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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第四部、六章、聖騎士のお仕事と金色の九尾の帰還
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五話

アリシアの部屋


カリカリと紙に羽ペンで何かを書く音が聞こえる。グレイ達にこの日の訓練内容を伝えてから自室に戻ったアリシアがメアに手伝って貰いながらこれまでの任務の詳細な報告書を書いているのだ。


「アリシア、給与明細が来てます、確認しておいて下さい」


「おー!初給料!、どれどれ?、・・・!?」


この日はアリシアが聖騎士になって一ヶ月目、アリシアの口座に初めての給料が振り込まれた。メアから給与明細を受け取ったアリシアはウキウキと給与明細が入った手紙の封を開け目を見開く。


「に、二百万ゴールド・・・?」


「はぁ!?、そんなに貰ったんですか!?」


アリシアの給与額を聞いたメアは椅子から立ち上がりアリシアの背後に回ると彼女が持つ明細書を覗き込む。すると確かに振込額が二百万ゴールドと書いてあった。ちなみにメアの様な側付き業務を行う騎士の給与額は36万から増額して行き、通常騎士の給与額が25万からとなる。最後に部隊の隊長をしているオーグルの給与額は85万である。


「びっくりしたぁ・・・、聖騎士ってこんなに貰えるのね・・・」


これまでのお小遣いが月15万(お嬢様であるアリシアはこれでも多い事に気付いていない)であったアリシアの心臓はあまりの給与額に激しく動悸している。一瞬バトルシアの血がピクリと反応し目覚めかけた程の驚きであった。


「羨ましいですよ、それだけあればなんでも出来るじゃないですか」


「と言っても欲しいものなんてないわ・・・」


今アリシアが一番欲しい物は結婚指輪だがそれはグレイからプレゼントされるべき物。現状の装備にも満足している為アリシアに今欲しいものは特にはないのだ。


「まっお金は全部使わないといけないと言う物ではありませんし、欲しい物がないのなら貯めましょう、結婚するのならば家を買ったりもするでしょうし」


「そうね、大好きな人との二人暮らし!、最高ね!、その為に貯めなきゃ!」


(この給与額だとすぐに大豪邸を買えるくらいの資金が溜まるでしょうね・・・)


家買うぞー!とウキウキしているアリシアを見てメアは微笑みながらそんな事を考える。


「おー、終わったぞー」


ウキウキし終えたアリシアが報告書作成の作業に戻ると訓練を終えたグレイ達が部屋に入って来た。それを見てアリシアは彼のプライドを守る為にもスッと給与明細を机の中に隠す。


「ご苦労様」


アリシアは首を傾げて微笑むと訓練を終えた部下達を労う。


「なっ!アリシア!、訓練終わったし鎧見に行こーぜ!、父ちゃんと母ちゃんに話したら予算出してくれたからさ!」


「私も貰ったよー!」


「ふふ、私もよ」


どうやら皆両親に鎧の予算を貰って来たようだ。


「いくら?」


アリシアは各自の予算を聞く。


「六万!」


「十五万よ」


「二十五万だよー!」


「・・・」


「・・・、あ、あら!、みんなそれだけあれば良い鎧が買えるわね、ちょっと待っててね、仕事まだ終わってないから!」


「アリシア?、気を遣ってくれなくて良いから・・・」


「き、気なんて使ってないもん」


シールスがポンっとアリシアの肩に手を置く、アリシアはツーンとそっぽを向いてから仕事に戻る。




城下町、武器防具屋


エリシャディアなどの整備をして貰いによく来る賑やかな武器防具屋にアリシアとシールスとシメラとニアが入って来た。


メアは執務仕事に疲れたからお昼寝して来ると伝えアリシア達から離れて行き。グレイは途中まで一緒だったのだが町に入るとソワソワとアリシア達から離れて行った。それを見てアリシアは首を傾げたが何かを察したニアが気にするなとアリシアの手を引き四人はこの店に入った。


「おや、アリシア様じゃないか、また鎧を壊したのかい?」


「壊してないわよ、ポルボさん、今日は私の部下達の鎧を見に来たの」


「ほうほう!、それはうちの経営的にも嬉しいね!、是非見てくれ!」


三人分も鎧が売れる訳だポルボはウキウキと美少女達を案内し鎧コーナーに入る。


「それじゃ、鎧の説明が必要なら言ってくれ、すぐに来るから」


「ええ、ありがとう」


アリシアは去りながら手を振るポルボに手を振り返し、少女達は鎧を見る。


「赤!、やっぱり赤だよな!、かっこいいもん!」


シールスは赤い鎧をご所望の様だ。剣も赤髪も赤、騎士服は通常のグレーの物な彼女は騎士服の色が気に入らない為赤い鎧が欲しいのである。


「私は水色が良いかなぁ、可愛いもん」


シメラは水色の鎧が欲しい様だ。普段着は水色の物が多くシメラの好きな色なのだ。剣はマジカルと言う名の影響もあってカラフルであるが。


「フフ、私は黒、誰がなんと言おうと黒」


ニアは黒い鎧が良いようだ。元黒騎士様なのだからこの色が好きなのは当たり前である。


「はいはい、ならシールスのから選びましょうか、おっ鉄製の赤いのがあるわよ」


「あたしの好みの赤じゃない・・・」


「じゃあどんな赤が良いのよ?」


「隕石落としをした時の赤い人が乗ってたサなんとかってやつと同じ赤」


(それってサザ・・・!)


「こ、こんな感じの赤?」


色々吹っ切れた結果ロボ好きに戻っている皇帝アリシアが何か言いかけたが。アリシアが慌てて遮りシールスが言った通りの赤い鎧を指差す。


「おお!これこれ!、ん?総帥モデルって何だ??」


「な、何のことかしらねー?、それで幾らするの?」


「38170だって」


(んんー??三倍なの?語呂合わせね!)


「さっきから煩いわよ!、安いじゃない、これにする?」


「おう!」


シールスは鎧にかけられている札を取る。商品に付けられている札をポルボに渡すと店の中の商品を購入できると言うシステムなのだ。


「私はこれかな、可愛い」


シメラも好みな水色の鎧を見つけていた。素材はスイミー鉱石。水中で鉱石取れる鉱石である為この名前が付けられた強固な素材である。値段は24万とギリギリ予算内だ。


「確かに可愛い、ニアは?」


ニアは黒い鎧が集められたコーナーでうむむと悩んでいる。どうやら棘が沢山ついた厳ついデザインの物かスラっと装飾のないシンプルなデザインの物かで悩んでいるらしい。どちらも素材はブラックストーンと言う素材で作られており値段も同じく十三万だ。


「どっちにするの?」


(右ね!!棘いっぱいでカッコいいわ!)


「うーん、こんな棘だらけだと引っかかりそうだし左にするわ」


(ええー!?カッコじゃない!、右にしなさいよ!ニア!)


「・・・なんか声が聞こえる気がする」


「ご名答、もう一人の私が右にしろって叫んでるわ」


「!、な、なら右にするわ!」


「それで良いのかニアよ・・・」


アリシアは皇帝アリシアが右にしろと言っているのを聞き右の鎧を選んだ。やたらとトゲトゲな物を。


「ポルボさーん?、会計をお願い!」


「おう!」


アリシアが会計を頼み。シメラ達は無事鎧を購入した。折角なので鎧を着て少女達は外に出る。


「ね、ねぇあの子・・・」


「トゲトゲ・・・」


「な、何よ!、かっこいいでしょ!?」


「「・・・」」


早速通行人にコソコソと言われたニアは顔を真っ赤にしながら叫んで彼女達を追い払う。


「・・・ねぇニア?恥ずかしいのなら変えてもらったら?」


「そうします・・・」




トゲトゲな鎧からシンプルな鎧に変えて貰ったニアとアリシア達が町を歩いている。目的地はソフトクリーム屋だ。


「グレイ!、何してるの?」


するとアクセサリーショップから出て来たグレイと出会った。アリシアは彼の腕に抱き着いてから何をしているのか聞く。


「な、なんでも?、お前らこそ何してんだよ?」


グレイはソワソワとしながらなんでもないと言いアリシア達に何をしているのか聞く。


「ソフトクリームを食べに向かっている所、フフ、良いの見つかった?」


ニアが現在の目的をグレイに伝えついでに彼に良い物が見つかったか聞く。


「お、おう、あんまり高くはないけどな」


「そう、それでも誰かさんは喜んでくれるわ」


ニアはそう言うとアリシアに向けて優しく微笑みかけた。


「何の話?」


「鈍い子で良かったわねグレイ」


「ああ本当にそう思う」


「だから何ー?」


アリシアはグレイとニアにニヤニヤとされ何だよーと頬を膨らませる。このやり取りでシールスとシメラもグレイが何をしていたのか察し二人もアリシアをニヤニヤと見る。


「本当に何よ?、教えてくれても良いんじゃない?」


「ヤダね、まっそのうち分かるよ」


「むー!」


ついに怒ったアリシアはグレイの胸をポコポコと叩く。そんな彼女をニア達は暖かく見守る。



夜、アリシアの部屋


ベッドの上に寝転がっているアリシアはまだ昼の事を拗ねていた。騎士となってからはこの部屋でアリシアと一緒に眠るようになったグレイは拗ねる彼女の頬をツンツンと叩くと頬を膨らませ背を向けられてしまう。


「なぁー?、機嫌なおしてくれよー」


「ふん!」


「へぇ・・・、明日は俺達休みだしデートに行こうと思ってたのになぁ、ほら前に言ってた牧場さ」


先日グレイに行きたいと言った牧場でのデートと聞いたアリシアは振り返るがグレイの顔を見ると頬を膨らませまた彼から背を向ける。


「ほらほらー機嫌直さないと行かないぞー?」


グレイはアリシアの綺麗な髪をグシャグシャと撫でて機嫌を直さないと明日デートに行かないと言う。


「なら隠してる事を教えて」


クルンと転がりグレイの方を向いたアリシアは隠している事を話せと彼に言った。


「ごめん・・・、これだけは本当にあと少しだけ待って欲しい」


「・・・そこまで言うのなら、分かったわ、その代わりキスして」


「おう」


グレイは頬を赤く染めながらキスをして欲しいと言うアリシアを抱き寄せ優しくキスをした。長いキスをしたあと顔を離すとキスをして貰い少しだけ機嫌を良くしたアリシアが微笑みかけて来る。


「次はギュッとして」


「おう」


今度はギュッとして欲しいと言うアリシア、グレイはそのオーダーに答えアリシアをギューと抱きしめる。するとグレイの腕の中からえへへとアリシアの嬉しそうな声が聞こえて来た。


「明日、楽しみにしてるからね?」


「任せろ、聖騎士アリシア様を丁重にエスコートさせてもらいます」


「ふふっ、うん!」


機嫌を直したアリシアは可愛らしく微笑み。暫くするとグレイの腕の中で幸せそうに眠り始めた。グレイは眠る彼女の髪を暫く撫でた後自分も眠り始める。

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