十話
クレーター3
ここはクレーター3、メイルス国に七つある巨大都市のうちの三つ目の都市だ、帝国が手に入れた都市はクレーター1、クレーター4、クレーター6の三つ、アリシアは帝国軍を率いて、四つ目の都市にへと攻撃を仕掛けていた。
「前回と命令は変わらないわ、四つの入り口を突破し、都市の中に侵入しメイルス人を殲滅しなさい」
『承知しております、陛下』
皇帝の椅子に足を組んで座り肘掛けを使い頬杖を着くアリシアは、飛空艇の中から全帝国兵に向けて命令をした、そしてアリシアの命令に返事を返す者がいた、その名はキルシオ、アリシアの忠実な部下の一人だ。
「あら?キルシオ、今日はあなたが私の為に頑張ってくれるの?」
『はい、必ずや陛下の勝利に貢献してみせましょう』
「ふふっ、期待してあげる」
『はっ!、行くぞお前達!、我等が皇帝陛下のご期待に応えるのだ!』
『おお!』
キルシオが率いる軍勢は、クレーターに設置されている砲台からの砲撃をもろともせず、あっという間に閉じられている北側の鉄製の分厚い扉に殺到すると、破壊する為に攻撃を仕掛け始めた、それを見て爆撃部隊からクレーター攻略部隊の指揮に移るようアリシアに命令され、それを受理したイブリサも負けじと西側の扉に攻撃を始めた。
『アリシア様?、私にも期待してくれない?』
「ふふっキャンベル、あなたも勿論、私の期待に応えてくれると信じているわ?」
キャンベルはモーニゴ王国の王女であり、キルシアやイブリサに続くアリシアが直々に臣民となる権利を与えた者の一人である、アリシアはモニター越しに顔を見せた彼女に向けて首を傾げながら期待をしていると伝えた、アリシアのその仕草は同性から見てもかなり魅力的であった為、キャンベルは頬を赤くして顔を逸らす。
「あ、当たり前よ!、見てなさいよ!私の実力をね!」
張り切るキャンベルは他の二人と同じく攻撃を仕掛け始めた。
「ここも時間の問題ね、母さん」
「そうね」
ニアがアリシアに近付いて来て抱き着く、アリシアは抱き着いてきたニアの髪を優しく撫で始める。
「お母様は戦いに行かないのですか?」
「ええ、残りのセブンジェネラルズは先の首都での戦いを見越してから、首都の近くに陣を敷いている、つまりここにいるのはメイルスにとっては役立たずな兵士達だけ、そんな雑魚を相手にしても楽しめないでしょう?」
「お母様が戦場に出るだけで士気が高まるのですから、ワガママ言わずに出て下さい」
アイリーンは戦いに行かない理由を言ったアリシアの手を引っ張り、戦場に向かわせようとしたが、パワーの差がありすぎる為アリシアはアイリーンがどれだけ引っ張ってもピクリとも動かない、それどころか腕を引かれ抱き寄せられた。
「しばらく黙ってなさい」
「あぅ・・・」
アリシアに抱きしめられたアイリーンは大人しくなった。
「それにここから出なくても、私は戦えるわ?、ねぇ?お前達?」
アリシアが腕を振るうと七体の使い魔達が現れ、主人の意を察した彼等は代わり代わりに扉にタックルを仕掛け始め、三分ほどで扉を突破してしまった、先に攻撃を仕掛けていたキルシオ達も扉を突破し、中にいるメイルス軍や一般人に襲い掛かり始めた。
「これで満足かしら?、アイリーン」
「あい・・・」
顔がアリシアの胸に埋まっている為、モゴモゴと言葉を発した。
「よろしい、都市が滅びる様子を眺めつつ昼食としましょう」
昼食にするそう言ったアリシアが手を数回叩くと、飛空艇に乗っていたメイド達が現れ、ニアとアイリーンの分の椅子と机を置く、そして机の上に料理を並べて行った。
「うまそうだな」
「残しておいてくれ、お前はどうせ残るんだろうが、私は雑魚相手でも楽しめるのならたっぷりと味合う主義でな、戦場に行ってくる」
「はいはい、キースお姉ちゃんをいつも通りよろしくね?」
「おう、任せな」
キースはエリシアの肩を叩くと部屋の外に向かって行く、エリシアは彼に叩かれた肩に手を触れてから戦場に向かって行った。
「それじゃ食べましょう?」
戦闘を眺めつつの昼食が始まった。




