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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第四部、三章、オルボーフ盗賊団編
221/344

父と母と娘

18年前


オーグルが空き部屋の前でソワソワウロウロとしている。この日は彼の子が産まれる日なのだ。無事産まれてくるかどうか不安な彼はメイド達に部屋の中に入るのを禁じられている為部屋の前でソワソワウロウロしているしかない。


「!」


オーグルが数え切れないくらいにドアの前を行き来した頃、部屋の中から赤ん坊の産声が聞こえて来た。その声を聞いたオーグルは嬉しそうな顔で部屋の前で立ち止まる。


「ふふ、旦那様、産まれましたよ、さぁこちらへ」


メイドが部屋から出て来てオーグルを室内に招き入れる。部屋の中には赤ん坊を抱いたアイリスがいた。


「おお・・・その子が・・・」


「ええ、元気な女の子よ、抱いてあげて?」


「お、おう」


幸せそうな顔で微笑んでいるアイリスはオーグルに赤ん坊を渡す。オーグルは恐る恐ると手を伸ばし赤ん坊を抱いた。


「よく産まれて来てくれたな」


赤ん坊を抱くオーグルは小さな頭を優しく撫でる。


「ええ、ねっ?名前を付けてあげて?」


「あぁ、もう考えてある、この子の名前はアリシアだ」


「あら私に似た名を付けてくれたのね」


「良い名だろう?」


「うん、よろしくね私達の赤ちゃん、アリシア・リィターニア」


両親に名付けられた赤ん坊アリシアは父と母に囲まれながらスヤスヤと気持ち良さそうに眠る。




現在、王都アルトシャルセン王城、病室


アリシアが眠る病室にオーグルとアイリスとグレイがいる。


「この子ったら、また無茶をしたのね・・・」


アイリスは成長した娘の髪を優しく撫でながら話す。


「すいません、オーグルさん、アイリスさん、俺が止めていれば・・・」


グレイはアリシアが戦おうとするのを止めようとしなかった事を二人に謝る。


「許すさ、メアリから聞いている、アリシアが戦いたいと言ったのだろう?、ならばダメージを受け数日間眠る事になったのはアリシアの責任だ、お前の責任ではない」


オーグルはそう言うとグレイの肩を叩く。


「そうそうアリシアが悪いの、そんな事よりもアリシアの彼氏になってくれてありがとうね?グレイ君、君なら私もこの子を任せても良いと思えるから、ふふっ幸せにしてあげて?」


「はい!約束します!」


グレイは大きな声でアイリスの言葉に返事をする。アイリスは優しく微笑みながら頷いた。



三日後


「んっ・・・わっ!、母さん!?」


アリシアが目を覚ました、ゆっくりと身を起こすといきなり抱きしめられる。


「ごめん・・・心配かけたね?」


アリシアを抱きしめたのはアイリスだった、アリシアは母の目に涙が溜まっているのを見て謝る。


「良いの、目を覚ましてくれただけで十分、そんな事よりも良かったじゃないふふっ一年前くらいからかしらね?好きになった彼と付き合えてさ?」


「にゃ!?、イテテ・・・、気付いてたの!?」


母の言葉を聞き舌を噛んだアリシアは母が自分がグレイが好きである事に気付いていた事に驚く。


「私はあなたをずっと見ていたのよ?、気付くに決まってるじゃない」


「うー・・・、母さんには敵わないや」


母に自分の気持ちがお見通しであった事を知ったアリシアは頬を赤く染める。


「当たり前です、私はあなたのお母さんなのですから」


「むぅ・・・」


アイリスはイタズラっぽく微笑みながら娘の頬を突く。アリシアは母に頬を突かれながらムムムと言った顔をする。


「さっ、起きた事をみんなに知らせに行きましょう?、立てる?」


「んっ!、あはは・・・まだ立てないや」


「仕方ないわねぇ」


アイリスはまだ立てないアリシアを軽々とお姫様抱っこしたパワフルな女性である。


「せ、せめておんぶにして!」


「嫌よ、あなたをこんな風に抱くのはあなたが赤ん坊だった頃以来だもの、だから絶対にやめない」


「おーろーせー!」


この後アリシアは城の廊下を行く騎士達に母親にお姫様抱っこされている姿を見られまくり顔を真っ赤にする。

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