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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第三部、四章、Mary
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九話、フロスヒィー海岸の戦い3、アリシアVSゴルハボズ

フロスヒィー海岸近くの森


何の恨みもない相手である為、単純にゴルハボズとの戦いをバトルシア人としての本能のままに楽しんでいたアリシアは、耳に付けた通信機に入った姉からの通信に応対をし、再び剣を構え直した。


「ごめんなさいね?、お姉ちゃんとの通信をしている間待って貰っちゃって」


「良い、俺は正々堂々の戦いを好むからな、少しの間の中断くらいは待つさ」


「フン、私相手に随分と余裕あるのね!」


地面を蹴りアリシアはゴルハボズに向けて接近する、駆け出した瞬間から強者との戦いを好むバトルシア人としての本能が昂り、アリシアは楽しそうに笑いながらゴルハボズに斬りかかった。


「なんと言う思い一撃!、しかし!」


長い月日をかけて鍛え上げた強靭な体を持つゴルハボズは、アリシアの華奢な体からは想像出来ない程に強烈な斬撃を受け止めて見せた、そしてアリシアの顔を左手で掴むと地面に叩き付ける。


「あはは」


後頭部から叩き付けられゴルハボズに地面に押さえ付けられているアリシアは不気味に笑う、その笑みを見たゴルハボズはアリシアが何かする前にその首を斬り飛ばそうと片手で剣を振るうが、アリシアは剣が自身の首に到達する前に全身から魔力を放ち、ゴルハボズを吹き飛ばした。


「良いわ、良いわよあなた、もっと私を楽しませなさいな!」


アリシアにとって話にならないレベルの実力であるメイルス兵と違い、ゴルハボズはアリシアを楽しませる事が出来る程度の実力を持っている、絶えず楽しそうな笑みを浮かべているアリシアは、左手を上げ魔力弾を放つ。


「ふぅん!」


ゴルハボズは大剣でアリシアの魔法弾を弾いた、その隙にアリシアはゴルハボズの懐に潜り込んでいたが、ゴルハボズはアリシアの顔に膝打ちを喰らわせ、アリシアの動きを止め更に左脚での蹴りでアリシアを下がらせる。


「はぁぁ!」


ゴルハボズは後退させたアリシアに迫り大剣を振るった、アリシアはギリギリで避け、ゴルハボズの顔に蹴りを叩き込む。


「ぐぉ!」


クリーンヒットなアリシアの蹴りはゴルハボズを地面に倒させた、アリシアは倒れたゴルハボズを更に蹴り飛ばし、蹴り飛ばされたゴルハボズは木に激突する。


「女、それも少女だと言うのにそのパワーに防御力、流石はレイティスの血を引くバトルシア人だ、俺が見て来たバトルシア人達とは格が違う」


「うふふ、お褒めにあずかり光栄だわ、でもあなたこそその強靭な体、よくぞそこまで鍛えたとアトリーヌ帝国皇帝として褒めてあげる」


かなりのスピードで木に叩き付けられたと言うのに余裕そうに立ち上がったゴルハボズを、アリシアは褒めた。


「俺も光栄だと言っておこう!、さぁ続きをしようか!」


「ええ!」


二人は同時に駆け出し同時にガンブレードと大剣をあわせ合う、両手でアリシアを押し込もうとするゴルハボズに対し、片手でゴルハボズの押し込みに耐えているアリシアは、左手をゴルハボズの顔に向け魔法弾を撃ち出した、顔に魔法弾の直撃はマズイ、そう判断したゴルハボズは顔を捻り避けるがその隙が仇となる、ゴルハボズはアリシアに押し切られ、腹に重い一撃を喰らった。


「かっは・・・」


バトルシア人と貴族級の吸血鬼のハイブリッドと言う、まさに戦う為の存在であるアリシアの一撃を喰らったゴルハボズは、たった一撃腹に貰っただけで口から血をダラダラと吐き、地面に倒れる。


「ジューベル殿が言っていた通りだな・・・、お前がただの戦闘マシーンとなっていれば、お前を所有している国は正にこの世界最強となれただろう・・・」


フラフラと立ち上がり気丈にも剣を構えて見せたゴルハボズは、アリシアを戦闘マシーンと呼んだ。


「前はあなたが言うように私が兵器、戦闘マシーンであることを否定していたけど、うふふ、今はもう否定しないわ、だってさぁ!、戦うのってこんなに楽しいんだもの!」


戦闘マシーンである事を否定しない所か受け入れているとアリシアは言ってみせた、もしこの言葉をメアが聞けば相当に悲しむだろう、メアはアリシアに普通に生きて欲しいと願っている、バトルシア人としての本能のままに生きる戦いの中でしか生きられない、戦闘マシーンなどという生き方はメアが望むものではない。


たった一撃で満身創痍となっているゴルハボズに迫ったアリシアは、彼を蹴り飛ばしその上に馬乗りになると、剣を投げ捨て彼の顔を何度も何度も殴り始めた。


「ぐっ!、くそぉ・・・!」


アリシアにのしかかられ殴られるゴルハボズはなんとかアリシアを引き剥がそうとするが、彼よりも高い筋力を持つアリシアを引き剥がす事は出来ず、その顔は徐々に血だらけとなって行った。


「ぐっ、う・・・」


「あはっ!、あはは!、死ね!死ねぇ!」


アリシアに殴られ続ける哀れな将軍はこのまま弱って行き、最後にはその命を散らした。


「はぁーあ、あはは、楽しかった、でもまだまだ足りなぁい」


ゴルハボズを殺したアリシアはまだ満足していない、次の獲物を探す少女の瞳は紅く不気味に光り輝いていた。




皇帝の飛空艇


満足が行くまで殺戮を楽しんだアリシアは、鼻歌を歌いながら飛空艇のバスルームで湯に浸かっていた。


先の戦闘はダリアとゴルハボズと言う二大将軍を失い混乱状態に陥ったメイルスを、帝国軍が逃げる事を許さず一方的に叩き潰す事で、完全な形での帝国軍の勝利と言う形で終わった、己の本能を存分に満たすことが出来、それに戦闘での完全な勝利、アリシアとしては鼻歌を歌うだけでは足りないほどに満足が行く結果であった。


「ふふ、次はジューベルを庇った時点で同罪のメイルスの各都市、その次はジューベル、お前だ」


少女は浴槽の縁に腕を乗せ、髪を弄りながらジューベルへの殺意を迸らせる。


「そして・・・最後はギグルスを滅ぼしてやる!、うっふふふ、あっはははは!」




十日後、エンジェルズ


フロスヒィー海岸での戦いから十日経った、三人の将軍を討ち、帝国本土から送られて来る戦力により、進軍が可能となった帝国軍はメイルスの町や村を滅ぼしながら侵攻を始め、首都を含め七つある都市を既に三つ滅ぼしていた。


「・・・」


帝国軍が行う戦闘行為の責任は全てアリシアにある、テレビに流れる報道を見てアリシアが次々と罪を重ねていると言う現実を見せ付けられていふメアの顔は暗い。


「なぁメア、メイルスはこの状況でも、お前の手は借りないって言ってんのか?」


「はい、私に与えられた例の許可書の内容を無効だと言い、アリシアは自分達で討つとしか返答して来ません・・・」


メイルスに介入許可書を無効だと言われた時点で、メアはメイルスに入った時点で不法入国者としてメイルスの攻撃を受ける、その為今メアに出来る事は指を咥えてアリシアがメイルスを滅ぼして行く様子をテレビを通して見守る事くらいだ。


「耐えるしかありません・・・、今は我慢ですよ、メア」


ウォーリーがメアに近付き肩を叩く。


「?」


この瞬間メアはウォーリーが触れた右肩にピリッと電気が流れるような違和感を感じた、それを不思議に思ったメアはウォーリーの顔を見るが、彼は何故こちらを見るのか?と不思議そうな様子だ、そんな彼を顔を見たメアは気のせいだと思い、またテレビの報道に集中する。




(今に私は思います、この時、この違和感をもっと不思議に思っていたらと・・・)


少し先の未来の「世界」に生きるメアはこの時のミスを悔やみ俯く、そんな彼女の肩にとある少女が元気付けるように触れた、メアは肩に触れる少女に手に自身の手を合わせ、後悔をし俯くのではなく、顔を上げまた前に向けて進み始める。

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