七話
今回も前半は甘々。
中庭
グレイに抱き着いているアリシアがニコニコとしながら彼に甘えている。
(何この可愛い生き物、もっと早く告白すりゃ良かった・・・そうしたらこの可愛い生き物ともっと早く触れ合えたのに・・・)
グレイは恐る恐るとアリシア髪に触れ撫で始める、するとアリシアは嬉しそうに頭を彼の手に擦り付ける。
(可愛すぎる・・・)
「グレイ?、早く騎士になってね?、付き合えたのは良いけどこのままじゃこの王都とオルゴンの町で離れ離れになるでしょ?、私のそんなの嫌」
グレイの頬にキスをしてから彼に早く騎士になってとアリシアは言う。折角付き合えたのだ出来るだけ近くに住みいつでも大好きな彼に甘えられる状況にしたいそれがアリシアの考えである。
「おう、頑張るよ」
「うん!、待ってるわ!、働き始めたらプレゼントとかも期待しちゃうかも?」
「・・・善処します」
「よろしい、ふふっあなたから何か送って欲しいだけだから安い物で良いからね?」
「分かってる」
口では分かっていると言うが彼女に出来るだけ高い物をプレゼントしたいそう思うのが男である。グレイも同様でこの日から節約生活が始まった。
「それじゃもう一回キスしてから、メア達の所に戻りましょ?」
「キス好きだなお前」
「えへへ、好きな人とキスをしたいって思うのは当然でしょ?、あなたは違うの?」
「まぁ俺もそうだけども、さっきからもう十回以上してるだろ?」
「回数なんて関係ないわっ!、んっ!」
「ちょっ!」
回数など関係ないそう言ったアリシアは自分からグレイにキスをする。グレイはアリシアの背中を優しく撫でながら彼女のキスに答える。
「ふぅ、それじゃ行こっか」
「おう」
キスを終えたアリシアはグレイの腕に抱き着くグレイは抱き着いて来た彼女を愛おしく思う。彼氏と彼女になった二人は城に戻って行く。
王城、アリシアの部屋
アリシアとグレイが城に戻るとメア達が全力でアリシアとグレイを祝福した。祝福された似た者同士な二人はモジモジと照れる。その後アリシアが私の部屋を見せてあげると言い五人はアリシアの部屋に入る。
「結構質素なんだね、聖騎士の部屋って何もかもが豪華なのかと思ってたよ」
「私の部屋はオルゴンの町の家の私の部屋から家具を持って来たからね、多分他の聖騎士達と比べても一番質素なんじゃないかな、でも他の人の部屋は凄く豪華だってメイド達が言ってたわ」
「あーこれはそのうちアリシアも金に物を言わせた生活を始めるな、大変だなぁグレイ、彼女が金持ちで」
「・・・自分で買えるものは自分で買うからグレイに苦労させたりなんてしないわよ」
そう言ってアリシアは再びグレイの腕に抱き着く。グレイは照れた様子で頬を掻く。
「ラブラブだなぁお前ら、見てたらあたしも彼氏欲しくなるよ」
「ガサツなシールスに彼氏?無理無理、もし付き合えたとしてもすぐに逃げられちゃうわ」
「なっ!?こいつ彼氏が出来たからって調子に乗りやがって・・・」
アリシアの言葉にイラっと来たシールスはアリシアに近付くと擽り始めた。
「あはっ!あはは!やめっ!やめなさい!シールス!」
「やだねあたしの気が晴れるまでやってやるもんね」
「ならなら私だって擽り返してやるわ!」
こうして笑いながらのシールスとアリシアの泥仕合が始まった。
「グレイー?彼女を止めてあげてーこのままじゃ酸欠になるよー」
「分かってるよ、ほらほらすぐにシールスと喧嘩すんな、やめとけ」
「はいやめます」
「なっ!?、ちょっと前はあたしがお前のどっちかが引くまでやり合ってた癖に、今はグレイがやめろった言ったら素直に聞くのかよ!」
「好きな人の言う事を聞くのは当然だわ」
この時のアリシアの顔は見事なドヤ顔であった。
「グヌヌ・・・なんか負けた気がする・・・」
よく分からない敗北感を感じるシールス、そんな彼女を見たメアがまぁまぁと彼女の肩を叩いた。それと同時にアリシアの部屋のドアがノックされた。
「入るわよ、後輩ちゃん」
ノックをしたのはリーリナだった水色の鎧を着た彼女はアリシア達がいる部屋の奥までやって来る。
「ふぅん?、抱き着いてるって事はあなたの彼氏?」
「ええ」
「あらあら聖騎士に任命されて一週間くらいで部屋に男を連れ込むなんて若いわねぇ」
どう見ても二十代前半に見えるリーリナがアリシアを若いと言ったのに引っかかりを感じたシメラは気になった事を質問する為口を開く。
「アリシアを若いって言ったけどリーリナさんって二十代くらいだよね?」
「えっ?違うわよ?、私が聖騎士に任命されたのは二十五歳、今年で聖騎士になってから四十五年だから今は七十歳になるわね」
「えっ?」
聖騎士であるアリシアも含めてリーリナが七十歳と聞きポカンとする。
「あーその反応、王はまた説明するのを忘れたのね?、十四人目の彼も同じ反応をしていたのを思い出すわ・・・、アリシアあなた聖騎士になった時右か左の手に紋章を刻まれなかった?」
「これ?」
リーリナの言葉を聞いたアリシアはXVの文字が刻まれた右手を見せる。
「そうそれ、その紋章は聖騎士である証明だけじゃなくとある魔法なの、その魔法とは超長寿の魔法、この国を守る聖騎士が経った八十年とかそんな程度の寿命で死んだらこの国的にも困る、だから聖騎士と言う制度が生み出された時に考案された聖騎士となる者だけに使う事を許された秘術よ」
「えーと?つまり私は王様の手によっていつのまにか超長寿にされてたと?」
「そう言う事、この魔法をかけられた者の寿命は千年と言われているわ、良かったわねアリシア十世紀もの間を生きる事が出来るわよ」
「千年って長すぎるわ・・・、それに・・・」
アリシアはグレイを見る、今付き合い始めたばかりの彼よりアリシアは遥かに長い時を生きる事になる。つまりいずれ自分は若い姿のまま彼の死を見る事になると言う訳だ。
「・・・辛いでしょうけどそれが聖騎士になると言う事よ、私だって夫とは十年前に死に別れたわ、でも乗り越えた」
「私に乗り越えることが出来るかしら・・・」
不安げなアリシアをグレイは抱きしめる。
「大丈夫さ、経った十八歳で聖騎士になってみせた強いお前だ、俺が死んじまってもきっと乗り越えられる、それによぉ!、お前が悲しい思いをしないように出来るだけ長生きしてやるさ!」
「グレイ・・・」
「だからそんな悲しそうな顔をすんな、お前は笑顔が一番似合うんだからよ」
「うん!」
愛する彼に笑顔が似合うそう言われたアリシアは彼に向けて微笑んで見せた。グレイはアリシアの笑顔を見て微笑み返すとグリグリと頭を撫でる。
「それによ?家族が沢山いれば寂しくなんてないさ、だから結婚したら沢山子供を作ろう、幸せな家族を作ろうぜ!、アリシア!」
「そう言ったからには沢山子供作るわよ!グレイ、覚悟しなさいよね!?」
「おう!」
グレイの言葉を聞き元気を取り戻したアリシア、その顔に先程少しだけ現れていた聖騎士になった事への後悔は無くなっていた。
「良い男を選んだじゃない、私も久し振りに家族の元に帰りたくなっちゃった」
「良いじゃないですか、家族に会うのって大切ですよ?リーリナさん」
「そうね今日帰ってみる事にするわ、ありがとね?正体不明ちゃん」
「私にはメアって名前があるんですけど」
「ありがとね正体不明ちゃん」
「むー!」
「ふふ可愛い」
リーリナに揶揄われるメアはむー!と頬を膨らませる。リーリナはそんな彼女を見てクスクスと笑う。
「さぁてそれじゃあまた・・・、じゃない!、後輩ちゃん!あなたを呼びに来たんだった!、今日ね?一人目の聖騎士、所謂聖騎士団団長が帰って来てるの!、会っておきなさい!」
「一人目の聖騎士ってあのオデッセルス!?、うん!会ってくる!」
一人目の聖騎士オデッセルス聖騎士の中で史上最強の実力を持つ存在でアリシアが憧れている人物のうちの一人である。そんな憧れの存在に会えると聞いたアリシアはグレイの頬にキスをしてから離れ部屋から出て行く。
「今の憧れの存在よりあなたの方が好きよってマークね、愛されてるわねぇ、あなた」
「嬉しすぎて天元突破しそうだぜ・・・」
「ふふグレイは幸せ者です」
と言いつつ後半も甘々。




