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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第四部、四章、プリンセスアレシア編
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五話

プレミリカ王国、王都


三人を乗せた馬車を先頭にして一行はプレミリカ王国の王都に入った。異国の風景に興味津々なアリシアとメアは窓の側に行き二人で窓から外を見る。


二人が見たプレミリカ王都の様子は人に溢れた活気ある街であり。そして町の中心地には大きなギルドが見えた。この国には冒険者ギルドがあるようだ。


「・・・」


アレシアは窓から風景を見て楽しそうに話す二人の間に入ろうか入るまいか悩む。


「どうした?アレシア、見慣れた風景でしょうけど、私達と一緒に見よう?」


「後ですね?、私達に遠慮をする必要はありませんよ?、あなたがそうであるように私達もあなたと友達になりたいんです」


そう言ってアリシアとメアはアレシアに手を差し伸べる。


「うん!」


アレシアは二人が差し出した手を笑顔で取り、二人と共に王都の様子を眺め始める。




華やかな王都の中を進む馬車を見つめる者達がいる。


「プリンセスが戻って来たみたいよ?」


「あぁ、計画を実行する、準備しろ」


「了解」


監視をしていた者達は計画を実行する為の準備を始めた。




王城


馬車は王城の前で停車する。すると城の中から黒服を着た者達が出て来て馬車のドアを開ける。アレシアはそれを見て立ち上がると黒服に手を取られて馬車から降りる。


「聖騎士アリシア、お手を」


「ええ」


お嬢様として育ちこう言うやり取りに慣れているアリシアは慌てる事もなく黒服の手を取ると馬車から降りた。


「メア様、お手を」


「は、はひ!」


一方慣れていないメアはカチコチとした動きで黒服の手を取りカチコチと馬車から降りる、降りた後のメアの表情を見てやってやった!と声には出していないが言っているのだろうとアリシアは思う。


「それでは私は早速会議に向かう、そうだな・・・、アリシアよついて来い、会議の様子を見るだけでも良い経験になる」


「はい!」


王の誘いを受けたアリシアは嬉しそうな顔で頷く。王が言った通りどんどんと経験を積んで行きたいとアリシアは考えているのだ。喜ぶアリシアは王と共に城に入って行く。


「真面目なのねアリシアって、何回か同席したけどあんなつまらない会議に参加出来る事に嬉しそうにするなんて」


「アレシアも会議に出た事があるのですか?」


「うん、私はお姫様で次の王様、お父様に言われたら絶対に出席しないといけないの、今日は言われなかったからアリシアが代わりって事みたいだけどね」


(・・・私もお姫様のまま成長をしていればアレシアのような不満を感じていたのでしょうね)


メアもアルビオン王家の姫で次代の王となる者であった。しかし国が滅ぼされた事が原因でアレシアのような不満を感じる事はなかった。


「でも、アレシア?あなたのお父様はあなたに経験を積んで欲しいからあなたを誘うのです、あなたに立派な王様になって欲しいのですよ」


「・・・分かってる」


「ふふっ、それではアリシアが帰って来るまでどこかでお話ししましょう?」


「ええっ!、私の部屋に行きましょうっ!」


アレシアとメアはアリシアと王様達の後ろ姿を見送ってからアレシアの部屋に向かって行く。



会議室


アリシアは会議室の端で会議の様子を見ていた会議の内容は国家間の物の輸入輸出の話だ。騎士であるアリシアにとって特に興味がない話だがそれでもアリシアは真面目に話を聞く。


「それでは今後はこの方向で、次の話だが、ナイリアーノに関しての話だ」


ナイリアーノの名を聞きアリシアはピクリと反応し取り逃がしたエリシアな顔を思い出す。もう一人の自分の姉であるとメアに聞いた少女の姿を。


「あの国がどうした?、何やら戦力の増強を図っているのは知っているが」


シュルツ王はナイリアーノが強力な戦力となるであろうメアを取り込もうとしていた事を思い出しこの事を言った。


「彼等が戦力を増強しようとしている事ではないのだ、今回とは別の会議でとある噂を聞いてな・・・、どうやら我が娘を奴らは攫おうとしているらしい」


「・・・貴殿の娘を人質に貴殿の国と交渉をするのが目的だろうな」


「恐らくな・・・、そして奴等がして来ると思われる交渉の内容は・・・」


「あぁ、戦力の増強に関する事だろう、大方娘を返して欲しければ武具や資源や資金を寄越せと言って来るのだろうさ」


簡単に予想が出来るナイリアーノの目的、ドレド王の顔には娘が攫われるかもしれないと言う焦りが見える。


「そこで頼みたい・・・、そなたの聖騎士を貸してはくれないか?、我が国に潜むスパイを見つけ出し捕らえるか追い出して欲しい」


「子を想う気持ちはよく理解出来る、良かろう我が聖騎士にスパイを貴殿に貸し与えよう、聖騎士アリシアよ良いか?」


「勿論です」


話を振られたアリシアは騎士の礼をし王の言葉を了承した。


「ではこの場で言い渡そう、これより聖騎士アリシアにプレミリカ王国の姫アレシア殿の護衛任務を与える」


「はっ!」


「うむ、それではお前は常に聖騎士アレシアの側にいろ、スパイの捜索はリーリナとオデッセルスに任せる」


「分かりました、早速、任務を開始します」


「うむ」


任務を受けたアリシアは王に背を向けると部屋から出て行く。


「あれが最年少で聖騎士となった少女か」


「戦闘能力は折り紙付き、確実に貴殿の娘を守れる筈だ」


シュルツ王は自慢気にアリシアの実力を誇る。


「それに我が王家の血が流れているのであれば・・・」


「ん?、貴殿の王家の血に何かあるのか?」


「我が王家はバトルシアと呼ばれる少数しかいない戦闘民族であってな、過去の戦乱期では正に一騎当千の戦闘能力を発揮し多数の軍勢を率いこの国を統一してみせたのだ」


「・・・何かバトルシアの血に覚醒しているかどうかが分かる特徴はあるか?」


既に覚醒しているのであればアリシアは更なる努力をし実力を伸ばすしかない、しかし覚醒していないのであれば血を目覚めさせる事でアリシアは更に強くなれるかもしれない。その為アリシアが血に目覚めているかどうかを聞いた。


「血に覚醒している者には右か左の肩にバトルシアである事を証明する龍の姿を象った紋章が現れる、かつて我が王家には赤ん坊の頃からその紋章があったが、私にもアレシアにも現れてはおらん」


「ふむ・・・、女性にその様な事を聞くのは気が引けるが確認をしておくか」


王はアリシアに紋章があるかどうかを確認する為、先に部屋を出てアレシアの部屋に向かったアリシアの元に向かう。



アレシアの部屋


コンコンとノックする音、部屋の中にいるアレシアはどうぞと伝えたすると金色の鎧を着た少女アリシアが部屋の中に入ってくる。


「お待たせ、なんの話をしていたの?」


護衛対象を不安にさせるつもりはないアリシアはアレシアが狙われている事は話さない。余計な事を言い護衛対象が余計な動きをしてしまえば任務の失敗の可能性が高まるからだ。勿論メアには後で話す予定だ。


「剣技のお話ですよ、アレシアも国を守る為に王や騎士達から技を教わっているそうです」


「へぇ!、ならその内手合わせをお願いしたいわ!、プレミリカ王国の剣技がどういう物なのか見てみたいし!」


「聖騎士と呼ばれる剣士との手合わせは勉強になるだろうし、やりましょう!、なんなら今からでも良いわよ!」


「良いわよ?やろう」


「ええ」


アレシアは棚に立てかけられている愛剣を手に取る。


「さっ、鍛錬場に行きましょう」


「ええ」


アリシアとアレシアは鍛錬場に向かう為に椅子から立ち上がる。するとドアをノックする音が聞こえシュルツ王とドレド王が部屋に入って来てアリシアに迫る。


「あ、あら?、どうかしましたか?」


アリシアは二人の王が自分に迫って来たのを見て自分が何かしてしまったのか?と思い戸惑う。


「そなたの!」


「肩を見せて欲しい!」


「いきなりなんなんですかぁ!?、セクハラですよ!?」


大の男二人がいきなり女性であるアリシアの体を肩とは言え見せろと言って来たのだ。アリシアからしてみればセクハラでしかない。その為アリシアはピョーンとジャンプをしメアの後ろに隠れる。


「はいはい、脱がしますね」


しかしアリシアは忘れていたメアも女性ながらにセクハラ大王である事を。メアは一瞬でアリシアを抑え込むと鎧を取り去り服も取り去るとアリシアを上半身ブラだけの姿にさせた。


「キャァァァァ!」


男二人にブラ姿を見られたアリシアは顔を真っ赤にし悲鳴を上げながら驚異的な力を発揮するとメアの拘束から抜け出しメアの顔に向けてビンタを放つ。


「ふふふ、遅いですよ」


しかしメアは軽くアリシアのビンタを片手で止め。再びアリシアを拘束した。


「さぁさぁ!、存分にアリシアのおっぱいを見てあげて下さい!」


「これは目に福・・・ではない!、我等はアリシアの肩を見たいだけだ!、ここまで脱がす必要はない!」


「確かにこれは素晴らし・・・、あ、アレシア!?父をそんな目で見るな!」


アリシアのおっぱいを見て嬉しそうな父を見てアレシアはジト目で父に見る。娘の表情を見てドレド王は慌てて取り繕うが既に遅い。アレシアはプイッとそっぽを向いてしまった。


「そ、それで、肩を確認させて貰いたいのだがよいか?」


「・・・なんで私の肩を見たいんですか?」


メアに拘束されつつブラに覆われた胸を晒しているアリシアは何故二人が自分の肩を見たいのか聞く。


「肩を見れば分かるのだよ、君がバトルシアの血に目覚めているかどうかがな」


「バトルシア!?、やはり・・・」


この世界のアリシアもバトルシア人なのだろうか?と思っていたメアは王達の口からバトルシアの血と聞きこの世界のアリシアもバトルシア人なのだと理解した。


「ん?、そなたも知っているのか?」


「え、ええ、ええっとそう!古文書とかを読むのが趣味なんです私!」


メアは思わず出てしまった言葉を取り繕った。


「それは良い趣味だな」


「え、えへへ」


うむうむと頷く王にメアは笑って誤魔化す。


「それで私の肩に何があるんですか?」


「バトルシアの血に目覚めているのならば龍のマークを象ったマークが現れる、それを確認したい」


「分かりました、好きに見て下さいよもう」


頬を染め王達から視線を逸らしているアリシアに肩を見ても良いと許可された二人の王はアリシアの両肩を確認する。しかしアリシアの肩には龍の紋章などなかった。


「紋章なんてないでしょ?、つまり私はまだバトルシアの血には目覚めてないって事です」


「そうなるな、ドレド王よ、眠りについているバトルシアの血はどうやったら目覚める?」


「分からぬ、我々王家も眠りについてしまった血を目覚めさせる為に色々と試したが一度も目覚める事はなかったのだ」


「ふぅむ・・・、きっかけが必要と言う訳か」


王二人はバトルシアの血を目覚めさせる方法を話し合い始めた。


「服着て良いですか?」


「良いぞ」


「もう少しそなたの胸を見たかった・・・、な、なんでもないぞ!アレシア!、だからそんな目で見るな!」


「・・・」


アレシアの中のドレド王への評価が下がりまくっている中アリシアは服を着て鎧を身に付ける。

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