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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第二部、四章、ゼロの魔力のスタイル使い編
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四話、ゼロの魔力のスタイル使いメア

覚醒の地


「!」


開かれた扉に向けて走るアリシアは突然飛び込んで来た光から目を守る為に、腕で目を覆った。


(周囲の魔力が乱れすぎている・・・、覚醒したのがメアかアイリーン、どちらなのか分からないわ)


目を覆いながら走るアリシアには覚醒したのがどちらなのか分からずにいた、アイリーンが失敗する筈がないと理解しているが、やると決めた時のメアの突進力の高さをアリシアはよく知っている、その為、メアが力を手にしたのではないか

と言う、不安がどうしてもあった。


「収まったか・・・」


走っているうちに光が収まった、アリシアは部屋の中に入り状況を見る、するとメアが水晶に触れており、アイリーンがなんとか指先で水晶に触れていると言う光景を見た。


「アイリーン、成したの?」


「はい・・・、ゼロの力には目覚めました・・・、しかし・・・」


ゼロの魔力を放つアイリーンは悔しそうにメアを見る。


(・・・、アイリーンの力、確かに久城愛理の力と同じ・・・、でも私より弱い・・・、くっやるわね!メア!)


アリシアはアイリーンの魔力を探り自分よりその力が弱いのを理解した、これではただのゼロの魔力の使い手である、アリシアは娘の隣に行き申し訳なさそうにする彼女の肩を叩き失敗を許すと、自身の両手を見つめるメアを睨み付ける。


「どうも始めまして?、ゼロの魔力のスタイル使い様?」


たっぷりと皮肉を込めた声色でアリシアはメアをゼロの魔力のスタイル使いと呼んだ。


「そう、そうですね、私がゼロの魔力のスタイル使いです、そして!、私はこの力であなたを止め!、救う!」


そう言ってメアは全身から魔力を放つ、その魔力は愛理には及ばないが、アリシアよりは強かった。


「チッ、運だけは良いゴミが、アイリーン、今のうちに奴を殺すわ、良いわね」


「はい、お母様」


アリシアは剣と杖、アイリーンは魔法陣を展開し魔力を解放するメアを見据える、そしてアリシアが斬りかかった。


「はぁぁ!」


メアはゆっくりと手をあげると魔力を纏わせた手でアリシアの斬撃を受け止めた。


(なっ!?、フォトンリウムの刀身を使った剣、それに魔力を多く込めた私の斬撃を素手で止める!?、なんなのよ!それ!)


アリシアの最高の一撃を止めたメアはアリシアを片手で放り投げ、二本の剣を引き抜く、そして物凄い速さでアリシアに迫った。


「くっ!、お母様!」


この一撃だけでアリシアが倒されるそう判断したアイリーンはアリシアの前にシールドを展開させた、同属性のシールドはメアの斬撃を止めるが・・・?。


「やぁぁ!」


メアの魔力はシールドの魔力を容易に上回った、シールドを斬り飛ばしたメアの斬撃がアリシアに迫る。


「ダークチェーン!」


アリシアは斬撃が己に当たる前にメアの腕を鎖で止め、メアを蹴り飛ばす。


「っぅぅ!」


(技量はやはりアリシアの方が上!、でもパワーと魔力で押し切ってみせます!)


現在、アリシアとメアの力関係は、アリシアがメアに対し剣と魔術の技量で勝り、メアが身体能力と魔力で圧倒的に勝ると言う関係だ、この為、今なら力で押し切れるそう判断しているメアはくるっと体を宙で回転させ地面に着地すると、強く地面を蹴りアリシアに再び迫る。


「くぅぅ!?」


余りにも速い突進にアリシアは焦りつつ、杖から魔弾を放つがメアは当たっても気にせずアリシアに迫り、剣を振るう。


「ゼロスピア!」


アリシアに斬撃が当たる瞬間にアイリーンがゼロの魔力の棘を放った、メアは片手の剣でそれを弾き、斬撃を振るい切る。


「ゼロソード!」


「ダークライジングソード!」


ゼロの魔力の斬撃と闇と雷の斬撃がぶつかり合う、激しい衝撃波と共にメアに打ち負けたアリシアは、体を回転させながら複数の魔法陣を構築し、ダークライジングイリュージョンを発動させた。


「踊れ!」


「断ります!」


ダークライジングイリュージョンが放たれるワームホールを見たメアは、全身から魔力を放つとワームホールを一瞬にして破壊した。


「私のワームホールを潰すなんて!、でも!」


メアが魔力を放っている間に距離を詰めていたアリシアは下から斬撃を振り上げる、その斬撃はメアの体を斬り裂いた。


「体を斬られてもぉぉ!」


自身の服を血で染めつつ、メアは素早く突きを放った、更なる一撃をメアに加えようとしていたアリシアは剣でなんとか防ぐが、吹き飛ばされ強制的に距離を取らされる。


「行きます!、ゼロブラスター!」


「アイリーン!、手を貸しなさい!、ダークライジングブラスター!」


「はい!」


手を貸せと言われたアイリーンはアリシアの杖を握る。


「行っけぇぇぇ!」


「死ねぇぇぇ!」


ゼロの魔力の砲撃と闇と雷の砲撃がぶつかり合った。




覚醒の地、入り口


「!?」


エリシアは突如発生した自慢の揺れに驚き神殿の方を見る、すると壁が吹っ飛び、二つの砲撃が天に向けて伸びて行く所であった。


(アリシアには悪いが)


それを見てエリシアはポケットから端末を取り出すと飛空艇の中のゼウスを呼ぶ、黒きファントムで遺跡の中に侵入し妹を救出するつもりなのだ。


「させねぇ!」


「お前はいい加減にしつこい!」


ずっと戦っていた目の前の男を蹴り飛ばし無理矢理に引き下がらせた、そして到着したゼウスに乗り込む。


「大臣!、ニアを連れて飛空艇へ!、キース!いつまで遊んでいるのだ!、お前も飛空艇に行け!」


「了解した」


「えっ?、いや無理・・・」


「アリシアの下着を盗もうとしていた事、アリシアに話すぞ?」


「!!、うぉぉぉ!」


エリシアに脅されたキースは驚異的な力を発揮し拘束から抜け出した、そして大臣の代わりにニアを担ぐとそそくさと退散する。


「全く、馬鹿者め」


そんな彼を見送ったエリシアは、遺跡に急行した。



覚醒の地


「お母様!お母様!?」


アイリーンがアリシアを呼ぶ、二つの砲撃が弾け合い爆発した時、アリシアはアイリーンを庇ったのだ、その結果大ダメージを喰らったアリシアは倒れた。


「煩いわね、起きているわよ」


「お母様!」


アリシアは目を覚まし立ち上がる、そしてメアを憎々しげに睨み付けた。


「よくもやってくれたわね!、雑魚の分際でぇぇぇ!」


一瞬だけでも意識が飛んだその事に激しい怒りを感じたアリシアは、全身から魔力を放つ。


(スタイルバースト・・・、でもそのダメージを負った体では!)


アイリーンはアリシアを止めようとするが、その前に全身から闇の雷を放つアリシアはメアに斬りかかる。


「やめて下さい!アリシア!、その体では!」


「黙れぇぇ!」


「くっ!」


メアは仕方なしにアリシアの斬撃を受け止める、そしてスタイルバーストによりその力を増しているアリシアはメアを押し切った。


「はぁはぁ・・・、終わらせてやる!」


肩で息をしながら剣に魔力を溜めるアリシア、飛びかかろうとした瞬間、天井が崩れ、ゼウスが現れた。


「そこまでだアリシア、ここは退くぞ」


機体をアリシアとメアの間に降り立たせたエリシアはアリシアに退くと伝えた。


「何を言ってるの!お姉ちゃん!、そいつは今ここで私が殺すの!、邪魔をするな!」


「そんな体で何を言う、姉の言う事を聞け」


「そうですよ、お母様、そのダメージでスタイルバーストを使用し続けたら近いうちに死んでしまいますわ」


アイリーンがアリシアを後ろから抱きしめる、アイリーンに抱きしめられたアリシアは悔しそうにメアを睨み付けてから、スタイルバーストを解いた。


「行きましょう、お母様」


「ええ・・・」


アリシアは悔しそうにメアを見つめてから、ゼウスの手に乗り込んだ、メアは飛び立つのを止めようと機体に迫るが、銃口からビームが放たれ強制的に止められた。


「・・・」


メアは去って行くゼウスを悲しそうに見つめる、メアは悲しかったのだ、アリシアが自分に向ける憎しみの視線と死ねと言う言葉が。




覚醒の地、入り口


「メア、目覚めたんだね」


「はい、皆さんのお陰です」


回復していた愛理はゼロの魔力のスタイル使いとなったメアを嬉しそうに出迎えた。


「これでアリシアと同等以上に戦えます、ですから愛理さん、アリシアの心臓を治してあげてくれませんか?、今のアリシアは私がどうにかしてみせますので」


「分かった、でも何かあったらすぐに呼んでね?」


「はい、あっ、それと転移魔法を教えてくれませんか?」


「勿論」


メアに転移魔法を教えて欲しいと言われた愛理は、快く転移魔法を教える、メアはすぐに転移を覚えた。


「よし、それじゃアリシア、ワールドセイバーに行こうか、医療関係ならあそこがトップだからね」


ワールドセイバーとは多重世界の平和を守る警察機関である。


「ええ」


未来のアリシアは愛理の言葉に頷くとフラフラと立ち上がる、そしてメアに近付く。


「メア、私、この心臓を確実に治してあなたの所に戻るわ、絶対に死んだりなんてしないから、安心なさい」


「はい、信じてます、アリシア、私の親友!」


「ええ、またね?、親友」


メアと未来のアリシアは拳を合わせ合うと笑い合い、未来のアリシアは愛理と共にワールドセイバーにへと転移して行った。


「私達も帰りましょう」


「おう」


メア達はメアが新たに覚えた転移魔法によりギグルスに帰って行った。



皇帝の飛空艇


「・・・」


アイリーンの治療により回復しているアリシアはイラついた様子で椅子に座っていた。


「アルムス、早急に全ての闇の遺跡の場所を割り出しなさい」


帝国皇帝としてイラついた感情のまま怒り続け停滞しているわけには行かない、すぅーと息を吸いイラつきを抑えたアリシアは立ち上がり、アルムスに全ての遺跡の場所を割り出すよう言った。


「了解した」


(待っていなさい、メア、すぐにお前の力を追い抜き、お前を殺してやる!)


アルムスの言葉を聞き頷いたアリシアは椅子に座り、すぐに近寄って来て抱き着いてくるアイリーンの髪を撫でながら、メアへの殺意を滾らせる。


第二部、四章、ゼロの魔力のスタイル使い編、完

次回からは皇帝と闇の遺跡編です。

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