一話
可愛い女の子いいよね…
アリシアの部屋
「おはよう、アリシア、大丈夫か?」
任せると言ったのに前日の朝からオーグルに監視されてる気がするグレイは、ならばと転移魔法でアリシアの部屋に入り。アリシアの心配をする。
「うん、もう大丈夫よ、だからもう一回・・・初めてがちょっと失敗したままなの嫌だし・・・」
「気持ちは分かるが後で幾らでも出来るだろ?、やめておきなさい・・・」
「ふふっ冗談よ、まっ一つだけ言えるのはいつでもウェルカムって事かしら?」
「お前なぁ・・・」
布団に潜り顔の上半分だけ出したアリシアは照れながらこのセリフを言った。
「入るぞ、アリシア」
アリシアのセリフに呆れたグレイが何か言おうとしたがノックの音とオーグルの声が聞こえて来た。
「!」
その声を聞いたグレイは慌てて転移する。
「あ、あら?父さん、どうかした?」
オーグルがグレイを追い掛け回している事を知っているアリシアは大好きな彼氏を守る為にもキョトンとした顔を作り父と話す
「いやグレイが急にいなくなってな、お前の所に来ているんじゃないかと思ったんだ、・・・だがいないのか、アリシアが体調が悪いというのに・・・、近くにいて面倒を見るべきだろう・・・」
グレイが逃げ出したのはそれはそれで問題だったらしい、父の言葉を聞いたアリシアは内心あららと思う。
「心配してくれてありがと父さん」
アリシアは心配してくれる父に感謝しつつ立ち上がる。
「ん?、立って大丈夫なのか?」
「うん、もう元気になったわ、それに彼も私を心配してくれて父さんがこの部屋に来る前に来てくれていたの」
「そ、そうか?、うむ流石は俺が認めた男だ、うむうむ」
グレイが自分が来る前にここに来ていたと娘から聞いたオーグルはうむうむと頷き納得したようだ。
「だが前日体調を悪くしていたんだ、今日任務を受けるなら十分に注意をするんだぞ?」
「うん!」
アリシアは心配してくれて嬉しいので父に抱き着く。
「分かってる!」
そして可愛らしい笑顔を父に見せた。
「う、うむなら良い」
アイリスの笑顔にそっくりなアリシアの笑顔を見て頬を赤く染めたオーグルは照れ臭そうに娘から視線を逸らすと一度ギュッと強く抱きしめてから娘から離れ部屋から出て行く。
「ふぅ・・・、もう大丈夫よ、グレイ」
部屋から出て行く父を見送ったアリシアはクローゼットの方から気配を感じるのでその中に転移し隠れたのであろうグレイに声をかける。
「フォローありがとなアリシア、昨日お前を着替えさせる為にクローゼットの中を見てて助かったよ・・・」
「・・・頭にパンツやブラ付いてるわよ」
「!、す、すまん」
アリシアに頭に付いている物を指摘されたグレイは慌てて頭からそれを取る。
「まっ欲しいならあげるけど?」
「いらん、どうせならこれを着てるお前が見たい」
「分かった」
そう言ってアリシアはグレイの手から下着を引ったくろうとする。
「今とは言ってない・・・」
「あら何よ?、見たいって言ったのはあなたよ?」
「・・・お前俺が脱げって言ったら脱ぐだろ?」
「勿論、あなたに私を見て欲しいもの」
あっけらかんとグレイの言葉を肯定したアリシア。そんな彼女の言葉を聞いたグレイは額を抑える。
「俺の事愛してくれてるのは凄く嬉しいがな?、もっと自分を大切にしなさい・・・」
「大切にしてるからこそあなたに見て欲しいの」
「は、話が進まん・・・」
この後グレイが鞄の中身を見てみるとアリシアの下着が入っていた。どうやら気を使って入れてくれていたようだ。グレイは若干暴走気味なアリシアに呆れつつ返すわけにもいかないので貰う事にする。
王室
街で遊んで来ると言ったグレイ達を見送りアリシアとメアはこの日も任務を受ける為、王室にやって来た。
「おはよう、アリシアとメア」
王は二人に挨拶をした後、アリシアをニヤニヤと見る。
「な、なんですか?」
「うーむ?、お前にめでたい事があったと聞いてな、美人だからすぐに出来ると思っていたが、まぁとにかくおめでとう」
「揶揄わないでください・・・」
王に彼氏が出来た事を揶揄われたアリシアは頬を染め俯く。隣で話を聞いていたメアはあははと笑う。
「結婚式の式場の準備は私がしてやろう、いつでも言って来なさい、その代わり私も出席させて貰うがな」
王座から立ち上がりアリシアに近付いた王はアリシアの肩を叩く。
「王様が来るなんて聞いたら彼緊張してずっとブルブル震えててまともな式じゃなくなっちゃいますよ・・・」
「だって私もお前の式見たいんだもん、特にお前みたいな美人の式は」
「王の頼みを聖騎士が断れる筈ないじゃないですか、式の日取りが決まったら教えますので、是非来て下さい」
「良し!、楽しみにしているぞ!」
「ふふっ、はい」
式に出席しても良いとアリシアに言われた王はガッツポーズした。アリシアはお茶目な所もある王の様子を見てメアと共にクスクスと笑う。
「それで?どこまで進んだ?、最近の若い者は手が早いと聞くからなぁ!?」
「それセクハラですよ・・・」
「王である私をセクハラで問える奴はおらん」
「・・・冗談ですよね?」
「うむ、お前の反応が可愛くてな、そうかもうそこまで行ったか若いな」
アリシアの反応で前日体調不良で休んだ事もあり何かを察したらしい王はウンウンと頷いている。
「ッー!、今日の任務はなに!?」
王に揶揄われ顔を真っ赤に染めたアリシアはプリプリと怒りつつ敬語を使う気がなくなったので敬語を使うのをやめ王にこの日の任務について聞いた。
「ふふっああそろそろ真面目な話をしよう、オルボーフ盗賊団は知っているな?、アリシアとメアよ?」
「知っているわ、最近、この周囲の街を騒がせている盗賊団よね?」
「そうだ、そのオルボーフ盗賊団がこの王都にやって来たようでな、いきなり宝石店から大量の宝石を盗んで行った、奴等は目を付けた街で複数の盗みをする、つまり今回の件では終わらないと言うわけだ、だからこそお前達には奴等を捕まえて欲しい」
「分かったわ、必ず探し出して私とメアで捕まえる」
アリシアはメアの顔を見て頷き合う。そして王の顔を見た。
「頼んだぞ、我が聖騎士アリシア・リィターニアよ」
「はっ!」
騎士の礼を取ったアリシアはメアと共に王室を離れ部屋から出て行く。
「さて・・・、有名貴族達から是非アリシアと!と縁談の話が大量に来ていたが、彼氏が出来たのならば断っておかねばな・・・、聖騎士でありしかも美人なあいつはモテると思ってはいたがこれ程とはな・・・」
王はそう言って執務机に向かうとその上に置かれている大量の縁談の手紙を見る。そして近くの騎士を呼ぶ。
「遠い場所に住んでいる者からこの王都に呼んでくれ、私直々に断っておけば聖騎士でもなければアリシアに手を出せる者はいなくなるからな、部下を守るのも私の仕事だ」
「分かりました!、我が王都のアイドル!アリシア様を守る為に我々も尽力します!!」
「うむ!」
知らぬ間にアリシアはアイドルになっていたようだ、王はやる気ある騎士の言葉に大きく頷く。
城下町
「ブルル」
「どうかしました?」
「な、なんか王城の方から悪寒が・・・」
城下町に降りて来たアリシアは王城から悪寒を感じ振り返ると不安気に王城を見上げる。
「気のせいですよ、そんな事よりも聞き込みをしましょう、真夜中でもこの王都は人の出歩きがあります、誰かオルボーフ盗賊団を目撃しているかもしれません」
「そうね!、探偵の初期捜査は聞き込みって決まっているわ!、レッツ!聞き込み!」
(グレイと付き合ってからずっとハイテンションですね、ふふっ可愛い)
グレイと付き合えた事が嬉しくずっとハイテンションなアリシアを可愛いと思うメアは、アリシアと手を繋ぐと街の人が多い商店区に向かって行く。




