八話、フュージョンモードVSバトルシアの本能
アリシアの新しい力の初陣となります。
カリオンの谷
アリシアは一人カリオンの谷にいた。
「良しっと、周りに誰もいないし、あれを試してみよう!」
(ええ!、試してみない事には何も始まらないしね!)
バトルシアの血の覚醒により丈夫な体が必要と言うフュージョンモードの前提条件をアリシアはクリアしている。ならば試してみようと人が訪れる事が少ないカリオンの丘に少女はいた。
「それで?私達の精神の合体ってどうやるの?」
(私はこの体の中、あなたは外から魔力を放ち完璧に同調させる、そして互いに互いの精神を掛け合わせ融合するのよ)
「・・・う、うん!とりあえずやってみよー!」
(理解不能だったのならちゃんと言いなさい・・・)
「・・・、理解不能なんかじゃないもん!、分かってるもん!」
(嘘おっしゃいな)
「・・・」
皇帝アリシアとの会話をしているうちにアリシアの頬が徐々に膨らんでいく最後にまるでフグのようになった所でアリシアは目の前に誰もいないのにそっぽを向く。
(すぐに拗ねるんだから・・・、ほら?準備はいい?やってみるわよ?)
「フン!」
フン!と言いつつ光と雷の魔力を放ち始めるアリシア。皇帝アリシアも闇と雷の魔力を放ち始め二人は魔力量を完全に同調させた。
(今よ!フュージョンモード!)
「え、えと?発動!」
皇帝アリシアがアリシアとの融合を始めた。アリシアは天性のセンスで(イメージとしては相手を取り込もうとする動き)真似をし皇帝アリシアとの融合を図る。
数秒後、ブォンと音がしアリシアの体から光と闇と雷の属性を示す白と黒と黄色の光が放たれた。次の瞬間に光が晴れ新たな存在がいた。
「これがフュージョンモード、凄い・・・、この状態の私の名は・・・良しテレシアにしよう」
アリシアと皇帝アリシアが融合した存在、テレシア、は髪は雷の属性を示す金色となり胸元に緑色のコアのような物が現れている。服装はエリシャメイルを基本デザインとした金色がメインで所々に白と黒のワンポイントが入った鎧を着ており、武器は両手に金色と黒色のエリシャディアを持っている。
「これならプラスにもマイナスにも負けないわね!、うくっ!?」
この状態の自分ならばプラスとマイナスに勝てると一人ガッツポーズをしたアリシアは突然胸を押さえる。
「マズイマズイマズイ!、暴走する!?」
フュージョンして数秒はなんともなかったのだが突然心臓がドクンと高鳴りバトルシアの血が目覚めた。この強力な力を持った状態で暴走をすれば辺り全てを滅ぼしてしまうかもしれないと思ったテレシアはフュージョンモードを解除した。
「はぁぁぁぁ・・・・、危なかったぁぁ・・・」
フュージョンモードを解くとバトルシアの血は途端に大人しくなり眠りについた。アリシアはホッと安心し尻餅を着く。
(考えてはいたのだけれど、やはり私達の身体に流れる血の暴走をコントロール出来るようにならないと暴走してしまうようね)
「うん、コントロールの仕方はとにかく私がこの血に精神面で打ち勝つ事なんだろうけど、暴走しちゃうと理性が吹っ飛ぶから抑えてる暇がないのよね・・・」
(・・・私がメインになって押さえ込もうとしても同じ事だろうし、どうすれば良いのかしらね・・・)
アリシアは顎に手を当てて悩む。バトルシアの血を抑え込む方法を。
「そうだ、私達の精神世界に奥にバトルシアの本能がいるんだよね?」
(ええ、精神世界のかなり奥に隠れているわ)
「ならそいつを倒しちゃおう、私達でさ」
(突拍子もない事を考え付くわね・・・、でも一理あるわ、だって私達が暴走する原因はバトルシアの本能が原因ですもの、ならば本能を倒せば・・・)
「暴走する事なくバトルシアの力が私達の物になるって事よ!」
(良いわ!、良いわよ!!早速やってみましょう!)
「うん!」
アリシアはシロの元に近付き暫く周囲の監視を頼むと彼にもたれ掛かり精神世界に向かった。
精神世界
「来たわね、さっ行きましょうか」
「うん」
精神世界ではイメージをすれば剣や防具を作り出せる。その為皇帝アリシアは現在いつもの黒いドレスにフォトンガンブレードにフォトンロッドを持っている。アリシアも同じく白いドレスを脱ぐといつもの装備を呼び出し身を包む。
二人は精神世界を進み一番奥、バトルシアの本能が隠れ住んである部屋の巨大な扉の前に来た。
「なにが出てくるのかしら・・・」
「すっごく大きな化け物だったりして・・・」
「やだよーそんなの」
二人は何が出てくるのか戦々恐々となりつつ二人で扉に手を掛けて扉を開けた。すると中には鎖に繋がれたアリシアがいた。
「これがバトルシアの本能?、私じゃない」
「まぁ本能も私達なわけだし、同じ姿をしているのは当然よ」
アリシアと皇帝アリシアがのんびりと会話をしていると。バトルシアの本能が目を見開き鎖を断ち切った。
「「!?」」
二人は突然動き出した相手を見て剣を構える。
「うふっ、うふふふふ!、はぁぁぁ!」
バトルシアの本能は怪しい笑い声を上げると二人に向けて飛び掛かってくる。
「ダークライジングシールド!」
イメージをすればスタイルの力もこの世界では使える。その為ダークライジングスタイルの力を使う皇帝アリシアは闇と雷のシールドで飛び掛かってきたバトルシアの本能の拳を止めた。しかし・・・。
「割れた!?、ぐぅ!?」
バトルシアの本能は軽くダークライジングシールドを割ると皇帝アリシアの顔に右拳をクリーンヒットさせた。
「これは・・・、相当に強いみたいね!」
アリシアは皇帝アリシアを殴ったばかりで背中に隙が出来ているバトルシアの本能に近付く。
「あはぁ!!」
バトルシアの本能はその動きにピクリと反応すると回し蹴りを放った。アリシアは顔を蹴られ地面に激しくその身を打ち付ける。
「あははは!!」
バトルシアの本能はアリシアに覆い被さるとその本能のままに何度も何度もアリシアの顔を殴り始めた。アリシアは腕で顔を覆い防ぐがやがて防御を打ち破られ顔を殴られ始めた。
「やめなさい!」
皇帝アリシアがバトルシアの本能を蹴り飛ばしアリシアの上から退かせた。
「大丈夫?」
「イテテ、殴られただけだし大丈夫だよ」
「あいつ相当に強いわよ、多分このままじゃ負ける」
「ならフュージョンモードを使うしかないね」
「ええ!、行くわよ!私!、フュージョンモード!!」
「発動!!」
アリシアと皇帝アリシアはバトルシアの本能に打ち勝つ為フュージョンモードを発動させた。その瞬間光が放たれ金色の鎧に白と黒のワンポイントが入った姿となる。
「さぁて!、行くわよ!!」
二本のエリシャディアを構えたテレシアは胸のコアを輝かせると総数300本の剣を召喚した。
「行け!」
右手の剣を前に突き出しテレシアは剣をバトルシアの本能に向けて打ち出した。
「クァァァ!」
それを見たバトルシアの本能は口からビームを放ち一撃で召喚した剣を全て打ち消した。
「同じ顔でさ・・・、そんな化け物みたいな事するのやめてくれる・・・?、なんか私がやってるみたいでさ・・・」
「ああああ!!」
テレシアは自分と同じ顔で口からビームを放ったバトルシアの本能に抗議をするが。バトルシアの本能はテレシアの言葉を無視し牙をむき出しにしながらテレシアに向けて飛び掛かってくる。
「!?」
「遅い」
しかしテレシアはバトルシアの本能の高速右ストレートをしゃがんで避け。左手で持つ剣でバトルシアの本能の体を斬り裂いた。
「秘奥義!!、ソニックスマッシュ!!」
続いて右手で持つ剣でソニックスマッシュを放ち。更にバトルシアの本能の体を斬り裂いた。
「あがぁ!!」
身体にダメージを負ったバトルシアの本能は怒りを見せて再び口からビームを放つが。テレシアは両手で持つ剣でビームを弾き飛ばした。
「さようならよ、エクスペクトスラッシュ!!」
テレシアの姿となってもその強さは変わらない十八連撃技、エクスペクトスラッシュ、テレシアはその技で連続してバトルシアの本能に攻撃を当てた。
「グッ、ああ・・・」
テレシアに打ち負けたバトルシアの本能は力なく倒れて行く。テレシアはそっと彼女を受け止めた。
「ごめんなさい、あなたも私なのに追い出すような事をして・・・、でも私は暴走をするわけにはいかないの、だって私は・・・」
テレシアはバトルシアの本能を優しく抱きしめながら強い目を見せた。
「みんなを守るヒーローになるのだから!」
テレシアの宣言と共にバトルシアの本能は消失し同時に彼女が住んでいた部屋も消滅した。
「ふぅ・・・、終わったわね」
光を放ちアリシアと皇帝アリシアに分かれる、見事、バトルシアの本能を打ち倒し安全にその力を扱えるようにした二人はハイタッチをした。
「さぁ私?、この力で絶対にDIVAに勝つわよ」
「ええ!」
バトルシアの本能に打ち勝ったアリシアは皇帝アリシアと分かれると現実世界に戻りシロに乗って王都にへと戻る。




