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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第一部二章、ギグルス国横断鉄道編
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二話

ギグルス国横断鉄道、貨車


アリシア達は貨車のチェックをし終わり、客車の近くにいる。


「怪しい物は特になかったわよね?」


「はい、どの貨車にも衣料品や食料品しか積まれていませんでした」


「探知魔法で探ってみたけど爆発物もなかったよ〜」


アリシア達が調べてみた所、怪しい物は特になかった、シメラの探知魔法に何も引っかからなかった時点で爆弾も設置されていない。


「・・・爆発物はないけど、爆発女はいたわ」


「爆発女とは失礼な〜」


「あの・・・、シメラさん、正直言い得て妙だと思います」


「む〜!」


アリシアとメアにからかわれるシメラ、それに怒った彼女は全力で二人をポコポコと叩くが全く痛くない、シメラと言う少女は戦闘時以外は本当に非力なのである。


「それじゃ次は客室のチェックをしましょう」


「はい」


シメラとのじゃれ合いに満足したアリシアとメアは、ふくれっ面なシメラと共に客車に向かう。




客車


「なんだがこうやって窓から客室の中を覗いていると、みんな怪しく見えて来たわ・・・」


「武器を持っている人が多いから余計に、ですよね」


怪しい者がいるかもしれないと思って行動している為か、客室内部でただただ寛いでいる者達がアリシア達には怪しく見えてしまう、大半の者が事を起こそうとは考えていない筈なのだが、


「でもそう思うのは仕方ないよ〜、武器を持っているって事は、事を起こそうと思ったらいつでも起こせるってワケだからね〜」


「そうそう、だから疑いたくなくても疑っちゃう」


「人間の心理って奴ですね」


「でしょうね」


そんな話をしながら客室を見て回っていると、ポツンと無人な客室があった。


「ここだけ誰もいないのって怪しくない?」


「そうですか?、こう言う事もあると思いますけど」


「だよね〜」


「うーむ」


メアとシメラの反応はイマイチだが、アリシアは一応部屋に入り調べて回る、引き出しを開けたり、クローゼットを開けたりして怪しい物がないかチェックした。


「ほら、何もないじゃないですか」


しかし何も怪しい物は出て来なかった、アリシアの勘は外れたようだ。


「うーむ、ここだけ使われてないの、凄く不自然だと思うんだけどなぁ・・・」


「まぁまぁ、疑いすぎるの、良くない良くない、次行こ〜」


「ええ」


アリシア達は無人の客室を後にし、他の客室のチェックを再開した。



先頭車両


先頭車両にやって来たアリシア達は、メッシュから渡されたリストと照らし合わせ、リストに載せられた写真と違う者が汽車の操作をしていないかチェックした。


「すれ違った乗務員や運転手も間違いなく同じ顔でした、変装をしていない限りは大丈夫そうですね」


「一応乗務員に探知魔法を掛けてチェックしたけど、怪しい物は身に付けてなかったよ〜、けど変装は魔法でも見破れないだよね〜」


「ふぅん、なら乗務員や運転手は特に警戒しておいた方が良さそうね」


メアの言う通り乗務員や運転手は全員リストと同じ顔であったのだが、シメラの魔法は変装を見破れないようだ、だとすれば乗務員は特に警戒した方がいいだろう。


「もうチェックする所はないわよね?」


「はい、機関室に怪しい装置が取り付けられていたりもしませんでしたし」


もし機関室に爆弾などが設置されており、爆発し先頭車を失えば汽車はあっけなく脱線してしまうだろう、そうなれば多数の客とアリシア達の護衛対象である兵器は破損してしまう、その為機関室のチェックは最重要事項なのだが、何も問題はなかったので一先ずは安心だ。


「後はもう私達に出来る事と言ったら敵が来ない事を願う事よね」


「ですね」


「そだね〜」


一通りのチェックを終えたアリシア達はメッシュがいる最後尾に戻って行った。



「よう戻ったな、怪しい奴や物はあったか?」


「特には・・・、一先ずは安心って所よ、それでさ?メッシュさん、この布の下って何が入ってるの?」


特に怪しい者も物もないとメッシュに伝えたアリシアは、護衛対象の正体について聞く。


「気になるなら見てみな」


護衛対象の正体を知ればアリシアは絶対に喜ぶ、そう確信しているメッシュはアリシアに布をめくってみるように促す、アリシアは若干ウキウキしながら布をめくる。


「ファントムじゃない!、それもカタログに載ってないタイプ!」


ファントムオタクであるアリシアは様々なファントムのカタログを持っている、休みの日はそのカタログを見てニヤニヤとしており、その様子を目撃したメアに引かれたが、アリシアは気にしていない、そしてそんなアリシアだからこそすぐに新型のファントムだと分かった。


「良いもんだろ?、ほらボスが政府の高官様から貰ったこの新型のデータだ、見るだろ?」


「見る見る!」


新型のデータが見られると喜び興奮気味のアリシアはメッシュの腕に抱き着いた、メッシュは何かの柔らかい感触を感じ、一瞬だけニヤリとしたがすぐに真面目な顔に戻り、解説を始めた。


「今回の新型の主な改良点は動力炉だ、従来の魔導炉より高効率化されているようでな、三倍の稼働時間を得たようだ」


「あらそれだけじゃないわよ?、ほら見てみなさい、従来型はモノアイだったけど、今回の新型はツインアイよ!、カッコいいわ!」


「敢えて言わなかったが気付いたか、やるなアリシア」


「ふふん、私が誰だと思っているの?、アリシア様よ?、これくらい勿論気付くわ」


そう言ってメッシュから離れて胸を張るアリシア、その時の動作で何がとは言わないがぷるんと揺れた、メアはその様子をジトーと見つめていた。


「にしても新型のファントムかぁ、情報を得た帝国が十分に狙うに値するわね」


「だね〜、このまま放置しておけば、この新型が大量生産されて、帝国にとっては脅威になる、なら奪取して同等の技術を手に入れたいって考えるのは自然だよね〜」


「曲がりなりにもうちの国のファントムの性能は世界最高峰だからな」


軍事力でも兵力でも帝国に劣るギグルス国が唯一勝るのが、ファントムの性能だ、ギグルス国はその唯一のアドバンテージを守ろうとしているが、スパイにより機体が奪われ技術が流出し、徐々にそのアドバンテージもなくなろうとしている。


「世界最高峰の性能・・・、なんて良い響きなのかしら・・・」


「あのーメッシュさん、アリシアがどこかに旅立ちました」


「ほっとけそのうち戻って来る」


メッシュ達はどこかに旅立ったアリシアを放置し、各々特にする事がない為、本を読んだり武器の整備をしたりと、好きな事をやり始めた。

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