアの手を掴みブンブンと振りながら結婚をする彼女を祝福する。
「あ、ありがと、それじゃ出してあげるわ」
愛理に祝福され顔をカーと真っ赤にしたアリシアは牢の鍵を開けた。その瞬間。
「な、なんで押し倒されたのかしら?」
「言ったよねぇ私、後で覚えてろよって」
「あー・・・」
アリシアは昨日の会話を思い出し警戒せずに愛理を牢から出した事を後悔する。にっしっしと笑う愛理は手をワキワキとさせるとアリシアをこしょばせ始めた。
「ちょっやめ!あっはっはっは!、やめてぇー!」
「やめないよー!、一日も牢に閉じ込められた恨みを晴らすまではねぇー!」
「やー!」
王室
愛理にたっぷりとこしょばされ最後には耐えきれなくなり泣いたアリシアは泣き止んだ後愛理を連れて王室に入った。
「何かあったのか?」
王はアリシアの頬の涙の跡を見て何かあったのか聞く。
「なんでもないですよ?ええなんでも」
アリシアは泣かされた相手を横目で睨みながらなんでもないと言う。愛理はそれを見て尻尾をゆらゆら揺らしながらんー?と首を傾げた。それを見た愛理は慌てて目を逸らす。
「そ、そうか?、明らかになんでもないように見えないのだが、まぁいい、それで?愛理よ、見つかった人物に関してどうするつもりだ?」
「取り敢えず一人ずつ会いに行って記憶を戻そうと思う、あなたには記憶が戻った人達がこの城に住まう事を許可して欲しいのと一応の戦力としてアリシアとメアとその仲間たちを貸して欲しい、頼めるかな?」
「良かろう、アリシアよ私から命令しておく、久城愛理の仲間探しを手伝え」
「承知致しました」
王から愛理の仲間探しを手伝うよう言われたアリシアは騎士の礼をし新たな任務を引き受けた。
「それじゃあよろしくアリシア!」
「ええ、よろしく愛理さん」
仲間探しをすることになったアリシアと愛理は手を繋ぎ合う。
「それじゃあ話をする為に部屋に行こう、愛理さん」
「うん!」
アリシアと愛理は頷き合うと部屋から出てアリシアの部屋に向かう。
アリシアの部屋
「立派な部屋だねぇ、流石聖騎士」
椅子に座りパクパクとアリシアの部屋に置いてあったお菓子を食べる相変わらず食いしん坊な愛理は立派な聖騎士の部屋を見て感心している。
「城そのものが自分の家な魔王様が何を言うか」
「それを言っちゃあおしまいだよ、アリシア君」
愛理の言葉を聞きおいおいとおばちゃんみたいな仕草で愛理は手を振る。
「まっいつか魔界の風景を見てみたいけどね、その時は案内してよ、愛理さん」
「勿論、この魔王様が直々に君を案内してあげよう!、針山地獄なんてどうかな!?」
「それ串刺しになって死ねって意味!?、もしかして牢に入れた事まだ怒ってる!?」
警戒したアリシアはううっと身を引き自分の体を抱きしめる。
「大丈夫大丈夫、もう怒ってない、そんな事より仲間探しについて話そう、まず一人目なんだけどアイリーンが聖シルベリラ王国にいるわ、その国で聖女をやってるみたい」
「アイリーンってやっぱりそうなんだねぇ、まっ見た目からしてイメージ通りなんだけど」
精神世界で皇帝アリシアの記憶を見ているアリシアはアイリーンの事を知っている。その為この世界でも聖女をやっていると言う彼女をイメージ通りだと言った。
「そうだね、あなたの中にいる誰かさんはそんなアイリーンを暗黒聖女にしちゃってたけども」
「酷いよねー、あんなザッ聖女って人を悪い人にしちゃうなんて」
(い、今の私はアイリーンを暗黒聖女になんてしないわよ!、ちゃんとしたお友達になりますぅ!)
「本当?、ならアイリーンの記憶を戻すのはあなたに任せるわね?」
(良いわよ!やってやろうじゃない!)
「決まりね、と言うわけで愛理さん、アイリーンの記憶を戻すのはもう一人の私がやるから協力して頑張ってね」
「はいはい」
愛理はアリシアが精神世界にいる皇帝アリシアと話している様子を側から見ると独り言を言っているようにしか見えないなと思いながら頷く。
「あっ、それとラフォリアさんを見つけたわ、あの人と親友なあなたには言いにくいんだけども、すっごく悪ーい竜騎士になっちゃってるけど・・・」
「知ってる、親友として一発殴ってやるさ」
「流石、ならラフォリアさんは愛理さんに任せるわ、私はキースとお姉ちゃんの記憶を戻すわ」
「うん、そっちは任せた、それじゃあここにいても仕方ないし聖シルベリラ王国に行きましょう!」
「ええ!」
アリシアはメア達と愛理を引き連れ魔導船乗り場に向かう。




