三話、愛理の敗北
覚醒の地、入り口
「退いてくれないかしら?、久城愛理」
「断るよ、アリシア・レイティス」
「へぇ」
退けと言っても退かない愛理にアリシアは冷たい瞳を向け剣を構える、愛理はその闇に染まり切っている瞳を見て悲しそうな表情を見せる、この少女は道を間違えなければ自分の跡を継ぐ世界を守りし者達の一人となっていた筈、そうならなかったその心が憎しみと復讐心に染まり切った目の前の少女を想うと、愛理は悲しくて悲しくて仕方がない。
(でも、人は幾らでもやり直せる、私だってそうだった、だからきっとこの子も!)
愛理もかつては闇に染まり罪を犯した、だが今は英雄と呼ばれるまでになった、ならば目の前の少女もきっとやり直せる、そう信じている愛理は少女との戦いを始める。
「はぁぁ!」
エクスカリバーを金色に光らせる愛理はアリシアにゼロブレイドを放つ、アリシアは最小限の動きでそれを避け、エレキバーストで加速し一瞬で愛理の背中に回り込んだアリシアは振り上げていた剣を振り下ろす。
「ッ!」
愛理はアリシアの動きを反応し振り返りつつ斬撃を放った。
(この衝撃・・・、なんなの?この剣・・・)
愛理はアリシアと剣を合わせあった時に生じた腕にへの衝撃でアリシアの剣の変化に気付いた。
「アリシア、その剣は一体・・・」
「ふふ、フォトンガンブレード、あなたのエクスカリバーと同等の性能を持つ、我が帝国最強の剣よ!」
「エクスカリバーと同等・・・、そんな剣を一つの国が・・・」
愛理はアリシアの言葉を聞いて焦る、アリシアは帝国製と言った、言い方的にエクスカリバーと同等のあの剣を量産出来るのだと察したのだ。
「そう、私の国は順調に強くなっているわ、ふふ、全ての世界が私の物になる日は近いわよ、久城愛理」
「あなたの国がいくら強くっても!、私が止めるだけさ!」
そう言って力でアリシアを無理矢理に引き離し、愛理はゼロブラスターをアリシアに向けて放つ。
(その技を待っていたわ!)
迫るゼロブラスターを見て笑みを浮かべたアリシアはワームホールを作り出した、そして愛理の足元にワームホールを作る。
「しまっ!」
「喰らいなさい?、久城愛理、あはっ、ゼロブラスター」
ワームホールからゼロブラスターが放出された、自身の攻撃をまともに喰らった愛理は天高く打ち上げられ、力なく地面に落ちる。
「く、ま、まだ!」
ゼロブラスターをまともに喰らい満身創痍な愛理はそれでも立ち上がる、アリシアはそれを見て邪悪な笑みを見せた。
「ふふ、今日はここまでにしてあげるわ、師匠?、あなたに勝てたってだけで満足だからね?」
そう言って愛理に向けて駆け出したアリシアは、力なく振るわれた愛理の剣を余裕で避け、愛理に闇の塊を叩き込み爆発させた。
「くぅぅぅ!?」
更なるダメージを受けた愛理はフラつき片膝をつく、アリシアは愛理を冷たく見下ろすと、覚醒の地の中にへと入って行った。
「実力で劣る相手に負けた・・・、くっ、私もまだまだだね・・・」
アリシアに対し敗北した愛理は悔しそうに俯き、体の回復を待つ。
覚醒の地
アイリーンは扉の前に辿り着いていた、早速、扉に鍵を差し込む、すると巨大な扉がズズズと音を立てながら開いた。
「これが覚醒の地・・・、ふふっ!、これで私はお母様の期待に応えれる!」
喜色の表情を見せるアイリーンは中央に見せる水晶に近付く、水晶が置かれている台の下にはこう書いてあった。
「光と闇の力を持つ資格者よ、祭壇に触れよ、なれば力をお前に授けよう、覚醒が行われた後、我が地は百年の眠りに就く、一度覚醒による覚醒者の・・・、掠れていて読めませんわ・・・」
最後の掠れた文に何か嫌な予感を感じたアイリーンは水晶に触れる。
「あぁぁぁぁぁ!?」
すると勝手に自身の魔力が水晶の中に流れ始め、アイリーンの周囲に魔法陣が現れる。
(もう儀式が始まったのですね、驚きましたわ)
周囲の魔法陣を見て儀式が始まったのだと判断したアイリーンは目を閉じ儀式の完了を待つ、その時だった、靴音が聞こえたので入り口を見る、そこには肩で息をするメアがいた。
「もう始まってる!、させません!」
「邪魔はさせませんわ!、メア様!」
アイリーンは部屋に入って来たメアに光の矢を放つ、メアはその斬撃を全て剣で叩き落とし、アイリーンに迫る。
「その剣は!?」
「はぁぁ!」
アイリーンは至近距離に迫られたメアに魔法を放とうとするが、メアが先に剣から衝撃波を放ち、それをまともに喰らったアイリーンは吹き飛ばされた。
「アリシアを救う為に力は必要です、この力、私が貰い受けます!」
「くっ!、させませんわ!」
メアが水晶に触れる、アイリーンは走る。
水晶が激しい光を放ち、部屋は七色の光に包まれた。




