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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第一部二章、ギグルス国横断鉄道編
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八話

軍基地


朝、ゴスロリドレス姿で軍基地に戻ったアリシアは、アンナの部屋で洗われてピカピカになったパイロットスーツに着替え、格納庫に向かうとレギルスに乗り込んだ。


『さて、アリシアちゃん、今回の模擬戦は三対一、武器は両者共にペイントガンとエレキステッキ、ペイントガンの場合は五発、エレキステッキの場合は一回でも本体に当てられたら負けよ、良いわね?』


「盾にペイント弾を当てられても無効なのよね?」


『勿論、エレキステッキも盾でちゃんと防御すれば無効よ』


「了解」


『それじゃ頑張りなさい、応援しているわ』


「ええ!」(メッシュさんの寝言の意味が気になるけども、集中、集中!)


パン!と自分の頬を軽く叩き、どこか浮ついた心を落ち着かせたアリシアは、レギルスを操縦し格納庫の外に出た、そしてアンナが運転するメア達も乗る車と共に模擬戦場に入った。


模擬戦場で待っていたのは、ジームが二機とミウラが一機だ、この三機がレギルスとアリシアの模擬戦の相手である。


『君がエンジェルズのアリシア君か、今日はよろしく。お互い思い??だからやろう!』


レギルスとの回線を開いたミウラのパイロットが話しかけて来た。


「ええ!、負けないわよ!」


『こちらだって負けんさ!』


モニター越しに目を合わせ火花を散らし合うアリシアとミウラのパイロット、その通信を聞いていたメアはシメラに話しかけた。


「あのシメラさん、レギルスが高性能だとしても本職の軍人であるパイロット達にアリシアは勝てるのでしょうか・・・?」


「さぁね〜、でもアリシアちゃんは初めての実戦で上手にあの機体を操作して、敵のファントムにも勝っちゃったんだし勝てるかもしれないよ?、でもね〜そんな事より〜」


「そんな事より?」


「私も模擬戦に参加して魔法ぶち込みまくりたいなぁ!」


「あ、ああそうですか・・・、杖は貰っておきますね・・・」


「全く、戦闘ってなるとすぐに豹変しやがって・・・」


そう言うなり杖を取り出し魔法を放とうとするシメラから杖を取り上げ、返して〜と掴みかかってくるシメラを、メッシュに押さえつけて貰いつつ、メアはレギルスを見上げアリシアの勝利を祈る。


『それでは、模擬戦を始めるわ!、試合開始!』


メガホンを持って叫ぶアンナは天に向けて閃光弾を放つ、それを見た相手パイロット達は早速動き、レギルスに向けてペイント弾を放って来た、アリシアは移動しながら盾でペイント弾を防ぐ。


(相手はこのレギルスと自分達の機体に大きな性能差があるのを知ってる、だからこそこっちに近付かれる前に、弾幕を張って一気に倒そうとしているのね、でも!、レギルスには弾を掻い潜って距離を詰めれるだけの俊敏性がある!)


当たりそうな弾は防ぎ、避けられる弾は避けていたアリシアは、急にレギルスの進行方向を変え機体を相手の方に向けると、迫るペイント弾に向けて機体を全力で走らせる。素直な操縦性であるレギルスはアリシアの操作に応え、ペイント弾を全て躱し、二機いるジームのうちの一機の懐に迫った。


「は、速い!」


「貰った!」


レギルスの左手にエレキステッキを持たせ下から上に向けて振るう、エレキステッキは見事、一体目のジームの肩に当たり、アリシアは見事一体目を倒した。


「ほぉ・・・、ファントムに乗り始めて数日だと聞いていたが、あの動き・・・、やるじゃないか!、三番機、援護を頼むぞ!、俺が接近戦を仕掛ける!」


「了解!」


ミウラのパイロットがレギルスに向けて機体を走らせる、それを見たアリシアは銃を向けた。


(撃ってくるか!、しかし!)


撃たれる!、そう判断したミウラのパイロットは盾を構えるが、いつになっても弾は飛んで来ない、そして次の瞬間、真上に敵がいると知らせるアラートがコクピットの中に響く、それを聞いたミウラのパイロットが真上のモニターを見ると、レギルスがミウラを飛び越えようとしていた。


(くっ!、さっきの動きは盾を構えさせるのが目的か!、そしてこのミウラよりも性能で劣るもう一機のジームを先に仕留めつもりだな!、機体の性能差を良く知っている子だ!)


ミウラのパイロットは揺動されてしまった事を悔いつつも、自機に背中を見せるレギルスに銃口を向けてペイント弾を放とうとする、しかし・・・。


「なっ!?、こちらを向いただとぉ!?」


レギルスはジームが放って来るペイント弾を盾で防ぎつつ、銃口をミウラの方に向けるとペイント弾を放って来たのだ、アリシアの二段構えの作戦にまんまとやられたミウラのパイロットは機体に二発ペイント弾を喰らってから、その場から離脱する。


(相手は軍人、単純な攻撃じゃ勝てない、だから複雑な攻撃で圧倒する!)


ミウラが距離を取ったのを見たアリシアは、二機目のジームに向けて銃口を向け、ペイント弾をジームの周囲にばら撒く、こうする事で相手の逃げ場所を無くすのが目的だ、現に逃げ場を防がれたジームのパイロットは動く事が出来ず防御をしつつ撃ち返す事しか出来ていない。


「行くぞ!レギルス!」


「く、来る!」


かなりの速度で地面を走り自機に迫って来るレギルス、それを見たジームのパイロットはレギルスがエレキステッキを当てようと、腕を振り上げ振り下ろす瞬間に真上に飛んだ。


「よし!、貰った!」


自機の真下を通過していったレギルス、相手は確実に背中を向けている筈だと確信しているジームのパイロットはフットペダルを踏み込みスラスターを吹かすと機体を回転させる、そしてペイント弾を放とうとしたのだが。


「くぅぅぅぅ!!」


相手が上に飛ぶ事を織り込み済みだったアリシアは、機体を小さくジャンプさせそしてスラスターを吹かし、ジームのパイロットがしたように宙で高速で機体を回転させた、そして派手に火花を撒き散らしながら機体を地面をスライドさせて勢いを殺しつつ弾を放ち、ペイント弾を五発命中させる。


「や、やられた・・・」


「ふぅぅ・・・」


急旋回時に生じたGに何とか耐え切ったアリシアは最後の一機ミウラを見る。


『無茶をする、大丈夫か?』


「ええ何とかね、さぁ決着を付けましょうか」


『望むところだ!』


ミウラのパイロットはペイント弾を放ちながら迫って来る、アリシアは盾でペイント弾を防ぎつつ相手が迫るのを待ち、相手が十分に迫った所でエレキステッキを振るうが避けられた。


「くっ!」


「フッ!、簡単にはやられんさ!」


エレキステッキを避けられた状態から姿勢を戻そうとしているレギルスに、ペイント弾が四発命中する。


「もう一発で!」


「喰らうかぁぁ!」


最後の一発をレギルスに当てようとするミウラ、アリシアは盾を放り投げ、敵の手からペイントガンを弾き飛ばさせる、そしてペイントガンをミウラに向けるが、撃つ前に蹴り飛ばされた。


「ッ!」


「ハッ!」


武器がエレキステッキだけになった両者、ミウラのパイロットが先に動きタックルでレギルスの姿勢を崩すと突きを放つ。


[良いか?アリシア、敵の攻撃がどんなに鋭くてもな?、焦っちゃいけねぇ、集中してだな、目を凝らして敵の攻撃を良く見るんだ、そうすりゃどうにかなる]


この時アリシアはメッシュの言葉を思い出していた、集中し切っているアリシアにはミウラの突きがスローモーションに見えており、崩れた姿勢ながらも完璧に相手の武器をエレキステッキで捉えて払い除けてみせた。


「くっ!」


「行っけぇぇぇ!!」


腕が跳ね上がっておりこの距離で慌てて戻しても斬られるだけ、そう判断したミウラのパイロットは後ろに飛ぶ、対するアリシアはレギルスの右手でミウラの肩を掴ませ、引き止めると左手のエレキステッキを突き立てた。


『お見事、勝者、レギルス!』


「やった!、アリシアがやりました!」


「おう!」


「流石だねぇ!、ほらぁ!記念の魔法ダヨォ!」


アリシアの勝利を祝う魔法が花火のように空に舞った。




激しい模擬戦を終え、疲れ果てたアリシアはレギルスにもたれ掛かり、メア達と話しながら休んでいる、そこに模擬戦の報告書を書き終わりこの場所に戻って来たミウラのパイロットが近付いて来た。


「やぁ、先程は楽しかったよ、ありがとう」


「私も楽しかったわ、こちらこそありがと」


互いの健闘を称え合った二人は握手する。


「それで一つ提案があるんだ、今の模擬戦をお偉い人達が見ていてね、是非君に軍に入って欲しいと言っていた、どうだろう?」


「スカウトってやつ?、ごめんだけどお断りさせて貰うわ、だって私はエンジェルズのアリシア様ですもの」


「そうか・・・、残念だけど諦めるようにお偉い人達を説得するよ、またいつか模擬戦をやろう!、それではまた!」


「ええ、また会いましょう」


ミウラのパイロットはアリシアに手を振りながら去って行く、アリシアも彼が見えなくなるまで手を振った。


「ありがとねアリシアちゃん、あなたのお陰で良いデータが取れたわ、そのお礼としてあなたの機体を出来るだけ早く完成させてあなたの元に届けるから楽しみにしていなさい」


「うん!楽しみにしてるわ、アンナさん!」


「ふふ、それじゃまた、次はあなたの機体を届ける時に会えるでしょう」


アンナは去る前にアリシアをギュッと抱きしめた、そして優しく微笑みかけ宿舎に向けて歩いて行った。


「さぁて俺達も帰るか、ボスが言ってたぜ?、ローンを払わなくちゃいけねぇお前の為に、金になる仕事を沢山用意したってな」


「おやおや、これは頑張らないといけませんね?」


「働きまくって、機体が届く日に全額払っちゃおー」


「ええ!」


ギグルス国でのテストパイロットとしての仕事を終えたアリシアは仲間達と共に汽車に乗る、そしてオルビアの街に向けての帰路につくのだった。


第一部二章、ギグルス国横断鉄道編、完

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