皇帝アリシアのドレス選び
アトリーヌ城
心が闇に染まっていると言ってもアリシアも年頃の女の子、夫もいる為オシャレには気を使う。玉座に足を組んで座る少女の前には沢山のドレス制作者がいた。皆その手にドレスを持っている。
「お初にお目にかかります、皇帝アリシア、今回のドレスはあなた様がお好きな色の黒を基調にし、清楚な青の飾りを付けました、ご覧下さいませ」
一人目のドレス製作者がアリシアにドレスを見せた。
「黒は好きよ青い飾りも良い、でも私は私の体を引き立てるピッタリとしたドレスが好きなの、なので却下よ」
「はい・・・」
皇帝に容赦なく却下された一人目の男はトボトボと帰って行く。
「私が作ったドレスは陛下の瞳の色に合わせた紅い色を基調に陛下のお好み通りのピッタリとしたデザインにしました、更に陛下の魅力を更に引き立てる為胸元が少し露出するようになっております」
「良いじゃない、採用」
好み通りなドレスなら即採用、この後着るかどうかは別の話。それを知らない男は近くのメイドにドレスを渡すとウキウキと帰って行った。
「私の・・・」
この後も何人もの制作者がアリシアにドレスを見せる。皇帝が自分が作った服を着ている言う栄誉を得る為に。
アルムスの部屋
「・・・」
ドレスを見終わりいくつかのドレスを採用したアリシアはとある服を着てアルムスの元に来ていた。
「・・・なんだそれは?」
「くまちゃん人形だって」
アリシアが着ているのは熊のぬいぐるみだ。正直これを見せられた瞬間処刑してやろうか?と腕を上げたがこんな物を見せて来た度胸を買い採用してやったのだ。
「お前にそんな物を見せた奴の度胸を評価するよ・・・」
「殺してやろうかと思ったわ、でも笑わせてくれたから許したし採用もしてやったの、あっでも辺境送りにはしてやったけどね」
ちなみにくまちゃん人形を見せた時、周りにシーンとした空気が流れ一部の者は部屋から逃げ出した。
「・・・」
アルムスは無駄な度胸を発揮した結果辺境送りにされた制作者に呆れる。
「でさ?似合う?」
「・・・正直言うと怖いお前に可愛いぬいぐるみは似合わん」
「あらあら?こんなに可愛い奥さんを怖いとはよく言えたものね?」
そう言ってアリシアは出来るだけ頑張って可愛い笑顔を見せる、物凄く引きつった笑顔を。
「無理をするな」
アルムスは妻に近付くと肩を叩き無理をするなと言う。
「・・・暫く口聞いてやんない」
せっかく頑張って可愛い笑顔を見せたのに無理をするなと言われ拗ねたアリシアはプイッとそっぽを向き部屋から出て行く。アルムスはそんな彼女を見て後で何かプレゼントを贈り仲直りをしようと思うのだった。




