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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第二部、六章、ノースフィアとの戦い編
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十三話

ギグルス国、国会議事堂


ノーワンズホールでのノースフィアとの最後の戦いに向かう前、メアはアリシアと話をしていた。


「この戦いが終われば、私とあなたはまた敵に戻るのですね」


「当たり前でしょう?、この戦いが終わり、あなたが私のやろうとしている事の邪魔をするのならば元通り敵よ」


足を組んで椅子に座るアリシアは、メアの言葉に、当たり前だと言った。


「分かりきった事ですよね・・・」


「そうよ分かりきったこと、あなたは戦争を起こそうとしている私を止めようとしている、そして戦争が起こった後も私を止めようとするのでしょう?、でも私は戦争をやめる気も起こした戦争を途中でやめるつもりもない、この大っ嫌いな世界を私の物にして支配するのが私の目的ですもの」


「・・・」


メアは暗い瞳を見せるアリシアを抱きしめる。


「あなたが止まれないのなら私が止めてあげます、あなたの親友である、この私が」


メアはアリシアの心を癒そうと強く抱きしめる、するとアリシアはゆっくりとメアを抱きしめ返す。


「あなたの事もう嫌いではないわ、だから私の敵にならないで私の邪魔をしないで私を止めようとしないで、あなたを殺したくない」


「!」


嫌いではないとアリシアに伝えられたメアは嬉しそうな顔でアリシアの顔を見る。


「嬉しいです、アリシア」


メアは嬉しそうに微笑み、腕の中の少女の名を呼んだ。


「なら・・・」


「それでもです、あなたが私の事を嫌いじゃないと思ってくれていても、私はあなたを止めます、あなたがやろうとしている事は間違っていますから、友達が間違った事をしようとしているのならば止めるのが友達ですから」


「そう、なら勝手にしなさい、私はあなたに止められたりなんてしない、必ずこの世界を私の物にしてみせる、その結果私があなたを殺す事になったとしても構わないわ」


「ええ勝手にさせて貰います、そしてあなたに殺されたりなんてせずに、あなたの心を救いもう一度私の隣に私の友達として立たせてあげますとも!」


宣言をしてアリシアから離れガッツポーズをし快活に微笑んで見せるメア、その笑顔は心が闇に染まりきった今のアリシアでは見せる事の出来ない、アリシアにとって眩しくて眩しくて仕方がない笑顔であった。


(あなたの笑顔を眩しいだなんて思う日が来るなんてね・・・)


「皇帝アリシアよ、部隊の準備が完了した、出撃命令を」


今のアリシアにとって眩しすぎる笑顔を見せるメアの顔をアリシアは直視出来ず、俯いてしまった、それに合わせるかのようにオラセンが部屋に入って来て、全飛空艇にチャンネルが繋がっている通信機を渡して来た。


「ええ」


俯いていたアリシアはハッとした表情で顔を上げると、通信機に口を近づけ命令をする為、口を開く。


「全軍出撃、ノースフィアに鉄槌を下せ!」


『『はっ!』』


『『ジークアリシア!』』


ギグルス軍の兵士達と帝国の兵士達がアリシアの言葉を聞き声を張り上げた、数秒後に全軍がノーワンズホールに向かって行く。


「・・・、メア、私達も行こう」


「はい、アリシア」


メアと目を合わせないアリシアは目を逸らしたままメアに手を差し出す、メアは少し寂しそうにその手を取り、二人の少女もノーワンズホールに向かう。


(君がこの世界の希望なのかもしれんな、メア、いやメアリ・アルビオン)


離れて行く二人の少女の背中を見送る大統領は思う、この世界にとっての厄災となろうとしているアリシア、その心を救おうとしているメアリこそ、この世界の希望なのかもしれないと。


「フッ、私に出来ることは間違いを繰り返さない事、これだけか」


何も出来ない自分を自分で笑う大統領は、ギグルス側の指揮をする為、二人の少女を追って部屋から出て行った。



ノーワンズホール


紅蓮の火山地帯ノーワンズホールにギグルス軍と帝国軍が集結する、それを捉えたノースフィアは降下してくる両軍の歩兵部隊とファントム部隊に対抗する為、残った戦力を全て繰り出した。


「爆撃しなさい」


皇帝専用の飛空艇の操縦席に備え付けられた自分用の椅子に座り、モニター越しに戦場を見据えるアリシアは、全軍に爆撃命令を出す、それを受け各飛空艇は爆撃を開始した。


「防御フィールド展開!、敵飛空艇の爆撃を防げ!」


ジューベルに代わり、ノースフィア全軍の指揮を取るエルセームが、地表に埋め込まれた防御フィールド展開装置を起動させるように命令した、その瞬間、防御フィールド展開装置が起動し爆撃を防いだ。


「フン、本部と言う事だけはあるわね、防御が硬い、ファントム部隊に告ぐ、防御フィールド装置を破壊しなさい、歩兵部隊はそのまま進軍」


アリシアは部隊に防御フィールドを破壊するよう命じた、両軍のファントム部隊はその命令を聞いて即座に防御フィールド装置破壊に当たる。


「防御フィールド装置を壊させるな!、ファントム部隊を叩け!」


エルセームの命により防御フィールド内部から、ノースフィアのファントム部隊が、両軍のファントム部隊を攻撃する。


「チッ、外から攻撃は通らなくても、中のからの攻撃は通ると言う事か、急ぎなさい!」


両軍のファントム部隊は命令通りに防御フィールド装置の破壊を急ぎ、一つの装置の破壊を達成する、その瞬間、フィールドが消失した。


「くっ!、高出力ビーム砲放てぇ!」


エルセームは次の手として、本部の入り口近くに設置されているビーム砲を放たせる。


「ふふ、バリアはこちらにもあるのよ!」


しかし、高出力ビームはフォトンフィールド持ちのファントムがビームを弾く、そして飛空艇からの爆撃がビーム砲を難なく破壊した。


「さぁ?、もう手はないはずよ、終わらせてあげなさい」


アリシアは終わらせろと言った、それはノースフィアに対する死刑宣告だ、防御フィールドと言う行く手を阻む物がなくなった、両軍は圧倒的な速さで進軍して行く。


「オラセン、もう負けはないわ、だから私も戦場に出る、後の指揮はお前が取れ」


『了解した』


「ふふ、任せたわよ」


オラセンに指揮を任せたアリシアは、飛空艇から前線に向けて転移した。


「見ろ!、皇帝だ!、集中攻撃!」


ノースフィアにとってアリシアは敵の大将である、その大将が現れたのを見たノースフィアの兵隊はアリシアに集中攻撃をするが・・・?。


「いきなり来たと思ったらこんなに攻撃されて・・・、全く困ったお母様ですわ」


アイリーンが得意な防御魔法で無数の弾丸を防ぎ切った。


「あら?、集中攻撃される事なんて織り込み済みよ?、だから盾に使えるあなたのそばに転移したのだからね!」


「・・・、そうだろうと思ってました」


アリシアの言葉を聞きアイリーンは呆れた視線を送るが、アリシアは無視し、続け様にダークライジングマグナムを放ち、敵を蹂躙する。




敵の数がだいぶん減った頃、仲間達と共に戦場を駆け抜けていたメアがアリシアに駆け寄ってくる、そろそろ内部に突入し、鎮圧してしまおうと伝えに来たのだ。


「アリシア、そろそろ内部にとつ・・・」


メアがアリシアに向けて声をかけた瞬間、メアの体が背後から大剣により貫かれた。


「えっ?」


メアは呆然と体を貫く大剣を見て、自分の体が剣に貫かれたのを理解し血を吐いたた、メアを貫いた人物はニヤリと笑ってからメアから剣を引き抜き離れ、その瞬間にメアは力なく地面に倒れる。


「メア?」


アリシアは地面に倒れたメアに近付く、そうしている間にもメアの体から血が流れ出して行き、メアの周囲に血溜まりが出来る。


「・・・あはは、やられちゃいました・・・」


近寄って来たアリシアを力なく見上げるメアは、手をゆっくりと上げた、それを見たアリシアはメアの手を握る。


「あはは、仲間がやられてショック?、でもさ、私は今のこの時もあんたの軍に仲間を殺されたんだよ!、はっ!、ザマァみろ!」


メアを貫いた人物、ピーナは倒れたメアの手を握るアリシアを嘲笑う、それを聞いたアリシアは身をピクリと震わせ、立ち上がった。


「アイリーン、メアの治療を」


「は、はい、お母様」


アリシアの低い声を聞いたアイリーンは、母の激しい怒りを感じ、慌ててメアに近付くと治療を始めた、アイリーンが治療を始めたのを見たアリシアはピーナと向き合う。


「どうしたぁ?クソガキィ、怒ってんのぉ?」


ピーナは俯いて自分と向き合うアリシアを更に煽る。


「怒る?、そんなの当たり前でしょ!、メアをよくもやってくれたわね!、許さないわ!」


怒るアリシアは地面を蹴り飛ばしメアを傷付けた相手であるピーナに斬りかかる。


「はぁぁ!」


そこにエルセームが加わり、アリシアの攻撃をシールドで止めた。


「邪魔をするなぁ!」


アリシアは無理矢理にシールドを破壊し、そのままピーナに斬りかかる、ピーナはニヤニヤとした笑みを浮かべたまま、アリシアの斬撃を受け止めた。


「ふふふ、これからあんたの仲間全部殺してあげるわ、楽しみにしておいてね?」


「その前に私があんたを殺す!」


左腕を振りかぶったアリシアはピーナに殴りかかるが、ピーナは余裕でその拳を受け止める。


「出来るはずないわ、だって私の方がもう強いもの」


拳を受け止め目の前の少女を嘲笑うピーナは、アリシアの拳を掴んだまま真上に飛び上がると、体を回転させながらアリシアを地面に叩きつける。


「カッハッ!?」


その一撃でアリシアは口から血を吐く。


「ほらほらどうしたぁ?、早く立てよ!」


地面に倒れるアリシアをピーナは蹴り飛ばした、そこにエルセームの魔法が殺到し、更にアリシアはダメージを受ける。


「お母様・・・」


アイリーンが連続した攻撃を受け力なく地面に倒れているアリシアを見て、震える声で母を読んだ。


「あはは、聞こえてるー?クソガキ、このままあんたもそこにいる二人も殺してやっからさぁ?、楽しみにしててよ!」


「させない・・・」


「んー?」


ピーナの言葉を聞きフラフラと立ち上がったアリシアは小さな声で呟く、よく聞こえなかったピーナは、嘲った表情で首を傾げる。


「そんな事、させるかぁぁぁ!!」


ピーナの表情とアイリーンとメアを殺すと言う言葉を聞いて、アリシアは叫ぶ、するとスタイルバーストが発動し、黒い雷がアリシアの体を中心にし飛び散る。


「あはは!、やっと本気ぃ?、遅かったわねぇ!」


ピーナはスタイルバーストを発動させたアリシアに斬りかかる。


「・・・」


アリシアはその斬撃を避けると、ピーナを今度こそ殴った。


「くぅぅ!?」


殴られたピーナは地面を転がるがすぐに回転を止め立ち上がる。


「覚悟しなさいよ、あんただけは私が殺す!」


「こっちのセリフよ!」


アリシアとピーナ、圧倒的な力を持つ二人の少女の戦いは、ここからが本番だ。

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