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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第四部、五章、バトルシアの血編
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三話、覚醒

皇帝の部屋


アリシアは囚人服からメイドが用意した青いドレスに着替えさせられていた。そのドレスはアリシアの綺麗なボディラインを引き立てておりアリシアと言う少女の魅力を更に底上げさせていた。


「美しい、お前はやはりドレスが似合う」


「私は聖騎士よ!、ドレスを着るつもりはない!、だから鎧を返して!」


「断る、先も言ったがお前はこの鎖に繋がれている時点で私の物だ、ならばお前に何を着せるのかも私の自由さ」


そう言ってオルボルクはアリシアの胸を触り始めた。


「やめて・・・」


グレイと言う最愛の者がいるのに他の男に体を触られるのはアリシアにとって耐え難い苦痛である。その為アリシアは瞳に涙を溜めやめて欲しいと言う。


「その反応、男がいるのか、フン美しいお前だ彼氏の一人くらいは居てもおかしくはない、だからこそだ」


オルボルクはアリシアの胸から手を離しアリシアを抱きしめる。


「お前の身も心も私の物にしてやろう、クク、お前に拒否権はないぞ?、これを使えばすぐにそうなる」


(早く・・・早く逃げないと私無理矢理にこの人の物にされちゃう・・・、どうにかしなきゃ!!)


アリシアはマインドストーンに対しての怯えを感じながらどうにかしてこの場所から逃げる方法を考え始めた。




ナイリアーノ城、地下闘技場


皇帝の部屋を後にしたオルボルクはアリシアを繋いでいる鎖を引き地下の闘技場に来た。


「ここで何をするの?」


「勿論、お前のバトルシアの血を目覚めさせるのだ、ククク、我が帝国史上最強の兵器を作る為の作業をここで執り行う」


「私はこの国の兵器になんてならないわ!」


「ククク、口ではどうとでも言える、さてこれを飲め」


「んん!?」


オルボルクは持っていた器の飲み口をアリシアの口に無理矢理に入れた。アリシアは器の中の液体を飲み込まないように吐き出そうとするがラフォリアが背後に現れ顔を抑え付けられ飲むしかない状況にされ液体を全部飲んでしまった。


「な、何よこれ・・・」


オルボルクとラフォリアに解放され力なく地面に座り込んだアリシアは液体の正体を聞く。


「我が帝国が開発した闘争本能を引き上げる効能を持った薬だよ、どうだ?戦いたくなって来たであろう?バトルシア人よ?」


「そ、そんなわけ・・・」


アリシアはオルボルクの言葉を否定しようとする。しかしラフォリアの顔を見た途端敗北の記憶が蘇り闘争本能と敗北に対する激しい怒りが込み上がりアリシアはラフォリアに殴りかかった。


「ぐぅ!?」


いきなりアリシアに殴られたラフォリアは何回か地面をバウンドしながら転がっていく。


「な、なんで・・・、私、戦いたくなんて・・・うっうう・・・」


激しい闘争本能に襲われるアリシアの顔には口では戦いたくないと言いつつも笑みが張り付いていた。心は違っても体は暴力を振るえる事を楽しんだいるのだ。そして・・・体だけでなく心も暴力を振るうのを楽しむようになった時、アリシアのバトルシアの血は覚醒するのだ。


「素直になれバトルシア人よ、過去のお前達は少数と言えどその圧倒的な力でプレミリカと言う国を統一して見せた、記録にも残っているぞ?お前達は敵を虐殺する事を楽しんでいたとな、ククク実に野蛮な血だなぁ?、お前の体に流れる血は」


オルボルクはアリシアに流れる血を野蛮だとせせら嗤った。


「アリシアよ、ラフォリアを殴った程度では足りぬだろう?、だからたっぷりと暴力を振るえる相手をな用意してやった」


そう言ってオルボルクが腕を振るうと地下闘技場の奥から大量の血走った目をした魔物が現れた。皆アリシアと同じ薬を投入されておりまだある程度の理性を保っているアリシアと違い。皆アリシアと言う獲物を殺す事しか考えていない。


「好きなだけ戦い、バトルシアの血に目覚めると良い」


オルボルクはそう言って魔封石の手枷から鎖を外しアリシアの両腕を自由をする。そしてラフォリアと共に観客席に登って行ったのと同時に闘技場自体が鉄格子によって閉め出される。


「グルル・・・」


「ガァァ!」


血走った魔物達は我慢が出来ないと言った様子でアリシアにジリジリと詰め寄って来る。アリシアは後退りし魔物から離れようとするが闘技場の壁に背中が付いてしまった。


「ガァァァ!」


アリシアが背後の壁を確認する為視線を逸らした途端魔物達が飛び掛かって来た。アリシアは慌てて横に飛び退き魔物の突進を避ける。アリシアに避けられた理性のない彼等は壁に激突して行くがすぐに立ち直り避けたアリシアに攻撃を仕掛ける。


「くっ!、魔力も使えないのにどうしろって!」


魔封石が両手首に付いている時点でアリシアは魔法が使えないならば身体能力だけで魔物達を退けないと自分の命が魔物達に奪われてしまう。アリシアは死なない為にも飛び掛かって来た狼型の魔物達の一匹を殴って弾き返す。


ドクン・・・


「なっ、今の・・・」


薬により興奮状態にある為か普段敵に攻撃した時には感じた事がない胸の高鳴りをアリシアは確かに感じた。アリシアは激しく鼓動する胸を押さえ俯く。その瞬間狼型の魔物の一匹がアリシアの肩に噛み付いた。


「ああ!?、このぉ!」


噛み付かれたアリシアはハッとして顔を上げ魔物を蹴り飛ばす。


ドクン・・・!ドクン・・・!


すると今度は先よりも力強く心臓が鳴った。


「この感じ・・・戦っちゃ駄目だ・・・、なのに・・・!」


どう考えても戦えばオルボルクの思い通りになると言う状況。しかし狼の魔物達はアリシアを殺す為に次々と飛び掛かって来る。アリシアは自分が死なない為にも狼達を迎撃し。遂に一匹の魔物をアリシアは殺した。


「あっ・・・」


アリシアは死んだ魔物から目が離せなくなる。同時に心臓の鼓動が更に早まって行く。


「ガァァァ!」


狼型の魔物は再び動きを止めたアリシアに飛びかかるがアリシアは顔を動かさずに裏拳を命中させもう一匹殺した。


「あはっ」


殺す度殺すのが楽しくなって来る。こんなに楽しいのならもっと殺したい。そう思ったアリシアは逃げるばかりであった先程と違い脳内で響く来る誰かの叫び声を無視し自分から狼達に飛び掛かって行く。


「始まったな、見ておけラフォリア、バトルシアの血に覚醒した者が再びこの世界に降臨するその瞬間をな」


「はい」


オルボルクとラフォリアが見守る中アリシアは楽しげに微笑みつつ次々と狼達を殺して行く。一匹二匹と殺して行く度に理性が薄れて行き。戦うのが楽しくて楽しくて仕方がなくなって行く。それはもう薬の効果だけではなかった。アリシアは既に本能で戦いを楽しみ始めていた。


「あれぇ?、もう終わりぃ?、もっともっと殺したいのに・・・」


アリシアは僅か五分で数百匹いた狼達を殺し尽くした。しかしバトルシアの血に目覚め始めたアリシアはまだまだその闘争本能を満足させられていない。もっともっと殺しをしたいそう思う。


「ククク、安心せよ、まだいるぞ」


オルボルクが指を鳴らすと今度はドラゴンが現れた。


「あはは!強そう!、だから!殺さなきゃ!」


アリシアは嬉々としてドラゴンに飛び掛かって行く。ドラゴンは迫るアリシアにブレスを放つがアリシアは構わずその中に飛び込み突破するとドラゴンの顔の目の前に迫る。


「ほらぁ!!」


アリシアはドラゴンの顔を蹴り上げたそして跳ね上がった顔を両手で掴むとドラゴンを放り投げる。


「何という力・・・、もしや・・・」


「あぁ、右肩を見よ」


相当な体重を持つドラゴンを軽い動作で放り投げたアリシアを見てラフォリアは血に目覚めたのではないか?と思う。オルボルクはラフォリアの考えに同意して頷くとアリシアの右肩を指差す。そこには薄っすらとバトルシア人である事を示す紋章が現れていた。


「覚醒が始まったのだ、ククク見ておけ、ここからは凄まじいぞ?」


「はい・・・」


ラフォリアは思うアリシアには今よりも上があるのか?と。ドラゴンはそんなラフォリアのアリシアに対しての恐怖心に答えるようにアリシアに向けて腕を振り下ろす。


「あはぁ!」


アリシアはドラゴンの腕を片手で受け止めると引き千切った。そしてもう一度ドラゴンを全力で蹴り飛ばし仰向けに転ばせると両手で持つドラゴンの腕で何度も何度もドラゴンの顔を殴りドラゴンを嬲り始めた。


「死ね!死ねぇぇ!、あはははは!!」


ドラゴンを嬲るアリシアの肩のバトルシアの紋章がくっきりとした物になる。アリシアはオルボルクの思惑通り完全にバトルシア人として覚醒したのだ。同時に今まで勝手に体が抑え込んでいた身体能力が解放され。アリシアは暴走状態となる。


(あれぇ?私何してたんだっけ?、訳わかんない)


城から逃げようとしていた事すら忘れアリシアは彼女に殴り殺されたドラゴンの代わりに投入された魔物達をその驚異的な身体能力で次々と殺して行く。





「まだ足りない・・・、もういないのぉ??」


やがて帝国がストックしていた魔物が尽きた。それでも無数の死体の山の中で少女は敵を探し続ける。


「フン、やはりバトルシアは野蛮だな、ここまで暴走をされれば使い物にならん」


「!、あは!」


皇帝が闘技場の中に入りアリシアに話しかける。皇帝の姿を見たアリシアは彼を新たな敵と認識し飛び掛かって行く。


「はぁぁ!」


しかし真上から飛び降りて来たラフォリアにアリシアは地面に押さえ付けられた。


「離せぇ!!」


アリシアは驚異的な力を持ってラフォリアを追い払おうと暴れ始める。


「へ、陛下!早く!」


「分かっておる」


オルボルクはマインドストーンを取り出すとアリシアの顔に近付けて行く。本能的に今顔に近付けられている物がいけない物だと判断したアリシアは更に暴れるがその前にアリシアの額にマインドストーンが触れ頭の中に入って行く。


「さて、アリシア・リィターニアよ、お前の主人は私だ?、そうだな?」


マインドストーンが頭の中に入った途端大人しくなったアリシア。オルボルクはそれを確認してからラフォリアを離れさせアリシアに自分が主人かどうか聞いた。


「えっ?、は、はい私のご主人様はオルボルク様です?」


アリシアはマインドストーンに操られるままにオルボルクが主人だと認めた。


「そうだ私はお前の飼い主で主人だ、絶対に忘れるな、そしてお前は我が帝国に忠誠を誓い、そして我が帝国の史上最強の兵器として我が帝国を守るのだ、そうだな?アリシアよ?」


「はい、私はオルボルク様を私の飼い主であり主人として認め、帝国に忠誠を誓い、ナイリアーノ帝国の史上最強の兵器となります」


「次にこれまでの記憶は全て忘れ私に拾われ今まで生きて来たと記憶を改変せよ」


「はい、記憶を改変します」


この瞬間アリシアの記憶はマインドストーンにより封じ込められ。代わりに皇帝に拾われ十八になるまで生きて来たと言う偽りの記憶が作り出される。オルボルクは同時に魔力を放っていた腕を下げアリシアに話しかける。


「あ、あれ?、私は何故こんな所に・・・?、それに何でこんなに魔物達が死んでるの?」


偽りの記憶が植え付けられたアリシアは不思議そうな様子で辺りを見渡す。


「捕らえていた魔物が暴走したのだよ、そして私達はこの闘技場からこやつらが逃げ出さぬよう監視をしていたと言う訳だ、だからお前がここにある死体を気にする必要ない」


オルボルクは混乱しているアリシアを安心させる言葉を言った。


「分かりました」


アリシアはオルボルクの言葉を聞き頷く。


「おいで、アリシア」


「はい!ご主人さまぁ!」


オルボルクは納得した様子のアリシアに自分の元に来るように言った。その言葉を聞いたアリシアは嬉しそうな様子で彼に飛び付く。今のアリシアにとってオルボルクは孤児だった自分を拾ってくれた大切な主人となっているのだ。


「クク、可愛い奴め」


オルボルクは抱き着いて来たアリシアとキスをする。アリシアは嬉しそうに彼のキスを受け入れ舌を絡め彼に自身の大きな胸を押し付ける。


「えへへ、ご主人さまぁ、大好きです」


「あぁ、私も愛しているよ、アリシア」


キスを終えオルボルクから顔を離したアリシアは彼の腕に抱き着く。オルボルクはアリシアの柔らかい胸の感触を堪能しながら闘技場を後にする。



オルボルクの部屋


夜、アリシアが幸せそうにオルボルクのベッドの上で眠っている。オルボルクは眠るアリシアの髪を撫でながら右肩にして現れた紋章を見る。


「存分に働いて貰うぞバトルシア人よ、かつてプレミリカを支配した時のようにな?」


そう言って彼はアリシアに覆い被さる。その衝撃でアリシアは目を覚まし彼に微笑みかけた。


「今日も私の事、可愛がってくれますか?、ご主人様」


「あぁ、たっぷりと可愛がってやろう」


「えへへ、大好きです」


オルボルクはアリシアにキスをし服を脱がして行く。オルボルクは服の下から現れたアリシアの胸に触りつつアリシアの別の所を触ろうとした。その時だったアリシアの脳にチクリとした痛みが走る。


「いや!」


痛みを感じたアリシアはオルボルクを突き飛ばすと彼の下から這い出て部屋の隅に逃げ込む。


「どうした?」


「近付かないで!」


オルボルクがアリシアに近付く。魔封石を外されているアリシアは魔力を解放しオルボルクを警戒する。マインドストーンに操られているアリシアだがそれでもグレイへの想いは消えておらずキスは許してもそれ以上は許さなかったのである。


「・・・私も嫌がる女性に手を出す趣味はない、だから安心してくれ?、悪かった」


そう言ってオルボルクはアリシアに手を差し出す。アリシアは身を震わせながらもその手を受け入れ彼に髪を撫でて貰った。


「今日は部屋に戻れ」


「はい・・・、ごめんなさい、ご主人様・・・」


「よい、私が悪いのだ」


(・・・今の痛みなんだろう?)


主人に部屋に戻るよう言われたアリシアは痛みの正体を疑問に思いつつ自分の部屋に戻って行った。

先に書いておきますがアリシアはグレイと幸せになります。今回はいわばその為の試練です。

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