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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第二部、五章、皇帝と闇の遺跡編
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十九話

オルビアの町


少女は路地裏で立ち止まる、アリシアが少女の視線の先を見ると寂れた家柄あった、どうやらここがこの町に潜んでいたノースフィアのアジトのようだ。


「案内してくれてありがとう、死ね」


ボーとアジトを見つける少女に手を向けるアリシア、もう利用価値のない少女を殺すつもりなのだ。


「やめて下さい!」


メアは少女の前に立ちはだかり手を広げる。


「退け、死にたいの?」


「この子は敵です、でも捕らえるだけで良い筈、殺す必要はないです!」


「そう、反吐が出るくらいに甘いわねアンタ」


そう言ってアリシアは手から魔力を放ちメアを吹き飛ばし退かせた、そして少女に近付くと剣で斬り殺す。


「アリシア!、あなたって人は!!」


少女が死んだのを見てメアが怒りの叫び声を上げるが、アリシアはメアを見て邪悪な笑みを浮かべてから視線を逸らし、家の中に入る。


「くっ・・・!」


メアは死んだ少女を見て悔しそうな表情を見せてから、アリシアを追って家の中に入る。



ノースフィアのスパイのアジト


メアが部屋に入ると武器を構えた五人の少年少女と、少女の血が滴り落ちる剣を手に持つアリシアが向かい合っていた。


「こ、皇帝・・・!?、な、なんでこんな所に・・・」


最大の敵である皇帝がこの場所に来ると思っていなかった少年少女は、明らかに怯えた様子でアリシアを見ている。


「あなた達!、早く降伏しなさい!、殺されますよ!」


メアはアリシアの前に出て降伏するように言った、それを聞いたアリシアは邪魔だとメアを蹴り飛ばし、一瞬で一人の少年に詰め寄り剣を振るう。


「うわぁぁ!?」


すくみ上っている少年は剣を構える事が出来ず、そのままアリシアに斬り殺される、それを見て他の者達は慌てて逃げ出そうとするが、左手で持つ杖からビットが放たれ次々と胸を撃ち抜かれ全員絶命した。


「・・・、流石に怒りましたよ、アリシア、殺す必要なんてないじゃないですか!」


非情にも六人の少年少女の命を奪ったアリシアに怒るメアは剣を引き抜くとアリシアに斬りかかる。


「あなたを守ってあげる為にこいつらを殺したのよ?私は、寧ろ感謝してくれない?」


アリシアはメアの剣を少し押されつつも受け止めた。


「何度も言ってます!、捕らえるだけで良いと!、殺す必要なんて!」


「あるわ、捕らえて逃げ出されたらどうするの?、それであなたの情報が敵に渡ったら?、そんなに敵に洗脳されて利用されたいなら勝手にしなさいよ」


「それでも!」


メアはアリシアを無理矢理に押し切る、押し負けたアリシアは尻餅を着き、それを見て剣を投げ捨てたメアはアリシアの胸ぐらを掴み引き上げると、全力で殴った。


「あなたは間違ってます!」


メアに殴られたアリシアは壁に激突し、力なく床に落ちる、アリシアを殴ったメアは怒った様子のままアリシアに背を向けると家から去って行った。


「ふっふふふ、本当愚かね、アンタは、あっはははは!」


家の中に取り残されたアリシアは俯いたまま邪悪に笑う。




ノースフィアアジト


「・・・」


エルセームはピーナの様子をジッと見つめている、その様子にどこか違和感を感じているのだ、その為一つ試してみる事にした。


「ピーナ、皇帝についてどう思う?」


「えっ?、そ、その二度と関わりたくないかなって、あんな凄い人、私じゃ敵わないよ」


「そうか・・・」


エルセームは今の会話だけで理解した、ピーナは洗脳されていると、洗脳された者は主人となっている者を大抵は否定出来なくなる、アリシアを凄い人と呼ぶピーナにもその傾向が出ていたのだ。


「ピーナ、ついて来い」


「くっ!」


洗脳されているのがバレた、そう判断したピーナは逃げ出そうとするが、その前にエルセームはピーナの首筋を殴り気絶させ、ピーナの服のポケットの中に入っている端末を取り出し中身を見る。


「・・・、既に各アジトの場所を帝国の属国の王に送っているか・・・」


端末の中の情報を見たエルセームは壁に端末を叩き付けて壊した。


「安心しろピーナ、お前を皇帝の呪縛から解き放ってやる」


エルセームはピーナを抱きかかえると組織の洗脳室に彼女を運び込んだ。



洗脳室


「いやぁぁぁ!やめて!、私は陛下の物なの!、洗脳を解かないで!」


冷たい鉄の椅子に拘束されているピーナは泣き叫び、アリシアの洗脳を解かないでくれと言う。


「どうだ・・・?」


エルセームはそんな彼女を哀れな物を見るかのような目で見つめつつ、研究員に状態を聞く。


「深層心理まで皇帝の魔眼による洗脳が行き渡っています、この洗脳を解くのはほぼ無理だと思われます」


「そうか・・・」


洗脳を解くのは不可能、そう聞いたエルセームは顎を触る、そしてとある方法を思い付き顔を上げた。


「ならばアレを試す」


「バトルシア人の血を投与し作り出す強化人間ですか!?、それを幹部であるピーナ様に試すのは憚れます!」


「お前は味方が敵に洗脳されたままで良いと言うのか?、俺は絶対に許さん、良いからやれ」


「くっ!、分かりました!、ピーナ様を強化し、そして洗脳をし、皇帝の洗脳を上書きしてみせましょう!」


研究員は操作盤を操作しピーナを椅子ごとカプセルの中に入れる、ピーナは身をよじって暴れるが研究員は無視し、強化開始のスイッチを押した。


「どの程度の時間で終わる?」


「効率化を進めた結果、一時間もあれば完了します」


「分かった、終わるまでここで待つとしよう」


エルセームはピーナの強化が終わるまでの間、カプセルの中で苦しみ続ける彼女を、見つめ続ける。



一時間後、カプセルが開き椅子が移動し部屋の中央に戻る、エルセームは椅子に近付くとピーナを見下ろす。


「皇帝に洗脳されていた事、どう思う?」


「ゾッとしかしないわ!、早くあの最低な女を殺したい!」


「ふっ、今後幾らでも機会をやるさ」


ピーナの洗脳が無事上書きされ、元の彼女に戻った事を確信したエルセームはニヤリと微笑む。


「お前は我がノースフィアの技術により強化され、新たな力を得ている、早速試して来い、テロと言う形でな」


「勿論よ、洗脳されていた間の鬱憤をこの世界に住む愚か者達で晴らしてやる!」


そう言って拘束を解いて貰ったピーナは新たな武器、大剣を背負うと数人の部下を引き連れて街に向かって行った。


「良い仕事だ」


「・・・、ありがとうございます」


エルセームはピーナの洗脳を成功させた研究員を褒める、研究員は目を逸らしながら彼に頭を下げた。

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