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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第四部、一章、アリシア・リィターニア
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九話

「待っててねシロ」


王都アルトシャルセン、王室


王都に戻ったアリシアは王室に入り王に報告をしていた。


「よく戻ったな、してあそこには何があった」


王は無事に戻って来たアリシアを労い、ヘイゲンブロックに何があったのかを聞いた。


「ヘイゲンブロックに現れたのはメアリと言う名の人物です、その人物はヘイゲンブロックから移動しオルベニの町に入りましたが、ナイリアーノ帝国の竜騎士が現れ、連れて行かれてしまいました・・・」


「ナイリアーノだと・・・、何故我が国に・・・」


「分かりません、奴等がこの国で何をしているのか、それとあの少女の正体を探る為にも、追跡をしたいのですが、よろしいですか?」


「良かろう、ナイリアーノの竜騎士とメアリと言う名の少女を捕え、この王都に連行せよ」


「はっ!」


王の名を受けたアリシアは立ち上がると胸に手を当てて騎士の礼を取った、それを見た王は頷き、アリシアは王に背を向けると王室を後にした。



廊下


アリシアは自室に向かう為廊下を歩いている、すると馬車に乗り王都に出勤して来たオーグルが前方から歩いて来た。


「よう、アリシア、その鎧似合ってるじゃないか」


「ありがと」


「急いでるようだが、早速任務か?」


オーグルはアリシアが早歩きで歩いて来たのを思い出し任務かどうか聞いて来た。


「ええ、不審人物とナイリアーノの竜騎士を追う事になったの、父さん、手伝ってくれない?」


聖騎士には王都の騎士団を自由に動かす権限がある、初仕事を父と共にやりたい、そう思ったアリシアは父に手伝って欲しいと言った。


「了解しました、聖騎士アリシア・リィターニア様、このオーグル・リィターニアがお伴しましょう」


アリシアの言葉を聞いたオーグルは芝居掛かった仕草で礼をすると、アリシアのお伴をすると言った。


「あはは、何よそれ、父さん」


アリシアは父の芝居掛かった仕草を見てクスクスと笑う。


「何って、俺にとってお前は上司になるわけだからなぁ?、相応の礼儀が必要だろ?」


「いらないわよそんなの、家族ですもの、だから敢・え・て聖騎士として命令しておくわね?、オーグル・リィターニアには特例として普段通りに私と接する事を許可します」


「ふふ、承知しました、聖騎士アリシア、その命令承諾します、それでは行こうか、アリシア」


アリシアの命令を受け入れたオーグルはアリシアの肩を叩くと行こうと伝えて来た、アリシアは頷くとオーグルと共に自室にいるシロの元に行こうとする。


「待ちなさい、新人ちゃん」


アリシアとオーグルが歩き始めた途端、話しかけてくる人物がいた、アリシアとオーグルが振り返るとそこには青い鎧を着た女性が立っていた、オーグルは彼女を見て片膝を着く。


「聖騎士リーリナ、何か御用ですか?」


大会に優勝した後、同僚となる聖騎士達の顔を覚えておいた方が良いと言われ、顔写真入りの魔法石を渡されたアリシアは、三時間ほど写真と名前を見続け、自分以外に十四人いる聖騎士達の顔と名前を暗記し切っていた、その為、話しかけて来た人物を聖騎士リーリナだと言い当て、何か用か聞いた。


「私達は聖騎士、つまり同等の立場、敬語などいらないわ、そんな事より王が面白そうな事を言っていたわ、あなたナイリアーノの竜騎士と正体不明の人物を追うそうね?」


「分かりました、・・・、ええそうよ、その為に父さんに手助けをしてもらう事にしたの」


「そっ、なら私も連れて行きなさい、正体不明なんて面白そうな奴、是非自分の目で目にしてみたいのよ」


「分かったわ、聖騎士リーリナ・シュタインの同伴を許可します」


「ありがとう、それじゃ空で合流しましょう」


「ええ」


肩をコツンと突いてくるリーリナに向けてアリシアは頷く、リーリナは新たな同僚に向けて柔らかい笑みを向けると、背を向け自身の竜の元に向かって行った。


「アクアカッターを使う聖騎士リーリナ、かなり心強い存在だと言っておこう」


「そんな強い人がついて来てくれるなんて百人力だわ、さっ私達も行きましょう」


「あぁ」


アリシアとオーグルはアリシアの自室に入る。


「・・・、俺の執務室より豪華だ・・・」


「フフン、だって私聖騎士ですもの」


各隊の隊長には執務室が与えられる、そこそこ豪華な部屋なのだが、アリシアの自室は自分の執務室よりかなり豪華であった為、オーグルはたじろいた、アリシアはそんな父を見てフフンと胸を張る。


「こいつめ・・・」


オーグルはそんな娘の頬を引っ張る。


「イタイデフ、トーシャン」


「生意気な娘への仕置だ」


「だっへわたひせいひしだほん」


「まだ言うかこいつめ」


父と娘で暫く戯れあった後、二人はシロに乗り込み空に飛び立った。



王都上空


シロに乗るアリシアは空でリーリナを待っている、すると青い竜に乗ったリーリナがやって来た。


「待たせたわね」


「良いの、それよりもどうやってあの二人を追うかなんだけど・・・」


そう、アリシアは父の教えに従い一度王都に戻り王にメアの事を報告した、その為あの二人がどこに逃げたのか見当が付かないのだ。


「大丈夫、私に任せなさい、私の剣アクアカッターは水を操り敵を斬り裂く剣、水を操る能力を応用すればね?、水が色々と私に教えてくれるのよ」


そう言ってリーリナは周囲を見渡し川を見付けると近付いて行く、アリシアはシロを操りリーリナについて行く。


「ちょっと待ってなさい、解放!、アクアカッター!、清らかな水は私と共に!」


竜から飛び降りたリーリナはアクアカッターを解放すると左手で持ち直し、右手を水に浸け目を閉じる。


「ありがとう」


水が何かを教えてくれたのか、リーリナは水に感謝すると、シロから降りていたアリシアとオーグルに近付いて来た。


「竜騎士と正体不明の人物は・・・」


「あっ言ってなかったわね、正体不明の人物の名はメアリよ」


「そっ、そのメアリはジールブ川のほとりで休憩をしているみたいよ、まっ当然ね、竜にも水分補給と栄養補給が必要、どうしても休む必要があるわ、あなたもその子に無茶をさせすぎないようにね」


「分かってる」


アリシアは竜に無茶をさせすぎるなと言う先輩の言葉に返事をしてから頷いた。


「なら良いわ、それでは行くわよ、後輩ちゃん」


「ええ」


三人は竜に乗り込むと再び飛び立ち、ジールブ川のほとりに向かう。




ジールブ川


エリシアに攫われジールブ川でようやく竜から降りる事が出来たメアは、剣に手を触れながら彼女に話しかける。


「あなた一体何が目的ですか?、私をいきなり攫って・・・、返答次第では・・・」


「斬るか?、ならそうするしかないだろうな、何故なら私はお前の強き力を感じ、我が国に勧誘する為に攫ったのだからな、どうだ?女よ、我が祖国に来て私と共に戦わないか?、我等がナイリアーノ帝国が全てを支配する世界を作ろうじゃないか」


怪しく微笑むエリシアはメアに手を差し出し勧誘してくる、対するメアの答えは決まっている。


「拒否します!、あなたの国はどうせ力で全てを支配しようとしているのでしょう!?」


(・・・、私がよく知るアリシアのように・・・)


「そんな国に私は絶対に手を貸しません!」


一つの国が世界の全てを支配しようとすればどうなるのか?をよく知るメアは、エリシアの勧誘を拒否した。


「フン、いずれ全てを支配する我が国に従う事が正しい選択だと言うのに愚かな奴だ」


拒否されたエリシアは剣を抜きメアに向ける、対するメアも剣を抜く。


「見付けたわよ!」


そこにリーリナとオーグルを伴ったアリシアが駆け付け、シロから飛び降り地面に降り立つと、剣を抜き、メアとエリシアに斬りかかる。


「わ、私は戦うつもりは!」


「アルトシャーニアの聖騎士は随分と猪なようだ!」


「問答無用!、あなた達は一度逃亡している!、その時点で穏便に済ます必要なんてないわ!」


メアはアリシアの剣を受け止めながら戦うつもりはないと言い、エリシアは後ろに飛び下がりながらアリシアを猪だと称した。


「・・・ああいう所、アイリスにそっくりだなぁ・・・」


「あの竜騎士が言った通り物凄い猪っぷりね・・・、まずは話を聞きなさい!話を・・・、聞いてないわアレ・・・」


リーリナとオーグルは猪なアリシアにツッコミを入れるが、アリシアは勿論聞いていない、メアの腹に蹴りを叩き込むと、エリシアに斬りかかるその強力な斬撃でエリシアの腕を跳ね上げさせた。


「秘奥義!、ウェポンビット!」


武器の創造の正式名称は秘奥義のウェポンビットと言う、アリシアはウェポンビットを発動させ、二本の剣を呼び出すとエリシアに向けて放つ。


「くっ!、解放!、ナイトアルセン!」


(解放?により力が増した・・・、この世界の剣は特殊な能力があるようですね)


エリシアがナイトアルセンの力を解放すると、周囲が暗闇に包まれた。


「おい!、あの猪から逃げるぞ!、あの馬鹿は正直私より余程強い!相手にしてられるか!」


「な、なんであなたと!」


「なんでってあの猪、お前を問答無用で斬るぞ?、斬られたいのか?お前」


「それは嫌です・・・」


「ならついて来い!」


「は、はい!」


今は話が通じそうにないアリシアに斬られたくないメアはエリシアと共に逃げる事を選択した、暗闇に紛れ二人は竜に乗り込むと空に飛び立ち逃亡を開始した。


「逃すかぁ!」


走って暗闇を突破したアリシアは剣をエリシアの竜に向けて飛ばすが、外れ二人に逃げられた。


「不覚・・・、逃げられたわ・・・」


二人に逃げられたアリシアは悔しそうに俯く。


「不覚じゃないわよこの馬鹿!、なんで話を聞かないのよ!、いきなり襲われたらそりゃあいつらも逃げるわよ!、あなた馬鹿なの?馬鹿なのね!?」


リーリナはそんなアリシアに詰め寄ると俯いている彼女の頬を引っ張る。


「まぁまぁ・・・、初めての任務で周りが見えなくなる事はよくある事だから・・・、なっ?」


「初めての任務とは言えよ!、反省なさい!」


「・・・はい」


リーリナに怒られたアリシアはシュンとした。


「次は私があの二人と話す、あ・な・たは大人しくしてなさい!、良いわね!?」


「はい・・・」


「良し!、それじゃ追うわよ!」


プリプリと怒るリーリナは空に飛び立った、シュンとしたアリシアと、それを見て苦笑いをするオーグルもシロに乗り込み飛び立った。

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