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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第三部、三章、あの日が来る
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三話

メイルス国


「ジューベル殿」


「なんだ?」


ここはメイルス国の首都にあるビル、メイルス国に逃げ込んだジューベルは現在このビルで暮らしていた、そんな彼の元にメイルス国の大統領がやって来る。


「ギグルスのゼロのスタイル使いから警告が来た、三日後、皇帝が何か仕掛けて来るとな、なんだと思う?」


「・・・」


メイルスの大統領は自身の相談役であるジューベルに、アリシアが何を行うつもりなのか意見を求めに来たのだ、ジューベルはアリシアが何を行うつもりなのか考える。


「・・・、衛生兵器、あれを使って各国に攻撃を仕掛けるつもりなのかもしれんな」


「・・・、あれか、確かにあの女はこの戦争が始まってからはあの兵器を使ってはいない、あり得る・・・か」


「うむ、奴はこの国も含めて属国とならなかった十五の国を滅ぼすと言ったからな、実に傲慢だと言いたいが、奴の国にはそれだけの事を出来る戦力がある、今はギグルスとこの国には攻めて来てはいないが、攻めて来られればこの国は一年前なら一月も持たなかっただろう、しかし・・・」


「ああ、お前が持って来てくれた、ギグルスの新型ギルスと同時開発されていた新型の設計図、あれのおかげで我が国は新たな機体を作れた、あれがあればそう簡単には負けん」


ジューベルはメイルスに匿って貰う手土産として、ギグルスから持ち出した新型機の設計図を渡していた、これによりメイルスの戦力は大幅に上がり、ギグルスに負けずとも劣らない戦力を手に入れていた、現在のメイルスなら帝国に簡単には負けたりはしないだろう。


「空からの攻撃の可能性がある現状、各都市に防御フィールドを張るよう命令すべきだ、メルオルよ」


「分かった」


ジューベルから意見を聞いたメイルス国大統領メルオルは部屋から出て行った、ジューベルは彼を見送った後、窓に近付きメイルス国の首都の様子を眺める。


「ギグルスでの私の努力を全て潰してくれた小娘め、この国まで潰すつもりか・・・」


ジューベルは感じていたアリシアと言う少女の恐ろしさを、そして今同時に後悔もする、これ程の手腕を発揮する少女をギグルスから逃げられる前に手駒にしておけば良かったと。


「・・・フッ今更悔やんでも仕方ない事だがな、奴はもう洗脳が通じるレベルの力ではない、私に出来る事と言えば、策を練り奴を殺す事くらいだ」


そう言って窓から視線を逸らしたジューベルは机の上に置いてある資料を見る、それはバトルシア人を素材とした新たな生物兵器の設計図であった。


「ククッ、バトルシアの王が同じバトルシアに苦しめられる、実に滑稽だな」


ジューベルは新たな生物兵器とアリシアが戦う様子を想像し、怪しく笑った。




風の国ローラン王都


あの日、の前日のこの日、属国軍は相変わらず控えめな攻撃をローラン王都に向けて行っていた、ローラン軍の兵士達は一気に攻めて来ない属国軍に対しイラつきを見せており、ならばこちらから攻撃しようと言う声が出て来るが、王は罠かもしれないと言い、兵士達の意見を却下していた。


「あの子が罠を仕掛けていないわけがないからね、迎撃だけで済ませているあなたの判断は正解だよ、ローラン王」


「あぁ・・・、しかし明日何が起こるのか?、それを考えるだけでどうしても不安でね・・・、夜も眠れんよ・・・」


「国内を調べても属国軍が怪しい動きをしている様子はないですからね・・・、本当に何が起こるのか・・・」


「私達に出来る事は警戒をする事だけですか・・・」


「うん・・・、正直辛い状況だよこれは・・・」


メアはテラスに行くとそこから見えるアリシアが乗るイブリサの車を見据える、しかし、あの車を見るだけでは何もわからないでしょう?と、メアは自分を自分で笑い、部屋の中に戻る。


「ローラン王、とにかく戦力を王都内に集めておこう、何が起きても鎮圧を出来るように」


「うむ、既に取りかかっておるよ」


「ふふ、流石だね」


(私はこの時、知りませんでした、何が起こるか分からないこの状況では正しいと言える、ローラン王の指示が、このローランを滅ぼす事になるなんて・・・、思いもしていなかったのです)



各国が不安に包まれている中、魔力体となっているDIVAは自分に相応しい力を持った体を探し、世界を見ていた。


「・・・コイツモ、ダメダ、コレモ・・・、チッ・・・」


やはりアリシアの体は自身のものにするには最高水準と言ってもいいくらいの素晴らしい体であり、スペースコロニーで己の物に出来なかったのが悔やまれる、だからこそDIVAは舌打ちをした、そして彼にはもうアリシアの体を奪うと言う選択肢はない、体を奪えなかったどころか洗脳までされたアリシアをDIVAは恨んでいるのだ、幸い洗脳は解けたがそれでももう許すつもりはない。


「サイダイコウホハメアリ、アノオンナノノカラダダ・・・、シカシアノオンナノチカクニイクノモキケンダ、クジョウアイリ、アレニキヅカレルノハマズイ」


愛理が近くにいる時点でメアの体も選択肢からDIVAは外した、メアの側にいれば愛理は確実にDIVAに気付き、魔力体であるため脆弱な彼を一撃で吹き飛ばし消し去ってしまうだろうからだ。


「トニカクカラダヲテニイレナケレバナニモデキン、テキトウナカラダヲウバウトシヨウ」


魔力体では何も出来ないDIVAは、取り敢えずは体を手に入れるため多重世界に降り立つ。


「な、何?」


突然現れた魔力の塊に女性は恐れ慄く、DIVAは構わず女性に覆い被さると、その体を奪った。


「くっくくく、やはり人間の体とは良いものだ、・・・、しかしこの体、弱すぎるな・・・、大した魔法も使えん・・・、仕方ない、この体を起点とし、徐々に力のある体に乗り換えて行き、あの女に近付こう」


DIVAは最終目標であるメアの体を手に入れる為、動き始めた。




風の国ローラン、属国軍陣地


「これが陛下の機体、ゼウス・・・」


イブリサは帝国兵達が運んで来た漆黒の皇帝専用機、ゼウスを見上げる。


「明日、計画を発動させるとは言え、戦闘がないとは言えないからね、持って来させたの、あなたもアテナの準備をさせておきなさい、私と共に城を攻め落とすわよ」


「私も同行するわ!」


「ええ」


ニアのアテナも同時に運び込まれている、つまりはアリシアのゼウスとニアとイブリサのアテナ二機で先行し、城に攻め込み王の首を取ると言う作戦だ。


「本当にあなたがそんなに先行して大丈夫なの?」


「問題ないわ、明日この国は私に構っていられないくらいに混乱する筈ですもの、だからあなたも油断しろとは言わないけど、あまり気を張り詰めなくても大丈夫よ?」


「・・・、この部隊を任されている将である私は常に気を張り詰めるべき、それは無理よ」


「真面目ねぇ」


凛とした表情のイブリサから視線を逸らしたアリシアは、ローランの王都を見る、明日には炎に包まれている筈の、一国の首都を。


「待っていなさい?、ローラン王、あなたの首を貰ってあげるわ」


王の首を貰う、そう言ったアリシアはゼウスの調整をする為、機体に乗り込む。

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