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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第四部、一章、アリシア・リィターニア
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十三話

ガージン街道


シロと一緒に空を飛びアリシアとメアはガージン街道にやって来ていた。


「・・・、上から見た感じ、変なのはいなかったわよね?、メアリ」


「はい、いるとしたらあの森の中なのでしょうけど・・・」


二人は上空から見て街道から見ると切り立った崖の上に深い森があるのを見つけていた、何かいるとすればそこである。


「馬車が来たわね」


「はい」


右方向から馬車がやって来た、二人の少女は馬車を避ける為に道の端に寄る、その時だった崖の上から岩が落ちて来る、それを見たアリシアはメアが動くのよりも先に駆け出し、馬車の上に飛び乗ると、岩をエリシャディアで斬り裂いた。


「流石です、アリシア」


「それほどでもあるわね、うん」


「そこはないと言うところですよ、全く・・・」


馬車を助けてやった!とアリシアはフフンと胸を張る、そんなアリシアを見てメアはツッコミとしてアリシアの頬を突く、するとアリシアはニシシと笑った。


「ありがとうねぇ、騎士様方」


馬車の持ち主が馬車の上で漫才をしている二人に礼を言って来た。


「あら、乗っちゃっててごめんなさい、あなたとあなたの馬車が無事で良かったわ、この先の道中も気を付けてね?」


「はいよ〜、それじゃ〜ね〜」


のんびりした口調の男はアリシアとメアに手を振りながら去って行った。


「さて、やっぱり上ですね、犯人を探してみましょうか」


「ええ、シロ?ここを通る人達がさっきみたいに襲われたら守ってあげてね」


「クー!」(了解!ご主人!)


「・・・、良し!行こう!」


「なんて言ったのか分からないのなら素直に言いましょう・・・」


「煩い」


この場所の守護をシロに任せたアリシアとメアは崖を登り(その方が早いのでメアがアリシアをお姫様抱っこしてジャンプして登った)、森の中に入る。




ガージン街道、崖の上の森


「暗いわね」


そう言うアリシアはメアの腕に抱き付いている。


「・・・」


そんなアリシアを見てちょっとしたイタズラ心を刺激されたメアは、シュンと転移した。


「う、嘘でしょ?、メアリ?どこ?メアリぃ!?」


暗い森に一人で放置されて怖くなったアリシアは、涙目になってメアを探す。


「ふふっ、アリシアは可愛いですね」


近くの木の後ろに転移しただけであるメアは、涙目なアリシアに近付くと、クスクスと笑う。


「やめてよね!そう言うの!、本当にやめてよね!」


「怖いからですか?」


「そうよ、何か悪い!?」


「いいえ?何も悪くないです、アリシアのそう言う所、可愛いと思いますし」


「っー!、人を揶揄うのが好きなんだから!、ほら!行くわよ!」


ニヤニヤとアリシアを可愛いと言うメアの顔を見て、顔を真っ赤にしたアリシアは、森の奥に向かって行く、メアは動かずアリシアが自分が止まっている事に気付くのを待つ。


「・・・、ついて来てよ!、怖いんだから!」


「はいはい」


そろそろアリシアが怒りそうだと思ったメアはアリシアの隣に向かう、するとアリシアはメアの腕に抱き付いた、メアはそんな彼女を見てクスクスと笑うと、ブルブル震えている彼女と森の中の探索を始める。


「取り敢えず、痕跡を探しながら歩きましょう、何かいるのなら必ず見つかる筈です」


「そうね!私が下を見て足跡とか探すからメアリは周りを見て何かいないか探しなさい!」


「了解です」


アリシアがメアに周りを見るように言ったのは遠くを見ると、何かを見付けた時に確実にビビるからである、要するにこれ以上メアに揶揄われたくないアリシアの乙女心である。


下を見て足元の痕跡を探すアリシアと、周囲を見渡し何かいないか探すメア、先に痕跡を見付けたのはアリシアであった。


「ひゃあ!、・・・、ビビってないもん!」


「はいはい、何か見つけたんですか?」


一々揶揄っていては話が進まない為、メアは適当な反応で流す。


「だからビビってないもん!、・・・、何よその目は?ビビったわよ認めるわよ、はぁ・・・見なさい足跡よ、これは猿型の魔物ね」


それはそれで馬鹿にされた気がするアリシアはビビってないと言った、その結果メアに呆れた目をされたので、仕方なくビビった事を認め、授業で習った知識を元に、足跡が猿型の魔物の物であると言った。


「ふぅむ・・・猿型の魔物は知能が高い、その知能を使ったイタズラで、この森の近くにある街道に岩を落とし沢山の人を困らせるだけではなく怪我をさせていたと言う訳ですか」


「そう言う事でしょう、退治しちゃってこんな馬鹿な事をやめさせましょう」


「了解です」


アリシアとメアは猿型の魔物の足跡を追い、更に森の奥に進んで行く。




森の奥


「キッキ!、キキー!」


森の奥にやって来ると岩場があり一匹の猿型の魔物が次のイタズラに使う岩の選別をしていた。


「プロテンモンキー、森の中に住む魔物よ、腕の筋力が高いのが特徴で、その腕の力を使って物を投げて戦うの」


「解説ありがとうございます」


「どうも」


アリシアの魔物解説の後二人はプロテンモンキーに近付いて行く、二人の足跡を聞いたプロテンモンキーは振り返り持っていた岩を早速二人に向けて放り投げて来た。


「えい!」


メアは飛んで来た岩を軽い掛け声と共に殴り壊した。


「・・・」


「・・・」


この時プロテンモンキーとアリシアの思考は一致していた、プロテンモンキーもアリシアも、飛んで来た岩をあんな軽いノリでは壊せないのだ。


「さぁてお猿さん?、お仕置きの時間よ?覚悟しなさい」


金色の鎧を身に纏う少女は剣を抜き、一度は思考が一致したが、そんな理由で見逃すつもりはないプロテンモンキーに斬りかかった、プロテンモンキーは落ち着いた様子でアリシアの攻撃を避ける。


「てい!」


プロテンモンキーがアリシアの攻撃を避け飛び退いた先にメアが回り込んでいた、彼女は見事な右ストレートを放ちプロテンモンキーの横顔にその拳をクリーンヒットさせる、クリーンヒットを喰らったプロテンモンキーは吹っ飛び木に激突する。


「セェイ!」


木に激突したプロテンモンキーにアリシアが剣を突き刺す、その一撃は正確にプロテンモンキーの心臓を貫いており、物流に多大な被害をもたらしていたイタズラ犯は絶命した。


「これにて一件落着かしら?」


「でしょうね、それでは私は転移してシロの所で待ってますね?」


仕事が終わるなりアリシアへの揶揄いを再開したメアは自分だけ転移するとアリシアに伝えた。


「だーめ!、一緒に行くの!」


「ええー?、こんな暗闇程度でビビってちゃ聖騎士の名が廃りますよ、だから訓練だと思って一人でシロの元まで歩いて来てくださいよ?」


「ヤーダ!!絶対ヤーダ!!」


「仕方ないですねぇ」


ギューとメアの腕に抱き着き森の中を一人で歩くのを拒否するアリシア、メアはそんな可愛らしい彼女を見れて満足気な表情を見せると、アリシアと共に森の中を歩きシロの元に戻り、王城に舞い戻った。



王城


「と言うわけで、イタズラ犯の退治は完了しました」


「よくやってくれたな、明日もこの調子で頼むぞ?」


「「はい!」」


王への報告を終え王室を後にした二人は廊下を歩きアリシアの部屋に戻って行く。


「報告書の作成、頑張りましょうか」


「そうね、それが終わればお楽しみの夕食タイムよ」


「今日は何が出て来るのでしょうか?」


「私としてはハンバーグを食べたい気分ね」


「私はビーフシチューを食べたいです」


部屋に戻り報告書を作り終えた二人の元に運ばれて来た夕食は、カレーライスだった。


「これはこれでよし」


「美味しいです」

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