四話、アリシアの策略
スペースコロニー近辺
アリシア達の到着から遅れて三十分後、メア達がスペースコロニーの近くにワープをして現れた。
「ッ!?」
ワープ完了後いきなりのロックオンアラートにメアは驚く、次の瞬間には目の前からビームが迫っていた。
「おいで!、エクストール!」
パイロットスーツを着た愛理が愛機エクストールを呼ぶ、愛理の呼び掛けに答えこの場所に現れたエクストールはメサイヤに迫るビームを全て防ぎ、メサイヤを守った。
「久し振りだね、あなたに乗って戦うのは、頑張ろっか!」
転移しエクストールのコクピットに移動した愛理は、エクストールの圧倒的な戦闘能力を活かし、全武装を使って戦闘機をあっという間に殲滅し、メア達の為に道を切り開く。
『メア、私が先導するね、入り口はないみたいだから、適当な所に穴を開ける』
「了解しました」
愛理の言葉に返事を返したメアは先を行くエクストールに着いてスペースコロニーに近づいて行く。
(まさかこんなに早くここに来る事になるなんて・・・、私は一体どうやって・・・)
未来のアリシアは、今の自分がどうやってこの場所を見つけたのかを考えるのだった。
スペースコロニー
アリシア達は通路を進み続けていた。
「見ろよ、さっきの戦闘機が量産されてるぜ」
通路を進んでいると、このコロニー内の兵器製造場らしき場所に出た、次々と先程アリシア達に襲いかかってきた戦闘機が量産されて行っている。
「DIVAを手に入れれば、この製造工場も私の物か、そうなれば私の帝国は更に強くなれるわ」
皇帝として帝国が更なる力を手に入れる事はアリシアにとって喜ばしい事だ、この製造工場を手に入れ他の国や世界を蹂躙する様子を想像し、アリシアはほくそ笑んだ。
「ふふ、お母様ったらまた悪いお顔」
アリシアの悪い表情が好きなアイリーンは頬を赤く染めながらアリシアに抱き着く、アリシアはアイリーンを抱きしめ返し、その体の柔らかさを堪能してからアイリーンに離れるように促し、また通路を進む。
「アイリーン、アリシアの事が好きなのは分かるが、真面目に働いているのか?、DIVAに私達は近付いているのか?」
「失礼な、ちゃんと働いていますわ、かなり近付いていますわよ、見えますか、あの遠くに見える扉の先から強い魔力を感じます」
エリシアに働いているのか?と聞かれ、プリプリと怒りながらアイリーンは、遠くに見える扉の先にDIVAの強い魔力を感じると言った。
「そう、もう大分近いのね、なら」
もうすぐDIVAに会える高揚感に包まれているアリシアは、楽しそうに微笑みながら、仕込み、を始める。
「母さん、もしそれが上手くいかなかったらどうするの?」
「・・・、その時は残念だけれど、諦めるわ、一度帝国に戻って別の手を考える、私の体を奪われる訳にはいかないもの」
「その手が駄目でも諦めないとか言い出したらどうしようかと思ってたから、良かったよ」
キースは意外と冷静なアリシアの言葉を聞き、安心する。
「さぁ完成したわ」
アリシアは仕込みを完成させる、そして仲間達と頷き合い、遠くに見える扉に向けて歩き始めて。
DIVAの部屋
扉の先の部屋には、沢山のコードが繋がれたクリスタルがいた、このクリスタルこそDIVA、世界を根本的に書き換える力を持った存在である。
『ヨクキタナ、アリシア、カンゲイスルゾ』
アリシア達がDIVAに近付くと脳内に声が響く、DIVAが直接脳に話しかけて来たのだ。
「ええ、初めましてDIVA」
アリシアは話しかけて来たDIVAに向けて会釈をし、怪しく微笑んだ。
『ソレデ?、オマエガココニキタモクテキハナンダ?』
「勿論、あなたを手に入れる為よ、私の物となりなさいDIVA、そして私の願いを叶えるのよ!」
『コトワル』
DIVAは自分の物と慣れと言うアリシアの申し出を断った。
「どう言うことかしら?」
『キマッテイル、オマエノカラダヲワタシノモノトスルカラダ!』
アリシアの体を自分の物にする、そう言ったDIVAはクリスタルの体を弾けさせ、魔力の塊となった、魔力の塊となったDIVAはアリシアに殺到し、アリシアの体に入り込んで行く。
「あああ!?」
『ククク、オマエノカラダ、イタダクゾ!!』
ようやく自由に動ける体が手に入る、そう思うDIVAはアリシアの脳内に楽しそうな声を響かせる、その数秒後、アリシアの体から黒い光が放たれた、DIVAの魔力が完全にアリシアの中に入り、体の乗っ取りが完了したのだ。
「フッ!、ハハハ!、素晴らしい!、これが人の体か!」
アリシアの体を乗っ取ったDIVAは楽しそうに笑う、そしてアリシアの仲間達を見てニヤリと笑う。
「どうした?、この娘の仲間達よ、この娘の体が乗っ取られたのだぞ?、何か反応をしたらどうだ?」
DIVAはアリシアの体を乗っ取ったのに何も言ってこないエリシア達に何か反応をしろと言う。
「フン、強すぎる力は人を愚かにすると言うが、機械でもそれは同じなようだな」
「何?」
エリシアはDIVAを愚かだと言い挑発する、DIVAはその言葉にピクリと反応し、エリシアに近付いて行く、DIVAがエリシアに注目している間に、ニアがこっそりとDIVAの真後ろに回り込んだ。
「私は体を手にし、力を使えるようになった、つまり世界を書き換え、お前を消す事も出来るのだぞ?、言葉を慎め」
「ほーう?、なら力を使ってみるが良い」
「私を挑発するか、良いだろう、この娘の姉よ!、お前を消し去ってやる!」
DIVAは右手を上げエリシアに向ける、そして力を放とうとしたが・・・?。
「なに・・・?、力が発動しない?」
力は発動しなかった、驚いた顔で右手を見ているDIVAを見て、エリシアはニヤリと笑う。
「なぁDIVA?、その体、本当にアリシアの物か?」
「どう言う意味だ?」
「ふふ、こう言う事よ」
「!?」
DIVAがエリシアの言葉の意味を問うた瞬間、背後からアリシアの声がした、その声を聞きDIVAが慌てて振り返ると、そこにはニアの影の中から這い出て来ているアリシアがいた、邪悪な笑みを見せる少女は、DIVAが動く前にダークチェーンで拘束する。
「ま、まさかこの体は!」
「そう、そのまさか、それは魔力で作った私のコピー、あなたが私の体を乗っ取るつもりだって事は既に知っているの、だから手を打たせてもらったわ」
そう言ってアリシアは徐々にDIVAに近付いて行く、近付いてくるアリシアを見て、ならば本物のアリシアの体を乗っ取ろうと、偽物のアリシアの体からDIVAは抜け出そうとするが、抜け出せなかった。
「抜け出せない!?、何故だ!?」
「ふふ、この日の為に付与しておいたの、魔力封じの能力をね?、DIVA?、あなたは言わば魔力の塊、魔力の塊であるあなたはダークチェーンに拘束された時点でもう動けないわ」
「くっくそ!」
DIVAは拘束から抜け出そうともがくが、一切動けない、アリシアはそんなDIVAに見下した笑みを見せ、目を紅く光らせながら近付いた。
「さぁ?、私の物となりなさい、DIVA」
そしてDIVAと目を合わせ、魔眼による洗脳を施した。
「はい・・・、アリシア様、私はあなたの物となります・・・」
魔眼の効果はすぐに発動する、暴れていたDIVAは大人しくなり、アリシアの物となると告げた。
「あはっ!、あっはははは!、やったわ!、DIVAを手に入れたわ!、あはははは!」
自分の仕込みが上手く行き、DIVAをその手中に収めたアリシアは、これで願いが叶う、そう思い嬉しそうに笑った。
「ふぅ・・・、さてDIVA、拘束を解くわ」
「はい」
アリシアはDIVAの拘束を解く、拘束を解かれ魔力を使えるようになっても、アリシアに完璧に洗脳されているDIVAは反抗せず、順従な様子でアリシアの顔を見つめている。
「帝国に帰ったら私のコピーではない、ちゃんとした体をあげるわ、楽しみにしていなさい」
「はい・・・」
己の物としたDIVAを抱きしめアリシアは微笑む、DIVAは虚ろな表情で頷いてみせた。
「さて、帰るわよ、ここには今は用はない」
「アリシア!」
アリシアが側近達に帰ると告げた瞬間、メア達がこの場所にやって来た。
「私が二人?、まさか・・・」
未来のアリシアは自分が二人いるのを見て、とある可能性を考え、焦った表情を見せる。
「ふふ、そうよ私、私はDIVAを己の物としたわ!、体を乗っ取られたあなたと違ってね!」
焦る未来の自分の顔を見て、彼女には出来なかったDIVAを手中に収めると言う事を成したアリシアは、愉悦の表情を見せる。
「くっ!、ならその私のコピーを壊すだけよ!」
「残念、転移して退散をさせて貰うわ」
目的は成した、彼女らに構うつもりのないアリシアはDIVAの手を握ると、側近達と共に転移しようとするが、麗蘭が天に向けて手を掲げ魔法を発動する。
「させないわよ、転移阻害魔法陣!」
「チッ、面倒な技を!」
麗蘭が発動させた転移阻害魔法陣は発動すればその周囲一帯では転移魔法が発動しなくなる魔法だ、実際に転移が出来なかったアリシアは舌打ちをする。
「突破するしかないか、良いわ、お前達如き突破し、ここから脱出してやる!、あなた達!戦闘開始よ!」
「ああ!」
アリシアは剣を抜き未来の自分を突破する為の戦いを始める。
「突破なんてさせません!、あなたを倒し、DIVAも壊します!」
対するメア達はDIVAを破壊する為の戦いを始めた。
次回からはメアが主人公、アリシアは一時主人公から外れます。




