250/344
皇帝アリシアの優雅なひと時
アトリーヌ城、中庭
アリシアは城の中庭にある皇帝専用の傘付きのテーブルを使いお茶を飲んでいた。
「どうぞ」
アイリーンが紅茶をティーカップに淹れアリシアに手渡す。
「ありがとう」
紅目の少女は紅茶をアイリーンから受け取ると一口啜る。
「美味しい」
「ふふっ、喜んでくれて光栄ですわ」
アリシアの感想を聞きアイリーンは嬉しそうにする。
「そう言えばさ母さん、このテーブルって初代皇帝、つまり母さんのご先祖様も使っていた歴史あるテーブルなんだって、という訳もあって専属の手入れ人がいていつもピカピカに磨かれてるの」
「ふぅん、ゾフィディアお婆様の・・・」
アリシアは最早自分の一部となっているゾフィディアの記憶を探る、すると確かにこの机はゾフィディアが使っていたものであるようだ。
「ゾフィディアお婆様は私でもある、尚更大切に使わなきゃね」
「ええ、そうしてくれるとこのテーブルも喜ぶわ」
長き時を経て持ち主の元に戻る事になったテーブルは嬉しそうに輝いた。




