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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第四部、二章、妖狐の里編
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八話、オーグルVSグレイ

聖騎士オデッセルスの部屋


アリシアはオデッセルスの部屋の前に立っていた。そして憧れの人物に出会う前に身嗜みのチェックをする。


「良し!、行ってみよう!」


身嗜みのチェックを終えたアリシアはドキドキと心臓を動悸させながらアリシアはオデッセルスの部屋のドアをノックする。するとドアの向こうからどうぞと聞こえて来たのでアリシアはドアを開けてオデッセルスの部屋に入った。


(この人がアルトシャーニア初の聖騎士オデッセルス・・・)


オデッセルスは金色の髪に青い瞳、そして白い剣を腰に刺し白色の鎧を着た若い男だった。憧れの人物を目にしたアリシアは入り口で立ち尽くし彼を見つめる。


「君は?」


オデッセルスは部屋に入るなら固まったアリシアに話しかける。


「も、申しわけございませんっ!、先日聖騎士になったアリシア・リィターニアって言いますっ!、今日はご挨拶をしようと思って!」


彼に話しかけられ固まっていたアリシアは再起動し自己紹介をした。


「ははは、そんなに固くならなくて良い、君と私は同じ聖騎士で上も下もない同等の存在だ、だから普段通りの神で私と話すと良い」


そう言ってオデッセルスはアリシアに近付くと肩を叩いた憧れの存在に近付かれ肩を叩かれたアリシアはそれだけで血圧が上がりフラッと倒れて行く。


「おっと、大丈夫かい?」


オデッセルスは倒れ行くアリシアを抱き止める。


「あ、ありがとうございますっ!」


彼に抱きとめられたアリシアは顔を真っ赤にしてお礼を言った。


「立てるかい?」


「はい、手間を掛けさせてしまい申し訳ありません」


「ははっ良いよ」


顔が真っ赤なままのアリシアはどうにか立ち直りオデッセルスから離れる。


「それでは改めてよろしく、十五番目の聖騎士アリシア・リィターニア」


「はい!よろしくお願いします!」


オデッセルスへの挨拶を終えたアリシアは背を向けるとそそくさと部屋から退散した。そんな彼女を見たオデッセルスは・・・?。


「まだまだ小さな蕾だ、しかし・・・それでも美しい」


茶色い髪を揺らしながら去って行くアリシアを美しいと評した。



廊下


廊下を歩き自分の部屋へ続く廊下を歩いているとオーグルと出会った。


「ようアリシア、・・・どうした?顔が赤いぞ?」


「聖騎士オデッセルスと会ったの、私ってずっと彼に憧れてたでしょ?、だからいざ彼の姿を目にしたら上がっちゃってさ、あはは・・・この有様です・・・」


「そうか良かったじゃないか、オデッセルスと話せて、なんならアタックして見たらどうだ?」


「しないわよ、私彼氏いるもん」


上がった状態のアリシアは思考が回っていない。その為父に対して爆弾発言をしてしまったのに気付いていなかった。


「ちょっと待て、今なんと言った?」


「えっ?彼氏がいるって、あっ!!」


ここでアリシアは自分の発言の不味さに気付くが時既に遅しである彼氏がいると言ってしまった時点でオーグルはもう止まらない。オーグルはアリシアに詰め寄ると肩幅の狭い両肩を掴む。


「彼氏って誰だ?、言いなさいアリシア」


ニコニコと笑っているが物凄い威圧感を感じさせる父。


「グ、グレイです、お父さん・・・」


父の威圧感に気圧されたアリシアは涙目になりながら付き合っている彼はグレイだと言った。


「いつから付き合ってる?」


「今日です・・・」


「分かった、さてあいつの所に行こうか、案内しなさい」


「はい・・・」


ブルブル震えるアリシアは父を案内し自分の部屋にへと向かう。


「隊長!、娘さんに彼氏が出来て良かったすねー!」


(このっ!余計な事言わないで!)


オーグルの部隊三番隊の隊員が冷やかしの言葉を言う。その言葉を聞いたオーグルの腕がピクリと動いたのを見たアリシアは脳内で余計な事を言うなと彼に言う。




アリシアの部屋


アリシアはオーグルを連れて部屋にやって来た。部屋の中で談笑していたメア以外の幼馴染達はアリシアがオーグルを連れて来た理由を察し、そそくさとグレイから離れる。首を傾げるメアもシールスに回収された。


「何が起こるんです?」


「アリシアの父さんはアリシアを溺愛してんだよ、だから彼氏なんか出来たらヤバイんだ、それをアリシアも分かってる筈なんだが憧れのオデッセルスに会った後で舞い上がってたんだろうな、話しちまったらしい」


「凄いタイミングだよー・・・、グレイ大丈夫かな・・・」


アリシアとオーグルはグレイに近付く、グレイに近付いたアリシアはやっちゃったっと申し訳なさそうな顔を見せた。そんな彼女を見たグレイはため息を吐いてから覚悟を決めた表情を見せる。


「アリシアと今日から付き合い始めたそうだな?」


「は、はい」


「・・・キスはしたのか?」


「しました・・・」


「ほうほう・・・」


キスをしたと聞き狼のようだったオーグルの瞳が虎にへとクラスチェンジした。


「わ、私からしてって言ったの!、付き合ってるんだから良いでしょ!?」


「お前は黙っていなさい、これは男同士の話だ」


「うう・・・」


父に男同士の話だと言われたアリシアは俯き黙るしかなかった。


「聞くぞ?グレイ」


「はい」


「どんな事をあってもアリシアを俺の娘を守る覚悟はあるか?」


「あります!」


オーグルはグレイの瞳をしっかりと見据えながら質問をする。グレイも彼の瞳を怯まずに見返して視線を合わせる。


「アリシアを絶対に幸せにすると約束出来るか?」


「出来ます、付き合うって決めた時点でそう決めました」


グレイのこの言葉を聞いたアリシアは嬉しそうな顔で口に手を当てていた。


「最後の質問だ、絶対にアリシアを他の男に渡すな付き合うと決め幸せにすると決めたのなら絶対に離すなアリシアの全てをお前が手に入れてみせろ!!分かったな?」


「分かりました!!」


「良し!、ふぅ・・・アリシアを任せる、頼んだぞグレイ」


「はい!!、オーグルさん!」


グレイを認めたオーグルは彼の肩を叩く。グレイは大きな声で返事をし大きく頷いた。


「アリシア、お前もグレイと幸せになれ、結婚式の知らせがうちに来るのを楽しみにしてるよ」


「うん!、・・・父さん、グレイを認めてくれてありがとう・・・」


「フン、元からお前を任せるならこいつだと思ってたのさ、後はタイミング次第だった、それが今日だったってだけだ、それじゃあなアリシア、仕事がまだある」


「うん、またね」


「ああ」


オーグルはアリシアの頭を撫でると娘から背を向けグレイの肩をもう一度叩いてから部屋から出て行く。




「・・・いつかこんな日が来るとは思っていた、大きくなったな、アリシア・・・」


廊下を歩くアリシアの父オーグルは娘の成長を嬉しく思い一人涙を流す、それは娘の成長を喜ぶ祝福の涙。


「アイリスにも教えてやるか、アリシアに恋人が出来たってな」



夜、王城、男性用客室


オーグルが出て行った後、アリシアはメイド達に頼み幼馴染達に客室を貸し与えるよう言った、メイド達は朗らかに笑い、三人に男用の客室と女用の客室を貸し与えた。そしてメアも含む五人で楽しく夕食を食べた後別れた。


「・・・」


明かりを落とした暗い部屋の中、グレイはオーグルとの約束を思い出していた。


「オーグルさんとあんな約束をしたんだ、最初のプレゼントはもう決まっちまったな、金貯めねぇと・・・」


アリシアへの最初のプレゼントを決めたグレイは明日はとある店に下見をしに行こうと思う。そう思い目を閉じた所で部屋のドアが開く。ドアが開く音を聞いたグレイが明かりを点けるとドアの前に白い寝間着を着たアリシアがいた。


「一緒に寝ない?」


「お、おう良いぜ」


アリシアの言葉を聞いたグレイは布団を上げ少し移動する。するとアリシアはグレイの横に寝転び彼に抱き着く。グレイは抱き着いてきたアリシアの柔らかい感触にドギマギする。


「ふふっこうしてると小さい頃シメラの家にみんなで一緒にお泊まりしたのを思い出すね」


「だな、寂しくなったシールスが泣き出したんだっけ」


「そうそう、あいつ意外と寂しがり屋なのよね、普段はあんなツンツンしてる癖に」


懐かしい幼い頃の記憶を思い出す二人はクスクスと笑う。


「あんな小さかった俺たちがよ?、こんなにデカくなって今じゃ俺とお前は付き合ってる、早いよな時が経つのって」


「そうね、だからこそ私、あなたとの一秒一秒をこれからも大事にしたいと思う」


「そうだな、俺もそう思うよ」


それから暫くグレイはアリシアの髪と背中を優しく撫で続ける。するといつしかアリシアの寝息が聞こえ始める。どうやら眠ったようだ。


「寝ちまったのか、お休み、アリシア」


グレイも目を瞑り夢の世界に旅立つ、そして彼は夢に見た前の世界の記憶と闇に堕ちてしまったアリシアの姿を。



翌朝


「ヘタレ」


身を起こしたアリシアは口を尖らせ手を出して来なかった彼にヘタレと言う、その覚悟をしてこの部屋に来ていたのだ。少しだけ拗ねつつ部屋から出ようとするとグレイが身を起こす。


「ッ!」


ベッドから飛び降りたグレイはアリシアを抱きしめる。


「・・・前の世界の俺はお前を守れなかった、でも・・・でも!、今度こそは絶対!、絶対にお前を守る!、約束する!」


「前の世界の記憶が戻ったんだ」


「あ、ああ」


「そっか・・・、ごめんね?私には前の世界の記憶が無くてしかも戻る可能性もなくて」


「どういう事だ?」


「実は・・・」


アリシアはグレイに説明をする、プラスの存在とレイティスの名を持つアリシアの精神が奪われた事を。


「そうだったのか・・・、ならもう一人のお前をそのプラスって奴から取り戻さねぇといけなぇな」


「うん、それとさ・・・前の世界のあなたはシメラと付き合ってたって聞いたわ、だから私・・・」


「気にすんな、あいつが記憶を取り戻したら俺から謝るよ、それが男としての役目さ」


「ごめんなさい・・・」


グレイに辛い役目を押し付けてしまった事を悔やみアリシアは泣き始める。


「泣くなよアリシア、前のお前も今のお前も泣き虫なのは変わんねぇな?、昨日も言ったろ?お前には笑顔が似合うって、だから笑ってくれよ、アリシア」


「うう・・・グス・・・、こ、こうかな?」


泣きながらアリシアは笑顔を見せる。泣き笑いの表情はアリシアの優しさが詰まった笑顔だ。そんなアリシアの笑顔が愛おしくてたまらなくなったグレイはアリシアを抱きしめる。


「俺さ、お前を泣かせない男になってみせる、絶対に!、愛してるよ、アリシア」


「うん・・・私もあなたの事を愛してる、ねっ?朝のこんな時間だけど・・・、・・・分かるでしょ?」


「・・・ああ」


二人はこの日初めてのキスをする。そして、二人一緒にベッドに倒れ込みキスの先に進んだ。



廊下


ラブホテルから出て来た付き合い始めたばかりのカップルのようにいそいそと部屋から出て来たアリシアとグレイは誰にも見つからないうちにこの場所から離れようとする。


「よう、お二人さん、片付けはちゃんとしたかい?」


しかし壁にもたれかかるシールスに引き止められた。


「な、何の事かしら?」


「何でもねーよ?、ただよぉ?幼馴染が痛い思いをしなかったか心配してるだけさ、優しくしてもらえたか?」


「痛かったわよ・・・しかも泣いたわよでも初めてなんだから仕方ないでしょ、なんか文句ある?」


「ねぇよ、ヒュー!良いなぁ、あたしも彼氏探そ」


ヒラヒラと手を振りながらシールスは離れて行くそんな彼女の背中を見送る何やら少しガニ股なアリシアはグレイにフラフラと近付くと抱き着く。


「・・・次はもっと上手くやるよ」


「・・・うん」


蚊の鳴くような声でグレイの言葉に返事をしたアリシアはグレイに支えられながら自分の部屋に戻って行く、この日は任務を受ける事は出来なさそうだ。


この後オーグルに出会いアリシアの様子が何やら変な事をグレイが問い詰められて、アリシアが必死に何でもないと言い繕ったのは余談である。

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