九話
ギグルス王国首都アーシア、空港
皇帝の飛空艇とメサイヤが空港に着陸する、早速二機の飛空艇から、アリシアとその側近達と、メアとその仲間達が降りて来た。
「数日振りね、オラセン、私達の入国を許してくれた事、感謝してあげるわ」
闇の遺跡を巡っている時、アリシアは一度不正入国をしている、その時はギグルスは何も言わなかったが、軍を動かそうとしていたとアリシアは聞いている、その為、まだ戦争を起こすつもりの無い彼女は大統領に許可を取ると言う正規の方法で入国をした。
「良い、私達も君の力を借り、ノースフィアを討つのだからな、それで?、早速、アジトに向かうのか?」
「ええ、手始めに無人機を送るわ」
そう言ってアリシアはもう一機、この空港に降り立った飛空艇を見る、するとハッチが開き、中から七体の無人操縦仕様のソルが現れる。
「敵の戦力を試すのですね?」
「そう、もし七体のソルで壊滅するのならば、敵の戦力は大した事はない、ソルが帰ってこないのなら、そこそこの戦力を持っていると言う事よ」
「圧倒的な力を持つ帝国の皇帝の割に、君は慎重だな」
「フン、力を持つからこそ慎重なのよ、力があればあるほど失敗をすれば、大きなダメージが私に帰って来るからね」
「・・・、一国の大統領である私もその言葉に同意出来る、君は一国の王として相応しい器を持っていると評価しよう」
「ありがとう、それでは早速、ソルを向かわせるわ」
「頼む」
アリシアはエリシアの顔を見る、するとエリシアは端末を取り出しソル達に命令を伝えて行く、すると彼等はアジトにへと向かって行った。
「一時間もすれば結果が分かるわ、その間、どこかで休ませてくれないかしら?」
「私の国の国会議事堂に帝国皇帝の君を迎え入れよう」
オラセンはアリシアに一礼してから手を差し出す、アリシアはその手を取ると、仲間達と共に国会議事堂にへと向かって行った。
国会議事堂、客室
大統領がアリシア達を案内したのはいくつかある客室の中で最も最上位の者達を招き入れる、国会議事堂の奥の方にある客室だった、豪華な家具や装飾、有名画家の絵が飾られたこの客室はまさに豪華絢爛と言えるだろう。
「・・・」
「・・・」
ソル達の作戦の成功か失敗が分かるのは一時間後、それまでは特に話す事のない、将来的に敵となる、皇帝と大統領の間には、アリシアの隣に座るメアが冷や汗を掻く程の沈黙が流れていた。
「あ、あの?、何か話したらどうです?」
沈黙に耐えきれなくなったメアが、二人に何か話すよう促す。
「話す事なんて」
「何もない」
しかし、二人は速攻でそれを拒否した。
「あーそうですかー、分かりましたー」
早すぎる拒否の言葉に拗ねたメアは、口を尖らせ頬を膨らませながらそっぽを向く、それを見たアリシアはその頬を叩くとかプスーと空気が抜け、自分の口から出た恥ずかしい音にメアは顔を真っ赤にした。
「あ、あの大統領?、ここの菓子って食べても良いのか?」
「客人の為に置いているものだ、今日の君達は正しく客人、食べても問題はない」
「やったぜ!」
大統領から菓子を食べてもいいと聞いたグレイは遠慮無しで食べ始めた、皇帝になってからも甘いものが好きなアリシアは菓子を見てみたいと思い、立ち上がるとメアの肩を叩く。
「私達も見てみましょう」
「はい!」
アリシアに誘われたメアは嬉しそうに返事をすると、アリシアと手を繋ぎ、グレイの元に行く、見るとニアやアイリーンやシメラも机の周りに来ていた、他の者達は出されたコーヒーを飲みつつのんびりと少女達の様子を見守っている。
「チョコに」
「クッキーですわ」
「美味しそうだね〜」
備え付けられていた菓子はチョコにクッキーだった、グレイとシメラとニアはチョコ、アリシアとメアとアイリーンはクッキーを食べる。
「どこのメーカーの物か知らないけど、流石高級品、びっくりするくらいに美味しいわ・・・」
「とろけちゃいます」
超高級品なお菓子はとても美味しかった、アリシア達は満足気に食べ勧めて行く。
「満足してくれたか?」
大統領はある程度時間が経ってから、アリシア達に満足したか聞いた。
「ええ、中々に美味しかったわ」
アリシアは中々に美味しかったと彼に伝える。
「そうか、なら何よりだ」
大統領はアリシアの言葉を聞き安心した様子を見せる、その時だ、アリシアが持つ端末がピピッという音を鳴らす。
「アリシア、ソルが全滅した・・・」
「ふぅん、中々の戦略を持ってるみたいじゃない、大統領?、少し行ってくるわ?、夕食も期待してるからね?」
「あぁ頼む、夕食の方も期待してくれ」
「ええ」
大統領の言葉を聞いたアリシアは部屋の扉に向けて歩き始める。
「さぁ、行くわよ、ノースフィアのアジトに」
「はい」
そしてメア達にノースフィアのアジトに行こうと伝える、それを聞いたメア達は頷き、アリシアに続き、ノースフィアのアジトに向かって行く。




