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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第四部、六章、聖騎士のお仕事と金色の九尾の帰還
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六話

アリシアの部屋


早朝、少女がムクリと身を起こす。


「目が覚めてしまったわ・・・、こんなに早く・・・」


まだ日が上がる前で外は真っ暗、こんなに早く起きるつもりはなかったアリシアが目を覚ました原因は一つ、グレイとのデートが楽しみすぎたのである。


「シロー?おはよう」


グレイを起こす訳には行かないため、アリシアは静かに部屋から出て竜着き場に向かうとシロに挨拶する。


「クー」


シロはアリシアの挨拶に答え鳴く。


「ふふっ、行っておいで」


「クー!」


基本的にメイドが運んで来る食事を食べるシロだが、竜としての本能で狩りをしたがっている。その為アリシアは定期的にシロに狩りに行くのを許可しているのだ。


嬉しそうに鳴いたシロは羽を広げると飛び立って行く。それを見送ったアリシアは部屋の中に戻りベッドの上に登るとニマニマと眠る彼氏の寝顔を見る。


「早く起きてね?、私の彼氏君、私、今日は本当に楽しみにしてるんだから」


アリシアは眠る未来の夫の顔を見つめながら横になる。そして彼が目を覚ますまでの幸せなひと時を楽しむのだった。




「準備出来たか?」


「ええ」


二時間後、グレイが目を覚ました。二人は早速デートに行く為の準備を始め。アリシアは以前買った服をグレイも前日に買っておいた新品の服を着ていた。


「それじゃ行こっか、シロー?飛ぶよー?」


「クー!」


牧場にはシロで向かう。アリシアはシロに近付くと撫でてから乗り込む。


「ほらあなたも乗って?」


シロに乗ったアリシアは自分の後ろをポンポンと叩きグレイに乗るように言った。


「おう」


グレイもシロに乗り込む。


「落ちないように私の腰に手を回しておいてね」


「へいへい」


アリシアに腰に手を回すように言われたグレイは言葉は適当だが彼女とは言え女性の腰に手を回すのは小恥ずかしい為。若干照れつつアリシアの腰に手を回す。


「ふふっ、行くよー!」


グレイが腰に手を回した瞬間更に機嫌が良くなったアリシアは手綱を引きシロを空に飛び立たせる。あっという間に高高度まで上がったアリシアとグレイは眼下の城下町や王城を見つめる。


「見て、あんなに大きくて立派な街に私達って暮らしてるのよ?」


「凄いよな、人って、こんなに大きな街を作れるんだから」


アリシアはシロを旋回させながらグレイと共に街を眺め牧場に向けて舵を切ると空を行き牧場に向かって行く。



ルンルン牧場


ここはルンルン牧場、ここで作られる乳製品はとても美味しいと評判であり出来立ては更に美味しい為それを目的として観光客が良く訪れる。馬車着き場にシロを着陸させたアリシアとグレイはその観光客の一人として牧場の中を歩いている。


「わぁー!、牛がいっぱいいるわ!グレイ!、可愛い!」


のどかな牧場には沢山の牛がいる。グレイの腕に抱き着いているアリシアは無邪気にのんびりと草を食べる彼等を見て声を上げた。


「触ってみるか?」


「うん!」


二人は数いる牛達の中で大人しそうな者に近付く。そしてアリシアは恐る恐ると牛に手を伸ばすと・・・。


「ひゃん!」


顔を舐められアリシアは可愛らしく声を上げた。


「はは、舐められちまったな」


「いきなりでびっくりしちゃったわ・・・もう!、そんな悪い子の頭は私がいっぱい撫で撫でしちゃうんだから!」


アリシアはグレイから離れるとワッシワシと牛の顔を撫で始めた。アリシアに頭を撫でられる牛は困った様子だが気持ち良いのでなすがままにアリシアに頭を撫でて貰う。


「ふふっ、可愛い、きゃっ!?、もう舐めちゃだめー」


ご機嫌な様子で牛の頭を撫でているとまた顔を舐められる。楽しげな様子な彼女を眺めるグレイはここに来て数分だが可愛い彼女の様子を見れた為ここに来て良かったと思うのだった。



撫でて舐められと牛と触れ合ったアリシアは牛君に手を振ってお別れをし牧場をグレイと手を繋ぎ歩いている。


「見て?、ヨーグルトだって」


「出来立てのヨーグルトか、絶対にうまいな、食うか?」


「うん」


ルンルンヨーグルトは王都でも女性に美味しいと評判のヨーグルトである。その出来立てを食べれるのだ、アリシアはウキウキとヨーグルトを売っている売店に近付き二個買い一つをグレイに手渡す。


「俺が買おうとしてたのに・・・」


「良いの、ほらあーん」


「ん」


自分が彼女の為にヨーグルトを買ってあげたかったグレイは少し拗ねる。それを見てアリシアはクスクスと笑いながら首を傾げあーんと彼の口にヨーグルトを運びグレイはパクリと食べた。


「美味しい?」


「うん、適度に甘くてこりゃうまい」


「そう!、なら次は私!、ん!」


「はいはい、ほらあーん」


次はアリシアがグレイにあーんして貰いアリシアは頬を赤く染めつつ口に運ばれて来たヨーグルトをパクリと食べる。


「おいしー!、ねっ!これみんなの分も買って行きましょう!?」


ヨーグルトの美味しさに頬に手を当てて感動したアリシアはメア達の分のヨーグルトも買おうと言う。


「今度は俺が買うからな?」


「はいはい、私達の分を買うのも忘れないでね?」


「分かってる」


メア達の分のヨーグルトを買ったアリシアとグレイはヨーグルトコーナーから離れた。



アリシアの部屋


「ただいまー!」


夕方、たっぷりと牧場でのデートを楽しんだアリシアはグレイと共に部屋に帰って来た。


「楽しかったか?」


「勿論、でもね?一つ忘れてる事があるわ?」


「なんだ?」


「デートなのにキスして貰ってない」


「・・・あんな人が多い牧場でキスは無理だろー」


「分かってる、だから今して?」


「はいよ」


彼女の注文を受けグレイはアリシアを抱き寄せた。抱き寄せられたアリシアは目を閉じる。それを見てグレイは彼女の顔に自分の顔を寄せてキスをした。


「えへへ、やっぱりあなたとキスするの好き」


グレイとのキスを終えたアリシアは頬を染めながら微笑む。


「俺もさ」


グレイもアリシアに微笑み返して髪を撫でる。


「みんなにヨーグルト渡してからご飯食べに行こ?」


「はいよ、何食べたい?」


「お肉!」


「肉、好きだよなぁお前」


「美味しいもん!」


「まぁな、うまいよな」


たわいもない話をしながらアリシアとグレイは部屋から出て行く。そのなんでもない会話を出来る事が一番な幸せだと感じながら。

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