十一話、闇の遺跡4
家族が増えて嬉しい今回のアリシアはハイテンションでエッチです。
ローザンの丘の闇の遺跡
アリシアの腕に抱き着き機嫌良さげに鼻歌を歌うニア、アリシアはそんな彼女を静かに見つめる。
「?」
ニアが自分を見つめるアリシアに向けて首を傾げた、アリシアはそんな彼女を見てなんとなくキスをする。
「んむむ〜!?」
いきなり母からキスされたニアはジタバタするが、アリシアは構わずキスを続けジタバタするのは無駄だと思ったニアは大人しくなりアリシアのキスを受け入れた。
「ぷっはぁ・・・、いきなり何よ?」
「あなたが可愛く見えて」
「っー!、そう言って誰とでもキスをしてるんでしょう?あなた!、キス魔よキス魔!」
急に怒り始めたニアはプリプリと怒りながらアリシアの腕から離れアリシアの先を歩き始める、それを見てイタズラっぽく笑うアリシアは、ニアの手を掴み、そのまま彼女を壁に押し付ける。
「私は愛情が欲しいの、だからあなたからも愛を貰うわ」
「お母様、は寂しがり屋なのね」
「そうよ、寂しいからこそ娘にしたあなたの全てが欲しい」
寂しがり屋な事を認め目を閉じるアリシア、今度はそっちからキスをしろと言う事なのだろう。
「はぁー、仕方ないわねぇ」
吸血鬼としての本能か、アリシアとのキスが嫌ではないニアは自分からアリシアとキスをした。
「ふふ、良かったわよ、ニア、キス上手ね」
「こんなこと褒められても嬉しくないわ」
「そう?、ならなぜ頬を赤くしているのかしら?」
そう言ってニアの瞳を見ながらその頬に手を据えるアリシアは、もう一つの手でニアのお腹に手を這わせている。
(ヤバイヤバイ!、このままだと襲われる!)
今も十分に襲われているのだが、これ以上行く覚悟はまだないニアは、アリシアを突き飛ばす。
「あら?」
「また後でね!」
「ふふ、後ならいいの?」
「また今度ね!」
「あらあら?、今度ならいいの?」
「ッー!」
恥ずかしさの極限に達したニアはうわぁぁぁんと言いながら走って行ってしまった、それを見送ったアリシアはやり過ぎたかしら?と反省し、のんびりと遺跡の奥に向けて歩いて行く。
「お久しぶり」
「シャー!」
完全に警戒モードであり猫のように威嚇するニア、アリシアは彼女を横目で見ながらクスクスと笑い、扉に触れ開けた。
「ほら、お仕事よ、吸血鬼になったあなたの力を見せて?」
「良いわよ!、見せて・・・、んむー!?」
腰に手を当ててドヤ顔を見せながら自分の力を見せると言おうとしたニアだが、またアリシアにキスされてジタバタする。
「油断大敵ね、可愛いわ」
「この・・・、いい加減にしろー!」
ついにキレたニアはポコンとアリシアの頭を叩き、ニアに叩かれたアリシアはクスクスと笑いながら、部屋の中に入る、すると巨大なラミアがアリシアとニアを出迎えた。
「いらっしゃい、私はラミアのミアール、・・・随分とお熱いのね?」
「!、熱くないから!、今日のこいつが変なだけだから!」
「あら!、まだ足りないのかしら!」
「このエロ皇帝!」
「二人だけの世界に入らないでくれる・・・?」
ミアールは口喧嘩するアリシアとニアに呆れた視線を送る。
「ふふっ、楽しいわ、それで?、あなたの条件は?」
「そうね、私を殺してみなさい、それが条件よ!」
「分かった、アトリーヌ帝国皇帝、アリシア・レイティスがあなたを殺し、その力を私の物にしてあげる!」
そう言って右手で杖を持つアリシア、顔が真っ赤なニアも剣を構えた。
「やってみなさいな!」
ミアールは尻尾を振り上げると二人に向けて振り下ろす。
「私の可愛いニア?、前衛は任せるわよ?」
「あんたのじゃなーい!」
アリシアはシールドでミアールの尻尾を止めながらニアに前衛を任せた、ニアは何やら叫びつつ走って行き、ミアールを蹴り飛ばした、すると巨体なミアールが一撃で吹っ飛んだ。
「ナニコレ」
「人間の頃から強かったあなたは吸血鬼になった事で、あの巨体を余裕で吹っ飛ばせるほどのパワーを得ているって事よ、私のお陰ね?」
「スゴイ、吸血鬼」
ニアに蹴り飛ばされて壁に激突していたミアールは起き上がり、目からビームを放った、それを見たニアはノアールソードを発動させながら走り、ビームを弾く。
「あっはは!、私すごーい!」
吸血鬼になり増した力を実感し喜ぶニアは、連続して放たれるビームを余裕で避けながら、ミアールの懐に潜り込み大きな切り傷を付ける。
「アリシア!、あそこに攻撃!攻撃!」
「はいはい」
帝国ナンバー1の実力を持つアリシアとナンバー2の実力を持つ(アイリーンは魔力量はニアより上だが、ゼロの魔力にまだまだ慣れていないのでニアより実力は下である)ニアのコンビは、ミアールを圧倒する、全ての攻撃をアリシアに封じられるミアールは、皇帝の強さを認めながら、地面にその身を沈めた。
「でもまだよ!」
簡単に死ぬつもりはないミアールは横たわりながら首を振るいビームを薙ぎ払う。
「ビームにはビームよ」
アリシアはブラスターを放ち、ミアールの薙ぎ払いビームを一点突破した、そしてブラスターはミアールに直撃し、これがトドメとなる。
「あはは・・・、流石ね、新たな皇帝さん?」
「お褒めに預かり、光栄よ」
「ふふっ、あなたに力を」
ミアールはアリシアに手を向け力を送る、するとアリシアの右手の数字が3から4に変わった。
「ありがたく使わせて貰うわ、だから安心して逝きなさい」
「ええ・・・」
生き絶えたミアールは光となって消えた、アリシアはそれを見送ってから龍脈を解放し、またもやニアを弄りつつ、遺跡の外に向かう。
遺跡の入り口
「うわーん!、お姉ちゃーん!!」
遺跡の外に出るなりニアがアイリーンに泣きついた。
「まぁまぁ、・・・、二人っきりなのをいい事にニアを虐めましたね?、お母様?」
二人きりになると自分も弄られる為、ニアがされた事を大体把握したアイリーンは、チクリとした視線をアリシアに送る。
「何の事かしら?、ちょっとしたスキンシップじゃない」
アイリーンの視線を受けたアリシアはそっぽを向いてトボける、ニアと同じように彼女によく弄られているアイリーンは暫くアリシアをジーと見つめてから、ニアの頭を撫でて慰める。
「お前らイチャついてる暇は無いぞ、航空機が近付いてくる音だ、誰か来るぜ」
「あら?、ホントね、それにこの魔力は・・・、あはっ丁度良いわ、あなた達?、飛空艇に乗り先に行ってなさい、私はメアでこの力を試すわ」
「私も残る」
「命令よ」
「・・・分かった」
エリシアは仕方なしに他の仲間と共に飛空艇に乗り込んで行く、そして飛空艇は飛び立って行った、それを見送った後、すぐにメサイヤが着陸し、メア達が降りてくる。
「御機嫌よう?、メア」
「また力を増したのですね?、アリシア」
「ええ、あなたはどうしても一歩遅れるわね、メア」
「くっ」
一歩遅れているのは事実だ、メアは悔しそうにする。
「まだそんな事はどうでも良いの、ちょっとあなたで試させてくれないかしら?」
「何を・・・、ッ!」
「私の力を、よ!」
メアは斬りかかって来るアリシアを見て慌てて剣を構える、先手を取った事により優位に立つアリシアはメアの鳩尾に膝を食い込ませた。
「ぐっ・・・」
鳩尾に食い込んだ重い一撃に顔を歪めたメアは片膝を着く、アリシアはそれを見て邪悪な笑みを見せつつ、メアの顔を蹴り飛ばす、蹴り飛ばされたメアは地面を転がった。
「いきなり戦いを挑んでこれか!」
ケイネスが蹴り飛ばされたメアを見てアリシアを批判する。
「フン、私とお前達は敵よ、敵を目の前にして油断しているそいつが悪い」
そう言って自分の試すと言いつつ出来るのならばメアを殺すつもりのアリシアは、剣を闇に覆わせつつ、斬りかかる。
「そうですよ、油断していた私が悪いんです、ケイネスさん!、それに皆さんも口を挟まないで下さい!」
アリシアが自身を殺すつもりで戦っているのを理解しているメアは、油断を無くし剣を構え、アリシアの横振りの斬撃をしゃがんで避けると、アリシアの鳩尾に拳を叩き込み、先程の攻撃をやり返した。
「いっつ・・・、やるじゃない!」
鳩尾に攻撃を喰らい体がくの字に曲がるアリシア、その状態から左手で裏拳を放ちメアの顔を殴る、しかしメアは顔を殴られても踏ん張って堪えると、アリシアの顔を殴り返す、するとアリシアは踏ん張りきれず尻餅をつく。
(まだ、明確な差があるか・・・)
四段階力を増したがまだまだメアとの力の差は大きい、それは理解したが尻餅をつかされたのが気に入らないアリシアは、ダークチェーンでメアを拘束してから何度もメアの顔を殴る。
「ぐっ、うっ、あぁあ!」
顔を殴られ顔から血を流すメアは力で無理矢理にダークチェーンを破ると、アリシアの顎を蹴り上げた、そして剣を放り投げるとアリシアの上に乗り顔を殴り始める。
「最早ただの喧嘩だな」
「はい・・・」
メアは思いっきり振り被りアリシアに向けて拳を振り下ろす、アリシアはその大振りなパンチを顔を晒して避け、メアの腕を掴むと、放り投げ自分の上から退かせた、そして放り投げ地面に倒れているメアの顔を踏み付ける。
「やってくれましたね!」
鼻血を流すメアは起き上がりつつ全力でジャンプし、頭をアリシアの顔にヒットさせた、その一撃でアリシアはふらつくが負けを認めず、拳を構えてメアに殴りかかる。
「はぁぁ!」
「えぇい!」
メアは拳を突き出す、アリシアはその拳を掻い潜るとクリティカルヒットな一撃をメアの顔に当てて、その一撃を喰らったメアは限界が来て地面に倒れた。
「はぁはぁ・・・、私の勝ちね、メア、さぁ死ね!」
そう言って落ちている自分の剣を拾ったアリシアはメアの上に乗ると、剣を逆手に持ち振り下ろすが、それを見たグレイが慌てて走るがアリシアの剣はメアの腹を刺し貫いた。
「ぐっ・・・」
アリシアに刺されたメアはそれでも優しく微笑みアリシアを抱きしめる。
「な、何よ・・・、刺されてるのに笑うなんて、気持ち悪い!」
抱きしめて来るメアを振り払い、立ち上がったアリシアは彼女の首を斬り落とす為、剣を振るう。
「グゥゥ!」
グレイが何とかその斬撃を受け止め、そして追い付いてきたメアの仲間達もメアを庇うように立つ。
「チッ、私は独りなのに、アンタは仲間に囲まれてぇぇ!」
アリシアはグレイ達に斬りかかるがその瞬間に金色の光が輝き、それを見たアリシアは下がる。
「誰よアンタ!」
「うーん、通りすがりのエージェントかな」
そう言って金髪の女性、久城灯理はアリシアに剣を向けた。
「ボロボロだね?、もう引いたら?」
「そいつをもう少しで殺せるのに引くわけないでしょ!」
「ならこちらも対応するだけです!」
アリシアの背後に転移して来た、リーフィアは剣を振るう、ギリギリで反応したアリシアは剣を合わせるが打ち負け尻餅をつく。
「引きなさい、アリシア・レイティス」
「くっ!」
今の状態では目の前の二人の女に勝てない、そう判断したアリシアは転移して行った。
「あ、ありがとうございます・・・、あなた達は?」
腹から血を流すメアは助けてくれた二人にお礼を言いつつ、何者か聞く。
「久城愛理の娘、灯理に」
「その親友リーフィアです」
二人は仲良く肩を組み自己紹介した。
「未来のアリシアについて話をしに来たらさぁ、こんなにボロボロになってるんだもん、焦ったよー」
そう言ってメアに近付き灯理は治療魔法を掛ける、すると徐々にだがメアの傷が治り始めた。
「はい、メサイヤの窓から見た時は本当に驚きました」
二人はメサイヤの中に入った事がある、その為メサイヤの中に転移すればこの世界に来れるのだ、そしてアリシアがグレイ達を殺すのを止める為灯理が先に転移し、リーフィアが遅れて転移しアリシアの背後を取ったがアリシアに対応されてしまった。
「ありがとう、それで?未来のアリシアの容体は?」
「希望は見えたって所かな、話すね?」
灯理は未来のアリシアの心臓の事を話す、その話を聞いたメアは嬉しそうに仲間達と頷き合うのだった。
皇帝の飛空艇
「お帰りなさい、お母様、!」
「うっわ、やられたねぇ」
アリシアが飛空艇に転移して来ると二人の娘が駆け寄って来て、ボロボロになった彼女を見て驚いた顔をする。
「ついつい熱が入っちゃってね、アイリーン?治療をお願い、ニアは新しいドレスを持って来て」
「はい」
「はーい」
ドレスを取って来るよう頼まれたニアは部屋を出て行く、アイリーンは治療を始める、治療をされるアリシアは仲間に囲まれるメアを思い出して、憎々しげな表情を見せるのだった。




