十話、新ウェポンビット
白と黒の世界
「なぁに?」
夜、眠る前皇帝アリシアに白と黒の世界で話したい事があると言われたアリシアは精神世界にいた。
「私達の剣についてよ」
皇帝アリシアはそう言うとエリシャディアを右手に持つ。
「その子がどうしたの?」
アリシアは自身の愛剣がどうしたのか聞く。
「私達の剣、エリシャディアの能力は武器の創造、それは分かっているわよね?」
「うん」
「ならば、私の知識を使えば魔力量次第ではもっと凄い事が出来るはずなの」
「んー?どんな事?」
アリシアはワクワクしながら皇帝アリシアに続きを話すように促す。
「ふふふ、続きは現実世界でね、後もう一つ私達なら出来るはずの事を話しておくわ」
「なんだよー今話せば良いじゃん、それで?私なら出来るもう一つの事ってなんなのよ?」
「フュージョンよ」
「フュージョン?、融合がどうかしたの?」
アリシアは皇帝アリシアが言ったフュージョンと言う単語について聞いた。
「この世界のビジョンの中であなたが夢の中で私と融合していたと言っているのを見つけたわ」
「それがどうかした?」
「言ったね」
アリシアは少し前のメアとの会話を思い出す。
「だからこそ私は考えたの、他人の精神は普通ならば無理矢理に取り込まないといけないけども、ほぼ同じ魂であるあなたと私の魂ならば、安全に融合が可能なんじゃないかってね」
「それってなんか凄いの?」
「そりゃあもう凄いわ?、私の魂は闇と雷の魔力を扱える、あなたの魂は光と雷の属性を使える、その二つの魂が合わされば私達は光と闇と雷、三つの属性が使えるようになる、三つの属性を掛け合わせればそれはもう凄い事になるわ!」
「おおー!」
皇帝アリシアの話を聞き飛躍的なパワーアップが出来ると思ったアリシアは、これならばDIVAに勝てるかもしれないと思った。
「ただし、三つの属性を扱うには強靭な肉体が必要!、だから鍛えて鍛えて鍛えまくるわよ!」
「おー!、強くなる為に頑張ろうね!!私!」
子供っぽく腕を振り上げ頑張ろうと言うアリシア。
「ええ」
皇帝アリシアはそんな彼女を見てクスクスと笑いながら頷いた。
「それじゃトレーニングのメニューを・・・」
考えましょうか。皇帝アリシアがそう言おうとした所で白と黒の世界に大音量で外の世界での爆発音が聞こえて来た。
「!!、外で何か起こったんだわ!、起きなきゃ!」
「ええ!、アレシアが危ない!、さっき言ってたウェポンビットの新しい使い方、早速試すからそのつもりで!」
「おう!、ドンと来いってんだ!!」
白いドレスに包まれた胸をドンと叩いてからアリシアは現実世界に戻って行く。
「さて、私も準備をしましょうか」
皇帝アリシアはそう言うとその場で腕を振るうするとエリシャディアを映したビジョンが現れた。
「さぁ、私の剣エリシャディアの真価を見せる時よ!」
プレミリカ王都、王城
「大丈夫!?、アレシア!」
白と黒の世界から戻り起き上がったアリシアは隣で眠るアレシアに声を掛ける。
「だ、大丈夫」
アレシア大丈夫だと頷くが何が起こったのか分からずそして敵が自分を狙っていると言う事もあり怯えて震えていた。そんな彼女を見たアリシアはそっと抱きしめた。
「大丈夫、あなたは私が守る、だから震えなくて良いの」
「うん・・・」
母に抱きしめられた安心したアレシアの震えは止まった。その事を確認したアリシアは金の鎧に身を包み腰に二つの剣を装備した。
「まずは王様の所に行く」
「分かった」
「爆発が起こった時点でこの王都は何者かに襲撃されてる、と言う事は必ず敵が来る、武器は抜いておいて」
「う、うん」
母の口から出た敵と言う言葉、剣の鍛錬を積んではいるが初の実戦であるアレシアは緊張した面持ちで頷く。
「行くわよ!」
片手にエリシャディアを持つアリシアは左手でアレシアの手を引きながら部屋の外に出た。
「!」
部屋を出てすぐ前方の窓の先にナイリアーノの竜騎士がいた。敵のスパイはどうやら竜騎士が王都に入れるよう手引きをしていたようだ。そしてこの国にやって来てから敵の襲撃までが早すぎた為リーリナとオデッセルスの捜査は間に合わなかったようだ。アリシアの傍にいるアレシアを見た竜騎士はドラゴンに命じ城の中に突撃して来た。
(ウェポンビットオン、シールドビットクリエイション!)
飛び散る窓ガラスや木屑を見てアリシアは咄嗟にアレシアをその身で庇う。その瞬間に脳内に皇帝アリシアの声が響き機械的な盾が無数に現れ二人を守った。
「ナニコレスゴイ、魔力全然消費してない・・・」
(ふっふっふ、あなたの体の中からウェポンビットを操作しているのだもの、徹底的な効率化により低燃費化を実現したわ!)
「なんだかその・・・ありがとうございます・・・皇帝陛下」
課題の一つであった低燃費化が皇帝アリシアのお陰で改善されたアリシアは皇帝アリシアに感謝する。
(良いのよ、アレシアを守る為ですもの、そんな事より前を見なさい、竜に攻撃されている時点でシールドビットは長くは持たないわよ)
「そうね、敵に集中しなきゃ!」
皇帝アリシアとの会話をやめ握っているアレシアの手を離し剣を構え直すアリシアその瞬間にシールドビットが壊され竜が口を大きく開きアリシアに迫って来る。
(シールドビットリリース、バスタービット!クリエイション!!)
皇帝アリシアの声が更に響き宙に二つの砲台が現れた。二つの砲台は砲口からビームを放ちドラゴンの顔にビームを命中させた。
「なにぃ!?」
「ガァァ!?」
竜はビームの直撃によりつんのめりその影響で竜騎士が竜から落ちる。それを見たアリシアは駆け出し竜の首を一刀両断斬り落とした。
(凄い・・・、これがママが戦う姿・・・、私が見て来たどんな人よりも凄い動きだわ・・・)
アレシアがアリシアの動きに驚く中、首を落とされ重力に従い床にへと落ちて行くドラゴンの体を踏み台にしたアリシアは加速をして竜騎士に迫る。
「アルトシャーニアの聖騎士め!、その首この俺が貰う!」
竜騎士は迫るアリシアに向けて横振りに剣を振るう。対するアリシアは地面に着地し勢いのまま靴を滑らせ竜騎士が振るった剣をギリギリで避けると振り被っていた剣を振るう。
「がぁ!?」
アリシアの剣をその身に受けた竜騎士は力なく倒れ絶命した。
「見つけたぞ!、アレシア姫!」
「大人しく投降しろ!」
更に六人のナイリアーノの兵士達がアリシアとアレシアに接近して来る。どうやら突然の襲撃にプレミリカ軍は対処出来てないようだ。
「私!アレシアに盾を!!」
(ええ!、バスタービットリリース!、シールドビットクリエイション!!)
バスタービットが消え再びシールドビットが現れアレシアを隠す。アリシアはそれを見てから駆け出し。
「秘奥義!、シックススラッシュ!」
キュイインと刀身が赤く輝きアルトシャーニア流剣術の六連撃技、シックススラッシュが発動した。シックスと言う名の通り六回連撃を放つ技で上位技はセブンスラッシュ、下位技はファイブスラッシュだ。連撃数が増えるほどに何度が増し。最高連撃数は十八連撃のこれを放てる者は確実な勝利を予期できる事からその名を付けられた金色の光を放つエクスペクトスラッシュだ。
「いっけぇぇ!」
アリシアは二連撃三連撃と連撃を重ね一瞬にして敵兵を討ち果たした。
「取り敢えずは来ない・・・か、アレシア!移動するわ!」
「ええ!」
アリシアはアレシアの手を取り駆け出す王の部屋に向けて、そしてT字型の通路に差し掛かった所で。
「かっはっ!?」
真横からの攻撃を喰らいアリシアは突き飛ばされ壁に激突する。
「油断大敵だよー?、聖騎士様?」
「くっ・・・、ただ者じゃなさそうね?、名前は?」
壁に激突しダメージを負いながらも立ち上がったアリシアは剣を構え敵の名を尋ねる。
「ナイリアーノの竜騎士パピカ、ナイリアーノ最強の騎士団と呼ばれるヴェアヴォルフ隊所属さ!」
「・・・ナイリアーノ最強の騎士団のメンバーか、どうりで私を吹き飛ばせる訳だ!、その強さを認め私も名乗ろう!、私は聖騎士アリシア・リィターニア!!、それがこれからあなたを討ち倒す女の名前だ!!」
「フン!アンタの名前なんかに価値はないね!さっさと殺して存在自体を忘れてやるよ!」
「やれるものならやってみな!」
聖騎士アリシアとナイリアーノ最強の騎士団ヴェアヴォルフ隊所属のパピカによる戦闘が始まった。




