四話
プレミリカ王国、船着場
「一つ聞きたい事がある、お前達の両親は我が国の出身か?」
硬直から復活した王はアリシアとメアに質問をする。
「いいえ違います」
「母さんの先祖はこの大陸出身だって言っていました」
「ふむ・・・聖騎士アリシアよ、そなたの母の元の家名はなんと言う?」
「ええっと・・・」
王に母の元の家名がなんだったか聞かれたアリシアは顎に手を当てて思い出そうとする。確か小さい頃に聞いたのだ。
『ねー?母さん?、母さんの昔のお名前ってなぁに?』
『んー?、プレミリアよ』
『ありがとー!』
そして幼い頃の記憶を思い出したので王に母の元の家名を伝える事にする。
「プレミリアです」
「プレミリアか・・・、分家に確かプレミリアと言う名があったな?」
王は近くの騎士に分家にプレミリアと言う名があったかどうかを尋ねる。
「暫しお待ちを」
王の言葉を聞いた騎士は王から離れ通信魔法を発動させると通信相手と何か話し始めた、五分後話すのをやめ戻って来る。
「確認した所、我がプレミリカ王国王家、プレミリカ家の分家にプレミリア家と言う名の家名があるのを確認しました」
「ありがとう」
騎士との会話を終えた王は振り返るその表情は納得が行ったと言った感じの顔だ。
「どうやらそなたの顔がアレシアに似ている理由に合点が行ったよ、どうやらそなたにはプレミリカ王国王家の血が流れているようだ」
「そなたの影響で私はアレシア様に良く似た顔をしているわけですか」
「うむ、そうなる、しかしだな、そなたの側付きは謎だ、偶々似ているとしか思うしかないな」
王は不思議な物を見るかのような視線をメアに送る。
「さてと・・・、すまないなシュルツ王、そなたの聖騎士と先に会話をし、そなたへの歓迎の挨拶が遅れてしまって」
「構わぬ、状況が状況だからな、もし私が君を歓迎し、君が来客であった場合、私も君のように思考を停止してしまっていたさ」
「・・・その言葉に感謝しよう、それでは我が国に歓迎をしよう、アルトシャーニアの王シュルツ王よ、そしてその聖騎士オデッセルスにリーリナ、そしてアリシアよ」
アリシア達を歓迎するドレド王は華麗な仕草で会釈した。
「うむ、私も今回の会談を受け入れてくれた君に感謝をしよう」
シュルツ王もドレド王に感謝をする。
「それでは我が国の王都に案内しよう」
「うむ」
アリシア達はドレド王が用意した馬車に乗り込み王都に向かう。
馬車
ガタゴトと走行音を鳴らし馬車はプレミリカ王都に向かう。友が欲しいと言う娘の気持ちに答えたいドレド王の取り計らいでアリシアとメアはアレシアの馬車に同乗していた。
「あ、あのね?、ええーと・・・」
初めての友達を作る為に必死なアレシアは言い吃りをしてしまい上手く言葉が出ない。自身の王からアレシアと友となって欲しいと言われているアリシアは、彼女の様子を見て優しく微笑み彼女に喋りかける。
「しかし驚きましたね、私達が同じ顔だけでなく家族だったなんて」
「え、ええ!そうね!、でも年に一度の分家を含めた家族の集まりにあなたは来てないから、この国から離れてかなり長いのかしらっ!」
「恐らくですが」
アレシアが言った通りアリシアの家族にも母方のプレミリア家にもプレミリカからの誘いは来ていない。姫が言った通りこの国から離れてから長いのが誘いが来ない理由だろう。
「あ、あとね?アリシア!」
「なんでしょう?姫様」
「その姫様っていうのも、敬語を使うのもやめて欲しいのっ!、呼び捨てで良いし普段通りの喋り方で喋って!」
「ふふっ、分かりました、それならこれからはアレシアって呼ぶわね?」
「うん!」
アリシアとアレシア、見た目だけではなく髪の色も同じ二人の少女は微笑み合う。
(しかし私以上に全く同じですね・・・胸も大きいですし声もほぼ同じ、服変えたら入れ替わり出来ちゃいますよこれ・・・)
メアは自分以上にアリシアに瓜二つなアレシアに見て単純に感心する。ついでにアレシアの胸を睨み付けておく。
「それにしてもメアリは一部が私と全然違うけど・・・」
「それは胸ですか?、胸なんですね?アレシア?」
アレシアの言葉にメアが割り込み質問した。
「うん」
「・・・どうしましょう、アリシア、相手が相手なのでいつものようなオシオキが出来ません・・・」
「そもそもオシオキしなくていいんじゃないかなぁ・・・」
「それはやです、あなたのそれ大きくて柔らかくて揉んでいて気持ち良いのですもの、あの感覚はあなたが結婚した後にも味合わせて貰います、グレイにあなたの胸を独り占めなんてさせません!」
「・・・、あっ姫様、続きどうぞ」
熱く語るメアを見てダメだこいつと思ったアリシアはメアに呆れた視線を送ってからアレシアに続きを話すように言った。
「ふふっ、それでね?アリシアもメアリも本当に私に顔が似ているわね!」
アレシアは二人の会話を見て口元に手を当てる清楚な仕草でクスクスと笑いながら自分達が似ていると話した。
「そうね驚いちゃった、髪の色まで同じなんだもん」
「でもアリシアとアレシアは目の色が違いますね、アリシアが青でアレシアが茶色です」
そうアリシアとアレシアは目の色だけが違う。アリシアが茶色でアレシアが青色だ、恐らくアイリスの先祖がこの大陸に来てから結婚した相手に目の茶色い者がいたのだろう。
「これで見分けが付くわね」
「ええ、良かったじゃないメア、目を見れば同じ服を着ていたとしてもアレシアと私の判別が付くわよ?」
「それ後ろから話しかける時にどっちかどっちなのか分からなくなるやつじゃないですか・・・」
「前に回り込んで目の色を見たら良いんじゃない?」
「面倒です、どっちがどっちか分からなくなった時は名前を呼ぶので返事をして下さい」
メアの言葉を聞きアリシアとアレシアは元気良く手を上げて返事をした。
「さてお姫様?、あなたのお城にはあとどれくらいで着くの?」
「そうねぇ、あっあれ見て?、あの塔はお城に魔物が接近していないかを確かめる為の物なの、あれが見えたって事は後二十分程で王に着くわ」
「意外と近くまで来ていたんですね、アレシアと話すのが楽しくて時間が流れるのが早くなった感じです」
「ホントっ!?、嬉しい!」
友達になりたいと思うメアに自分と話すのが楽しいと言われたアレシアは目を輝かせ胸の前で両手を合わせ合い喜ぶ。
「私だってアレシアと話すの楽しいわ、アレシア?あなたとの会話を楽しんでるのはメアだけだとは思わないように」
「えへへ、分かってる」
大分打ち解けあった三人を乗せた馬車は王都に向かって進んで行く。
ちなみに一つ書き忘れていることがありました。
アリシア達同じ顔をした人達の一団の外観はとある細剣を持った女剣士さんがイメージ元です。
名前だけは歴代主人公の一人に登場してますね。




