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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第二部、六章、ノースフィアとの戦い編
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一話

アトリーヌ城、皇帝の部屋


城の前で止まった車から降り、騎士の案内の元、歴代の皇帝が執務を行って来た部屋である、皇帝の部屋に通されたメア達は物珍しげに、現在はアリシアの部屋であるこの部屋を見渡す。


「ここに通されると彼女が一国の王である事を思い知らされますね」


「そうだな」


メア達がアリシアを待っていると後ろの扉が開き、側近達と共にアリシアが部屋に入って来た、着ている服は帝国の象徴であるバハムートを象った金色の模様が描かれた黒いドレスだ。


メア達の隣を通り過ぎ、立派な皇帝の椅子に座ったアリシアは自身の騎士であるニアを傍らに控えさせ脚を組む。


「改めてようこそ、我が帝国へ」


そして肘掛けに頬杖をつきながら改めて、ノースフィア戦の重要な戦力となるメア達が帝国にやって来た事を歓迎した。


「こちらこそ迎え入れてくれてありがとう、それでは早速、ノースフィアの情報を」


メアはアリシアに向けて会釈をし、ノースフィアの情報を皇帝に求めた。


「ええ、ニア?」


「はっ」


メアがこの国にいる事が気に入らない黒騎士ニアは、アリシアの執務机の上に置かれた資料を手に取ると、メアを一度睨み付けてから手渡した。


「これは・・・、ノースフィアのアジトの場所ですか?」


「ええ、私には優秀な部下がここ以外にもいるの、その子達のお陰で三つのアジトの場所が分かったわ」


そう言ってニアが手渡して来た資料に目を落とすアリシア、メアは気付く資料を見るその表情が自分達を歓迎した時のような明るいものではなく、冷たいものとなったのを。


「ねぇ、何故、三つのアジトが全てギグルスにあるのかしらね?」


「・・・、なんでだ?」


本当に意味が分からなかったらしいグレイが首を傾げ質問をする。


「・・・あの、真面目な話をしているので黙ってて下さい」


「酷いな!?」


メアに黙っててと言われたグレイは涙目になった。


「ふふっ、流石ねメア、理解出来てるんだ?」


「はい、他国に散らばらずに、ギグルスに三つのアジトが集まっている、これはつまり、ギグルスにノースフィアの協力者がいると言う事ですね?」


「そう言う事、まっ、あくまでもそうかもしれないって可能性の段階だけどね?、でも・・・」


アリシアは言葉を一度切り顔を上げた、その瞳はさらに暗く冷たい物となる。


「ノースフィア、奴等はバトルシア人を実験に使ってる、そんな組織にギグルス政府の協力者がいると言うのなら、私はギグルスを絶対に許さないわ」


「・・・そうじゃない事を祈ります」


「ああ・・・」


先程はアリシアの言葉の意味を理解出来なかったが、今は理解しているグレイはアリシアの恨みと憎しみに染まった瞳を悲しそうに見つめる。


「皇帝よ、早速、アジトを潰しに向かうのか?」


「いいえ、その前にそろそろ知らせが来るはずなの」


そう言って扉を視線を送るアリシアの予想通り、扉を開けて、アルムスが入って来た。


「キルシオが潜り込ませたスパイからの知らせだ、奴等が明後日テロを起こすようだ」


「分かったわ、と言う事で、アジト潰しは後にして、先にテロ行為を潰すわ、良いわね?」


「分かりました」


テロ行為を放置すれば無関係な一般人が傷付けられる、それを良しとしないメアはアジトは後回しにすると言うアリシアの言葉に頷いた。


「それでは今日と明日はこれからの戦いの為、我が帝国でゆっくりと休みなさい」


「そうさせて貰います」


アリシアの言葉と共に騎士がメア達に近付いて来て部屋に案内すると伝えて来た、メア達はそれに従い騎士と共に部屋を出る。




衣装室


ここはアリシアのドレスが置かれている衣装室、日々他国からアリシアへのプレゼントとして送られてくるドレス達が所狭しと並べられているこの部屋にアリシアはいた。


暇な時間が出来た為、アルムスがこの部屋に運び込ませた、後日行われる結婚式の為のウェディングドレスを選んでいるのだ。


「わぁ!、ドレスがいっぱいだね〜」


「はい・・・、これが全てアリシアのドレス・・・」


そこにメアとシメラがやって来た、同性の意見が欲しいアリシアがこの部屋に呼んだのだ。


「欲しいのなら何着かあげるわ、沢山ありすぎて着れてないドレスばかりなの、ただし・・・」


ドレスをメア達にあげると言うアリシアは、ニヤリとした笑みを見せ、メアに近付くとその慎ましい胸をツンと突く。


「胸元のサイズが合うのならだけどね?」


「ッー!、お断りします!」


気にしている胸の事を言われ顔を真っ赤にして怒ったメアは、そっぽを向く、想像通りの反応をしてくれた彼女を見たアリシアはクスクスと笑う。


「私は大丈夫だと思うし〜、くれるなら貰うね〜」


そう言ってアリシアの物に負けないサイズの物をお持ちなシメラがドレスを貰うと言った。


「良いわよ、好きな物を持って行きなさい」


「やったぁ〜!」


ドレスを貰えると聞いたシメラは喜ぶ、どれも仕立てが良く明らかに高級なものであり、一般人であるシメラにとっては中々買う事が出来ないものだからだ。


「はいはいそうですか、おっぱい大きくて良かったですね!、全く!全く!」


シメラとアリシアの会話を聞いてプンスカ怒るメアは、ウェディングドレスの元に近付いていき振り返る。


「ウェディングドレスを選ぶのでしょう!?、ほらはやくしましょう!」


「ええ」


アリシアはプンスカしているメアを見てまたクスクスと笑うと、メアに近付いて行く。



メアとシメラの意見を聞き一通りの候補を決めたアリシアは一着の白いウェディングドレスを着てみた。


「どうかしら?」


そしてその場でくるりと回り、二人にドレスを着た自分を見せる。


「・・・、アリシアって本当に美人ですよね・・・」


ポーとドレスを着たアリシアの可憐さに見惚れたメアは、アリシアを美人だと言う。


「同じ顔のメアが言うと自分を自分で褒めてるみたいだよ〜?」


それを聞いたシメラがメアを揶揄う。


「そ、そんな訳では!」


自分が言った言葉の意味に気付いたメアは、顔を真っ赤にすると、頭と手を振って必死に否定する。


「・・・、二人で仲良く話す前に意見を聞かせてくれないかしら?」


アルムスとの結婚式を完璧なものとするつもりのアリシアは、二人だけで会話をする、シメラとメアに不満げな視線を送る。


「あっごめんなさい、よーくお似合いですよ!」


「何よ、なんか適当ね?」


「適当じゃありませんよ、本当に似合ってます」


「そう?」


そう言ってアリシアは鏡の前に行きウェディングドレス姿の自分を見る、そしてこのドレスを着てアルムスとの結婚式を挙げるのだと思うと、自然に笑みが浮かび顔が綻んだ。


(ふふ、とっても素敵な笑顔です、今のアリシアでもあんな素敵な顔が出来る、なら私はいつでもあのような顔を出来るようにしてあげたい、だから頑張らなくては!)


「さて、次の候補も着てみるわね?」


「はい、手伝います」


アリシアはこの後も、メアに手伝って貰いながら、ウェディングドレス選びを行なった。




ドレス選びを終えたアリシアは、メアとシメラとアイリーンとニアとエリシアと共に、皇帝主催のお茶会を開いていた。


同じ庭ではキースとウォーリーとケイネスとグレイが男同士、酒を飲み宴会をしている、未成年なグレイはりんごジュースを飲んでいる。


「そう言えば、私にはアルムスって相手がいるけど、あなた達はどうなの?」


アリシアはメア達が味方である内しか出来ない、恋話を持ちかけた。


「ええ!?、いきなりなんですか!?」


「いいじゃない、今しかこんな話出来ないわよ?」


「確かに・・・」


そう言ってメアは考える、自分に好きな人はいるのだろうか?と、そう考えているとシメラが喋り始める。


「私は失恋しちゃった〜」


「へー、誰々?」


「秘密〜」


秘密と言いつつシメラはグレイを見る、彼女の幼馴染であるアリシアは彼女の恋心の先に薄々気付いていた為、彼女の肩を叩く。


「ねぇシメラ、諦める必要なんてないわよ?、だって私、アルムスと結婚するのですもの、だから私にとって彼以外はあり得ないの、だから彼を射止めてみなさいな」


「うう・・・、でも彼はアリシアばかり見てるし・・・」


「そうやって諦めるから駄目なのよ、アタックしなさい、アタック」


「・・・、頑張ってみる〜」


もうじき結婚するアリシアの言葉には説得力がある、その言葉を聞きふたたび勇気を持ち直してシメラはまた彼にアタックをしてみようと思うのだった。


「お姉ちゃんは、置いておいて」


「なんでだ!?」


「ニアとアイリーンは好きな人いるの?」


置いておかれたエリシアが目を見開きなんでだ!?と言うがアリシアは無視し、ニアとアイリーンに好きな人がいるのか聞いた。


「強いて言うのならあなたかしら」


「私もお母様が好きです」


「そ、そう・・・」


その結果マザコンな二人に好きだと言われたアリシアは頬を染めそっぽを向いた。


「メア、あなたは?」


そっぽを向きつつメアを横目で見たアリシアは好きな人がいるのか聞く。


「え、え、えーと、いませんよ、いません!」


「本当〜?」


「はい!本当です!」


と言いつつメアはとある人物の方を向きジーと見つめる、アリシアが視線の先を追おうとしたが、それに気付いたメアは慌てて視線を逸らした。


「見た?、あの中にこの子の好きな人がいるみたいよ?」


しかしその視線だけでキース達の中にメアが好きている相手がいるのはモロ分かりだ、アリシアはメアにイタズラっぽい視線を送りつつ、彼等の中にメアの好きな人がいると囃し立てる。


「い、いませんよ!、いません!」


「嘘ね、さぁみんな、予想してみましょう!」


「ふふ、勿論よ、当ててみせるわ!」


この後、メアは自分が好きな相手は誰なのか好き勝手に予想するアリシア達の話を頬を赤く染めながら恨めしげに見つめ続けた。

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