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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第四部、二章、妖狐の里編
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六話

王都アルトシャルセン、城下町


任務を無事成功させウキウキで戻って来たアリシアと少し疲れた様子のメアが城下町に戻って来た。


「アリシアじゃねーか!」


メアと話しながら街を歩いていると声をかけて来る人物がいた。その声を聞きアリシアは振り返ろうとしたがその前に後ろから抱き着かれ鎧の下に手を忍び込まされ胸を揉まれる。


「シールスね!?、ちょっやめなさい!この!」


「あーこのでっけえ乳を揉んでると落ち着くわぁ・・・」


「!、やーめーろー!」


シールスに胸を揉まれるアリシアの視界の端にグレイの姿が入る。その途端に顔を真っ赤にしたアリシアはおりゃー!と体を振るいシールスを無理矢理に引っ剥がした。


「はぁはぁ・・・、私の胸をなんだと思ってんのよ!あんた!」


「おもちゃ」


「ッー!ムカついた!、ただじゃ済まさないんだからね!」


「おーう?、聖騎士様がこんな街中で暴れて良いのかぁ?」


「くっ・・・」


聖騎士として真面目に働いているアリシアはシールスと言葉を聞きグヌヌとなる。民を守る立場である聖騎士が街中で暴れる訳にはいかないのだ。


「はぁぁ・・・、それで?、あなた達ここで何をしてるの?」


深呼吸をし平静を取り戻したアリシアはシールス達にこの街に何をしに来たのか質問する。


「アリシアが寂しいと思って会いに来たんだよー、寂しかったでしょー?」


「んふふー、そこは大丈夫だったのだよ、幼馴染諸君、私にはこのメアがいるからね!」


そう言ってアリシアはメアの後ろに回り込むと両手を彼女の肩に置きメアを幼馴染達に紹介した。


「・・・、ふぅんメアか、どこかで会った気がするな?気のせいか?」


「私もどこかで会ったような気がする・・・」


(・・・やはり明日奈さんや愛理さんみたいにすんなりとはいかないようですね・・・、二人はとにかく強いからあんな無茶が通りましたが二人の場合は急に記憶を思い出させると脳にダメージが行く可能性もあるので慎重にいかないと・・・)


メアは自分の姿を見て前の世界の記憶をすぐに思い出さなかったグレイとシメラを見て慎重に事を進めようと判断する。


「うーむ?街ですれ違ったりしているのかもしれませんね」


(いきなりはいかない訳だ、了解よメア)


察しの良いアリシアはメアの考えを理解し心の中で頷く。


「そうかなぁ?、そんな気がしないんだけどなぁ?」


「だよねぇ?」


「まぁまぁ、こういう事もあるって、そんな事よりも私の権限でお城の中にあなた達を入れる事が出来るからさ?、お城の中を見学してみない?」


アリシアはグレイとシメラに顔をジロジロと見られて困っているメアのフォローとして幼馴染達に白の中を見てみないか?と言った。


「良いね!あの城はもうすぐあたし達の職場になる訳だし、先に見ておいて損になる事はねぇ」


「でしょ!そうと決まればゴー!、ほ、ほら!グレイとシメラも!」


「「・・・ゴー!」」


まだ納得が行ってない様子のグレイとシメラがゴーと腕を振り上げる、そして二人は先に城に向かって行くシールスに続いて城の方に歩いて行く。


「フォローありがとうございます、アリシア」


「良いよ、明日奈さんや愛理さんならともかく普通の人間な二人の記憶をいきなりに戻したら何が起こるか分からないもの、だからここは慎重に、でしょ?」


アリシアの言葉にメアは頷く。


「あなたにとっても私にとってもあの二人は友達、だから出来るだけ安全に記憶を戻させてあげよう!」


「はい!」


頷き合った二人の少女は先に城に向かう三人を追う。



王城


「ふぅん、つまりメアはアリシアの側付きなんだね」


「大変だろ?こいつの側付きなんてさ?、俺達も苦労したよこいつ困ってる奴を見かけたらすぐに助けに行くからよ」


メアはグレイとシメラとシールスに自己紹介をしていた。その話の中で自分がアリシアの側付きだと伝えグレイがアリシアの側付きは大変ではないか?と聞いて来る。


「そうですねぇ、確かにアリシアはドジでちょっとお馬鹿で猪な所もあって大変です」


「ちょっ!?」


「でもアリシアは優しくて困っている人がいたら放っておけなくて、そして辛い事があれば支えてくれる、そんな素敵な人です」


メアに褒められたアリシアは頬を赤く染め俯くそんな彼女を見たシールスはうりうりーとアリシアの頬を突く。


「だな、それがアリシア俺達の幼馴染だ」


「だね」


「なによぉ?褒めても何も出ないわよ?」


メアの言葉にグレイとシメラも同意する、それを見てアリシアはモジモジとし照れる。


「それでよぉ?アリシア、この街で彼氏とか出来たのか?、お前顔も良いし乳もデケーから学校でもモテてたかんなぁ、この街でも相当にモテてるだろ?、どうだ?」


シールスのこの言葉にグレイがピクリと反応しアリシアの顔を凝視する。


「出来てません、任務を遂行する為に街の外によく出るからそんな暇ないのよ」


「ふーん」


「な、なんだよ?」


アリシアの言葉を聞きホッとした様子のグレイにシールスはニヤニヤとした視線を送る。グレイはシールスから顔を晒し頬を掻く。


「いやーお前この前ラブレター貰ってたろ?、あの返事どうすんのかなーって思ってさ」


シールスの言葉に今度はアリシアがピクリと反応しグレイの顔を凝視する。


「断るに決まってんだろ?、俺は別に好きな奴がいるってーの」


「だ、誰!?、その好きな人って誰よ!グレイ!」


グレイに恋するアリシアはグレイに好きな人がいると聞き食い付いた。


「い、言うわけねぇだろ?そんな事・・・」


(こんな周りに人が沢山いる所で、言えるか!)


「な、何よ!、私は・・・私はぁ!、ええい!ちょっとこっちに来なさい!」


アリシアはグレイの手を引くと人気のない所に引っ張って行く。


「おっ?おっ?、ようやくくっ付くか?、おっ?おっ?」


「どう見ても両思いなのにずっとあの調子で歯痒い思いしてたもんねー私達」


「そうなのですか?」


「おう、だからあたしとシメラはあの手この手であいつらにチャンスを与えてやってたんだが、何も進展しなくてよ、遂にはアリシアが聖騎士としてオルゴンの町からすら出て行っちまってどうしようもなくなってたってわけだ」


「もしかしたら少しの間でも離れたのが良かったのかもねー」


「かもしれねぇな」


(アリシアもグレイもこう言う時はヘタレですからね・・・、前の世界でも私は苦労しました)


メアは前の世界でのレイティスの名を持つアリシアの恋模様を思い出し、懐かしそうな顔をする。


「さて二人とも?アリシアとグレイの後を追いませんか?」


「だね!」


「おう!見逃す手はねぇ!」


メア達は人のいない方向にはと向かって行ったアリシアとグレイを追う。



「どこに行くんだよ?アリシア?」


「ちょっと話があるの!」


人のいない中庭までグレイを連れて来たアリシアはここでようやく掴んでいたグレイの手を離す。


「なんだよ話って?」


「さっきの話よ!、あなたが好きな人って誰!?」


もしグレイが別の者を好きならばアリシアは失恋だ。だからこそアリシアは必死になる。


「ここなら誰もいないわ!話せるでしょ!言って!」


同時に失恋するなら一気にしたいと思うアリシアはグレイに詰め寄り誰が好きなのか言うように促した。


「いけー!グレイ!言っちまえー!」


「そうだよー!大チャンスだよー!」


「ちょっ!二人とも!聞こえますって!落ち着いて!」


木の陰に隠れグレイに行け行けしているシールスとシメラ、メアはアリシアとグレイにバレないようになんとか二人を抑える。


「お、俺が好きなのは・・・」


俯き口曇るグレイ、そんな彼を見てアリシアは彼に抱き着く。


「誰なの?」


「・・・まえだよ」


「なに?」


「お前が好きだ!、どうだ!?これで満足か!」


「・・・ほんと?、私のことが好きなの?」


「そう言ったろ!」


「えっ、えへへ、嬉しい!」


グレイに好きだ、そう伝えられたアリシアは抑えていた気持ちが収まり切らなくなりグレイとキスをした。


「なっ、お前・・・」


「察しが悪いわね?、私もあなたが好きなの!、と言うわけでこれからよろしく!グレイ!、付き合えた時点で私絶対あなたと結婚するから!覚悟しててよね!」


「お、おう・・・!、お前と付き合えたのなら最後まで面倒見てやんよ!」


「じゃあもう一回キスして、今度はあなたから」


アリシアは目を閉じグレイからのキスを待つ。グレイは目を閉じたアリシアの頬を優しく撫でるとアリシアとキスをする。


「やったぜ!」


「だね!ようやくだよぉ〜・・・」


「ふふっお疲れ様です」


(そして・・・、おめでとう、アリシア)


メアは恋を実らせたアリシアを祝福する、そして二人を促し城の中に戻り恋人同士となった二人が戻って来るのを待つ。

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