三話
鉄橋
ギグルス国横断鉄道の路線上にある鉄橋の上に黒い服を見に纏い顔をいる。
「来たぞ、例の汽車だ、各員飛び移れ」
アリシア達が乗る汽車が迫る、黒い服を身に纏った彼等は列車に飛び移った。
「ここだ」
彼等が汽車に飛び乗りとある場所まで移動するとハッチを開け汽車の内部に侵入した、彼等はアリシアが怪しいと疑っていた無人の客室に降り立ったのだ。
「例の物は最後尾だな、今回の任務で出来れば我々が保有するファントムは使いたくない、我々だけで新型を奪取するぞ」
「「はっ!」」
「よし、それでは既に汽車に乗り込んでいる他の部隊と合流してから、最後尾に向かうぞ」
アトリーヌ帝国のスパイ部隊は無人の客室を後にし、汽車に既に侵入していた他の部隊とも合流し、汽車の最後尾に向かう。
汽車の最後尾
アリシア達がいる最後尾の車両に一人の乗務員がやって来た。
「あら?、何か?」
「皆さん、お疲れでしょうと思いまして、お飲み物でもどうですか?」
そう言って乗務員の男は紅茶が入ったポットを見せ、コップに注いだ。
「ありがと〜」
シメラは男からコップを受け取り、飲もうとする。
「でもさ〜、あなたなんで服の下に武器を隠してるのかな〜?」
「な、何を言っているのです、武器など持っては・・・」
「探知魔法って知ってる?」
「チッ!魔法使いか!」
シメラが探知魔法と言い彼女が魔法使いだと察した彼は懐に隠していた銃を取り出し発砲しようとするが・・・?。
「あはは!、多分睡眠薬でも入ってるんでしょうけど!、こんな物を飲ませようとするなんて、良い度胸だね!」
シメラのスイッチは既に入っていた、戦闘狂にへと豹変した彼女は衝撃波を掌から発生させ、男を吹き飛ばし壁にへと激突させた。
「良くやったぜ、シメラ、さぁアリシアにメア、敵が来る、準備しろ!」
「ええ!」
「はい!」
「アリシア、お前についでに言っておくが、今回の敵は本格的な訓練を受けた軍人だ、殺さずに生き残れるとは思うなよ、良いな?」
「・・・ええ」
「来ました!」
メッシュとアリシアの会話が終わったその瞬間メアが前方を指差しながら声を張り上げた、最後尾に黒服の男達が乗り込んで来たのだ、その数は十二こちらの数は四、広いとは言えないこの場所でこの数の差はかなり不利と言える。
「撃て!撃て!」
敵は早速アリシア達に向けて銃弾を放って来る。
「シールド!」
アリシア達に迫る銃弾をシメラがシールドを張り防いだ、この状況で好き勝手にやっていれば全員死ぬ、好き勝手に魔法を放つのを我慢し、仲間を守る事を選んだシメラの合理的な判断である。
「さぁ行くぞ!、アリシア!」
「あなたこそこの私、アリシア様に遅れないでよね!メッシュさん!」
「援護は任せて下さい!!」
「ええ、信じているわ!」
アリシアはメッシュと共に駆け出し、敵と相対した。
「ハァァ!」
アリシアは最前列に位置する敵に斬りかかった、それを見た一人目は剣に持ち替えアリシアと剣を合わせる。
「消えた!?」
まだ少女であり、その外見から力で押し込めると判断した一人目はアリシアを力で押し込もうとしたが、その瞬間にアリシアは消え、背後に現れた。
「ライジングソード!」
ライジングソードを発動させたアリシアは背後から一人目を斬り伏せた、雷の斬撃を喰らいその命を落とした彼は背中から血を吐き出させ倒れた。
「よくもぉ!」
仲間を殺したアリシアに対し、二人目と三人目が銃弾を放って来る、それをシメラがシールドで防ぎ、メアの弾丸が二人目の頭に当たり貫通する。
「フッ!」
続けてメアがもう一発放った弾丸が三人目の腕を貫き三人目は怯む、そこにメッシュが迫り、大剣で斬り伏せた。
「チッ、一瞬で三人もか、やるな!、しかし我々には策がある!」
リーダーらしき男が端末を操作している、その数秒後、天井の一部が爆発し、真上から五人の敵が降りて来た、これで一時的に九人まで減った敵が十四人となった。
「くらぇぇ!」
「っ!、間に合わない!、アリシアにメッシュさん!、避けて!」
上から来る敵は重力に従って落ちながら銃を撃つ、突然の事に魔法の準備が出来ていないシメラは、アリシアとメッシュに避けるように言う。
「言われなくても当たるかよ!」
「私だって!」
メッシュは真上からの銃弾を剣を盾にして防ぎ、アリシアは跳んで避けた、そしてアリシアが跳んだ先は落ちて来る三人の更に上だった。
「このアリシア様の雷を浴びなさい!」
前方に手を突き出したアリシアはそこから雷を放つ、まだ地面に足が着いておらず避ける事が出来ない三人はまともに雷を喰らい力なく地面に倒れた。
「へぇ、やるじゃねぇか!、雷女!」
アリシアが三人の敵を倒したそのすぐ後、貨車の左側にあるハッチが吹き飛び、赤毛の男、キースが飛び込んで来た、キースは着地したばかりのアリシアに全力のパンチを命中させた、強烈な一撃を喰らったアリシアは吹き飛び右側のハッチに激突する。
「もう一撃!」
キースはハッチに激突したアリシアに炎の塊を放ち、ハッチごと吹き飛ばした。
「アリシア!」
アリシアが吹き飛ばされた瞬間から危険を承知し、駆け出していたメアが吹き飛ばされたアリシアに手を伸ばす、それを見たアリシアは手を伸ばすが届かず、アリシアは汽車から線路の下の谷底にへと落ちて行く。
「アリシアぁぁぁ!」




