表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セブンススタイル  作者: ブレイブ
第一部三章、アリシアのファントム
23/344

一話

アリシアとメアの部屋


部屋の中でそわそわしているアリシア、先日アンナから連絡が来た、その内容は・・・。


『あなたの機体が完成したわ、明日持って行くから楽しみにしててねー』


と言うものだった、アンナとの連絡を終えた後から自分のファントムがもうすぐ来ると、アリシアはずっとソワソワワクワクしており、夜になるとメアに早く寝てください!、とまた言われた。


「落ち着いて下さい、そんなにウロウロしてても仕方ないですよ」


「だって!、だって!、ずっと欲しかった私のファントムが来るのよ!?、落ち着いてなんかいられないわよ!」


そう言って窓に駆け寄って行くアリシア、自分の機体を乗せたトラックが来てないか確認しているのだ、メアはかれこれ三十回めなアリシアのその行動を見てため息を吐く。


「来ましたか?」


「まだ、あぁ・・・、早く来ないかしら・・・」


アリシアの機体を乗せたトラックはまだ来ていないらしい、窓から離れたアリシアは部屋の中心に戻ると椅子に座り、アンナに貰っていた機体のカタログを見る。


「そう言えばさ、メアはいらないの?、ファントム」


「うーむ、私はああいう機械に自身がなくて・・・、アリシアのようにうまく操作出来る自身がないので、やめておきます」


「そんなのやってみなきゃ分からないわ、これから来る私の機体もあなたなら操縦しても良いからさ、メアもファントム買おうよ!」


「うーむ、そこまで言うのなら・・・、お金が貯まったら考えてみます」


「よし!」


メアもファントムを買うと聞いたアリシアは嬉しそうにガッツポーズする。


「!」


メアに部屋の中の様々なファントムのカタログを見せながら、どの機体を買うか?と話していたアリシアは、外から聞こえて来た、車の音を聞き、窓際に走る。


「来た!」


そして、布に包まれたファントムらしき物を乗せたトラックを見て、外に向けて走って行った。


「速っ!、待ってくださーい!」


メアも走って行ったアリシアを追って、外に向かう。




エンジェルズ入り口近く


エンジェルズから出たアリシアがトラックの近くに来ると、軍服を着たアンナがトラックから降りて来た。


「アンナさん!久し振り!」


「お久し振り、アリシアちゃん」


アンナの姿を見たアリシアは彼女に抱き付く。


「ねっ!ねっ!、見せてよ!私の機体!」


「ふふふ、はいはい、見せてあげるから一度離れてね」


「うん!」


アリシアに離れて貰ったアンナは、一度トラックの荷台に登り、アリシアの機体に取り付けられた布を外しアリシアの元に戻って来る、そしてポケットからリモコンを取り出すと、荷台のハンガー部分を起こした。


「これがあなたの機体、FNL-010ギルスよ!」


「あ、あれ?、ギルス?、レギルスじゃなくて?」


「ええ、本生産版になって名前が変更になったの、レギルスは試作機扱いになって、動態保存される事になったわ」


「へー」


ギルスという名前が生産版になった事により、その試作機という扱いになったレギルスはYFNL-010と言う、機体コードに変更された。


そして本生産版であるFNL-010ギルスは白い塗装が成されていたレギルスとは違い、緑とグレーのカラーで塗られている、性能は試作機であるレギルスと全く同じであり、超高性能ファントムである事は変わらない、武器はビームライフルにビームサーベルに頭部バルカンにシールドとレギルスに採用されていた物と同じで、シンプルな物だ。


「それじゃ早速ユーザー登録をしましょうか、おいで」


アリシアを伴い荷台の上に乗ったアンナは搭乗用の昇降台を降ろしアリシアと共にコクピットに向かった。


「それじゃアリシアちゃん、コクピットに座って操縦桿を握ってくれるかしら?、すぐに指紋認証と虹彩認証が行われてユーザー登録が完了するから」


「了解」


アリシアは言われた通りにシートに座り操縦桿を握る、するとコクピット上部に取り付けられた装置から赤い光が発せられ、アリシアの虹彩情報を登録する、同時に操縦桿がアリシアの全ての指の指紋を認証し登録した、これによりギルスはアリシアの専用機となった、ちなみにユーザーであるアリシアが虹彩認証と指紋認証を行ってから他人が操縦する事を許可する操作をすれば、他人が操縦する事も可能である。


「オッケー、それじゃエンジン、魔導炉の起動と行きましょうか!、右側に赤いボタンがあるでしょう?、それを押してみて」


「う、うん」


初めて自分の機体のエンジンを起動させるのだ、アリシアは心臓をドキドキさせながら、右側のモニターの下に取り付けられた赤いボタンを押した、するとフォォォンと言う音と共にギルスのエンジンが起動した。


「動いた!、私の機体が動いたわ!、アンナさん!」


「ふふっ、嬉しそうね、ほら動かしてみなさい、コクピットの降ろし方は分かってるわよね?」


「当たり前でしょ!」


「ならよろしい」


アリシアはエンジンスタートボタンの横のコクピット昇降ボタンを押す、するとコクピットが閉じた、そしてモニターにポップアップされた、アンナが昇降台を使ってトラックの荷台から降りるのを待ち、アンナが荷台から降りてから操縦桿を動かしギルスをトラックの荷台から地面へと降り立たせる。


『聞こえて?、アリシアちゃん』


「聞こえてるわよー!」


『よろしい、ならこのまま町を出て平原に向かいましょう、広い平原なら好きなだけ機体を動かす事が出来るわ』


「ええ!」


ギグルス国の町の道路には基本的にファムトム用の歩行道が車用の道路に併設されて敷かれている、ちなみに交通ルールは車と同じで信号無視をすると罪に問われる、アリシアはギルスを動かしファントム用の歩行道の上に行くと町の外に向かい始めた、アンナとメアは荷台の上に乗っていたジープを使い、ギルスを追う。




平原


ズンズン!と辺りに音が響く、ギルスが平原を走り回っているのだ、スピーカーから聞こえるアリシアの楽しそうな笑い声を響かせながら。


「アリシア、とっても楽しそうです」


「あれだけ喜んでくれると開発者として、作って良かったと思えるわ」


「ふふ、アンナさんも良かったですね」


「ええ」


メアとの会話を終えたアンナは平原を走るアリシアと共に走るギルスを嬉しそうに見つめる、そして更なる機体やギルスのオプションパーツの開発を頑張ろうと意欲を燃やした。


「一つ聞きたいのですが、帝国はもうレギルスを狙っていないのですか?」


「国内のスパイの逮捕が進んでね、今の所はいないわ、それに本生産版のギルスのセキュリティは厳重でユーザー登録さえしておけば、ユーザーにしかエンジンを起動できない訳だから奪えないしね、あるとすれば鹵獲だけど、少なくなったスパイ部隊じゃ大それた作戦なんて出来ないでしょうし、その可能性も低いわ」


「なら安心、ですかね」


「ええ、さっきも言ったけど今の所は、だけど」


アンナの話を聞きメアがホッとしていると、アリシアがギルスと共に二人の元に近付いて来て、ギルスに片膝を着かせた、そしてコクピットを開き降りて来る。


「初めての操縦、どうだった?」


「最高だったとしか言えないわね」


「それは良かった」


アリシアの感想を聞いたアンナは腰の鞄からカタログのような物を取り出す。


「それは?」


「ギルスの正式採用に合わせて作られた最新版のオプションカタログよ、はい」


アンナが取り出したのは最新版のファントムのオプションカタログだった、オプションカタログを受け取ったアリシアは早速読んでみる。


「凄い!、ファントム用のフライトシステムが出るんだ!」


「開発中だけれどね、今は試作機のテスト中で、完成は早くて一年後よ」


「ほほう、でも高いですね・・・、百万ゴールドですか・・・」


「本体の魔導炉でフライトシステムを起動させるとね、どうしても燃費が悪くてすぐにファントムが機能停止しちゃうの、だからフライトシステムにも魔導炉を積んで燃費の改善をしたってワケ、魔導炉って高くてさ値段も上がっちゃったってワケよ」


「魔導炉を積んでるのかぁ、そりゃ高くなっちゃうわね」


「ええ、燃費の悪さは兵器として致命的だから仕方ないのだけれどね、でも一つ良い事もあったわ、フライトシステムに魔導炉を積む事に許可を取る時にね、同時に武器にも魔導炉を積む許可が出たの!、これにより今までのファントム用の武器よりも高火力な武器を作れるようになったわ!、・・・これも開発中だけども」


「そうなんだ!、凄い!、今までは違法だった、魔導炉付きの武器は違法だったのに!」


魔導炉を積んだ武器は威力が高すぎるとの事で今までは違法であった、しかし非合法武器として魔導炉付きの武器が製造されており、エンジェルズも何回か製造工場を発見し摘発した事がある。


「という事で、あなたとギルスにその内、新武器やフライトシステムのテストを頼むかもしれないわ、沢山報酬を出すから受けて頂戴ね?」


「勿論、ローンを払う為にもお金を稼がなきゃだし・・・」


「・・・、それじゃ町に戻りましょうか、さっき連絡が来たけど、ボスがあなたのハンガーを用意してくれたそうよ」


「はーい」


再びギルスに乗り込んだアリシアはジープに乗ったメアとアンナと共に町に戻って行った。



エンジェルズ、ファントム用倉庫


「来たな!アリシア!、お前のハンガーはこの六番ハンガーだ、ここにお前の機体を立たせろ!」


「分かった」


エンジェルズ本部の建物の裏側にファントム用の倉庫がある、アリシアがメア達と共にここにやって来ると、ボスが出迎えてくれ、オーライオーライとアリシアを誘導する、アリシアはボスの声に従いギルスを操縦し、自分のハンガーにギルスを立たせた。


ギルスが無事にハンガーの中に立った事を確認したボスは、六番ハンガーの右側の柱に付いている操作盤を操作し、ギルスを固定用アームで固定した、そしてアリシアが機体から降りる為の昇降台を上昇させた。


「渋い機体じゃねーか、良かったなアリシア」


「えへへ、うん!」


「大事にしろよ?、それと今後の仕事もかなり期待してるぜ?、ファントムを手に入れたのなら大型の魔物の討伐依頼もかなり簡単に出来るようになったからな」


「ふふん、このアリシア様に任せなさい!」


「それじゃ、お前の為のパーティの準備でもしようか、三日後にやるから必ず来いよ、アンナお前も来い」


「ええ、行かせてもらうわ」


「うん!」


アンナとアリシアの返事を書いたボスは手を振りながら去って行った、アンナもトラックを首都に返す為に、アリシアとメアにまた三日後にねとウィンクしてから去って行く。


「それじゃ私達も部屋に戻りましょうか」


「うん」


アリシアとメアも倉庫から出る為に歩いて行く、アリシアは倉庫から出る直前に自分のハンガーに立つギルスを眺め、嬉しそうに微笑んでからメアと共に部屋に戻って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ