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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第四部、一章、アリシア・リィターニア
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七話、聖騎士大会4、アリシアVSアヌバス

王都、アルトシャルセン、闘技場


「一番隊のアヌバス隊長、私との立ち合いをお願いします」


二人の騎士見習いを倒したアリシアは、丁度ザーブル、クーツ、アダミダの三人を相手にし打ち勝って見せたアヌバスに立ち合いを挑んだ。


「良かろう、オーグルの娘、アリシアよ、その立ち合い、一番隊隊長として引き受けよう」


アヌバスはアリシアとの立ち合いを引き受け剣を収めた、アリシアも剣を収める、二人が剣を収めた理由はこの国の騎士達の立ち合いをする時のルール、一度剣を収め名を名乗ってから戦いを始めると言うルールに従っての物だ。


「それでは始めよう!、王都アルトシャルセン騎士団!一番隊!アヌバス!参る!」


「オルゴン騎士学園!そしてオーグルとアイリスの娘!、アリシア!、行きます!」


アヌバスとアリシアは駆け出し、同時に剣を抜くと剣を合わせあった。


「くっ!」


(これがアヌバス隊長のヒートブースター・・・、押し込まれる!)


鍛え上げた体だけでも強力なのに、剣のブースターを吹かし更に威力を増させてくる、これまでパワー勝負で負けた事がないアリシアでさえどんどんと押し込まれて行き、最後には片膝を着かされた。


「くっ!」


このままでは剣を落とす、そう判断したアリシアは左手に剣を創造し剣を振り上げた。


「甘いな!」


片膝を着いた姿勢からの振り上げなど大した攻撃ではない、アヌバスは余裕でアリシアの斬撃を避け、そして左手に持つ剣を一撃で破壊して見せた。


(小手先の手は通じない!、私自身の剣の腕で勝たなきゃ!、それにまだあれがある!)


創造で作る剣はエリシャディアよりどうしても強度が劣る、そんな剣ではアヌバスには勝てないと判断したアリシアは、エリシャディアだけで勝ち切ると誓い、アヌバスに向かって行く。


(覚悟を決めた強い目だ、今のこの子はライロスよりも強いだろう、ならば手は抜けないな!)


「はぁぁ!」


アリシアの目を見て手を抜けないそう判断したアヌバスはアリシアの飛び斬りを、自身の剣で確実に受け止めた、剣と剣がぶつかり合う事で生じた火花を横目に見つつ、アリシアは地面に降り立ち突きを放った。


「早いな!だが!」


アリシアの早い突きをアヌバスは避けた、しかしアリシアは突きを出し切らず途中で止め、アヌバスの剣に自身の剣を全力でぶつけて見せた。


「ぐぅぅ!」


アヌバスはアリシアが剣をぶつけて来る前に両手で剣を持っており剣をギリギリで取り落とさなかった、しゃがんだ姿勢のアリシアを見下ろす状態となっており有利なアヌバスは、ここぞとばかりに剣を赤く輝かせた。


「秘奥義!」


秘奥義とは解放能力を持つ剣が持っている必殺技だ、持ち主の成長により秘奥義も成長し、技の能力が変化して行き、威力も増して行く。


「ブースターボルケーノ!」


ヒートブースターのブースターから炎が吹き荒れ刀身も燃え盛る、アヌバスは燃え盛る剣を一気に振り下ろした。


「秘奥義!」


対するアリシアも上を取られているとは言え負けを認めるつもりはない為、秘奥義を発動させた、アリシアのエリシャディアが金色に光り輝く。


「エリシャブレイク!」


金色の光に覆われた剣をアリシアは下から上にへと振り上げた、炎の剣と光の剣がぶつかり合う。


「はぁぁぁ!」


「いっけぇぇ!」


アリシアとアヌバスは剣を交わらせ押し合う、しかしアリシアにとって全力の一撃でも、アヌバスの筋力とヒートブースターの組み合わせには若干届かず、アリシアは再び押し込まれて行く、その時だ。


「アリシア!」


「お前なら勝てる!」


両親の声が聞こえた、アリシアは一瞬だけ声がした方向に目だけを走らせ、両親の姿を見た。


(そうだ、この戦いはこれまで育ててくれた父さんと母さんに私の感謝の気持ちを見せる為の戦い!、これで負けたら私は感謝の気持ちを二人に伝えられない!、だから!)


「勝つんだぁぁぁ!」


両親の姿を見て二人への感謝の気持ちを力に変えたアリシアは、アヌバスを押し込んで行く、そして・・・。


「くっ!」


アヌバスを押し切って見せた。


(これが私が勝つラストチャンス!、絶対に決めて見せる!)


アリシアに押し切られた事により姿勢が崩れているアヌバス、アリシアはそこを突きアヌバスの懐に潜り込もうとするが、アヌバスは崩れた姿勢から剣を横に払って来た。


「ぬっ!?」


しかしアリシアは優れた反射神経でアヌバスの横振りの斬撃の下に潜り込んで見せ、アヌバスの剣を下から斬り上げた。


「・・・俺の負けだ、その歳でよくぞそこまで剣を磨き上げて見せたものだな、今日から君が十五人目の聖騎士だ」


アヌバスの剣が宙を舞う、剣を弾き飛ばされたアヌバスは負けを認め、宙を舞う赤い剣を見て信じられないと言った顔をしているアリシアの肩を叩く、それと同時にヒートブースターが地面に突き刺さる。


「そこまで!、勝者アリシア!、同時に彼女を十五人目の聖騎士として任命する!、皆の者!拍手を!!」


「「おおおお!」」


王が試合の終わりを告げ、アリシアに拍手を送るように伝えた、闘技場の国民達はアリシアに向けた拍手を送り、幼馴染達は立ち上がって歓声を上げている、アイリスは涙を流しており、オーグルは涙を流す妻に肩を回しながら、アリシアに暖かい視線を送っていた。


(勝った、勝ったんだ私、そして!聖騎士になったんだ!)


「やったぁぁぁ!」


聖騎士になったのだと認識したアリシアは、剣を天に向けて掲げ喜んだ、それを見て観客は更なる歓声を上げた。



王都、竜舎


観客の歓声が収まった後、アリシアは表彰をされ優勝トロフィーを貰った、そしてこの国の大臣に呼ばれこの後の段取りを伝えられた、それは三日後に正式な任命式を王室で行うので、鎧を剣を身に付けて来るようにといったものだった。


それと聖騎士は必ず竜を持っていなければならないので、竜を選ぶようにと言われたアリシアは現在竜を選んでいる。


「今いるのは白竜に黒竜と黄竜だ、どれにする?」


白竜は光属性の力を持ち、黒龍は闇の力を持つ、黄竜は雷の属性を持つ、このうちの一匹から選べと言われたアリシアは、に一目見た時に気に入った白竜に近付くと触れた、すると白竜の方もアリシアを既に認めていたのか、アリシアの顔に自身の顔を擦り寄せた。


「クルル」


「ふふっ、可愛いね君、君の名前は今日からシロだ、よろしくね」


甘えた声で鳴く白竜にアリシアはシロと名付けた。


「それではアリシア様、次はあなた様の部屋に案内しましょう、聖騎士には一人一人に王城に早変わり与えられる決まりですので」


「分かったわ、それじゃあね?シロ、グレイ達と遊んでて?、また後で来るから」


「クー!」


「と言うわけでシロと遊んであげて?、みんな」


「はいはい」


アリシアにシロと遊んであげるよう頼まれたグレイ達は竜の世話役達に竜との遊び方を聞き遊び始めた、アリシアはその様子を暫く見てから、案内役の騎士と共に王城に入って行った。




王城、アリシアの部屋


案内役の騎士とアリシアはこれから自身の仕事の場となる全八階からなら王城の七階にある部屋に案内された、部屋にはベッドにシャワールームとクローゼット、魔導冷蔵庫にキッチンと執務机があった、ベランダの方を覗いてみると竜の為のスペースがあり、シロはこれからは竜舎でなくここで寝泊まりする事になりそうだ。


「ここがあなたの部屋となります、足りない物があったらお申し付け下さい、すぐに用意させますので」


「うーん、見た感じこれで十分かな、欲しい物があるとしても、私の家の部屋の物をこっちに移したいし」


「そうですか、ならばお運びになりたい物があるならお申し付けくださいませ」


「分かったわ」


アリシアは案内役の騎士に笑いかける、その笑みを見た騎士は一瞬見惚れた後に慌てて俯いた。


「そ、それではアリシア様、今日のご予定はこれで終わりですので、ご自宅にお帰りになっても大丈夫ですよっ!」


「え、ええ、今日の所は帰るわ」


いきなりしどろもどろになった騎士に首を傾げつつ、アリシアは机に置いたトロフィーを抱えると、部屋から出て、グレイ達の元に向かう。



帰りの馬車


「ふふっ、疲れたのね」


「それもそうだ、あのアヌバスや名だたる騎士達を相手にしたのだからな、寝かせてやろう」


馬車に乗り込んだアリシアは暫くは椅子に座って両親やグレイ達と話していたが、やがてシメラにもたれかかると眠り始めた、アイリスは眠るアリシアの髪を優しく撫で、オーグルは優しく微笑みかけた。


聖騎士になった少女アリシアの腕には大事そうにトロフィーが抱きかかえられていた。

ここまでがプロローグ、次回からが物語の本格的なスタートとなります。

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