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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第二部、四章、ゼロの魔力のスタイル使い編
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一話

ワイオーン湾、覚醒の地近く


キュィィンと音を立てて飛空艇が島に着陸する、ドアが開きアリシア達が降りて来た。


「見て、アルムス、南国の島よ」


アリシアはのどかな南国の島の様子を見てアルムスの腕に抱き着き、指を差す。


「なんだ?、仕事を忘れてバカンスをしたいのか?」


アルムスはそんな少女の髪を撫でながらバカンスがしたいのか聞いた。


「冗談よ、私なら私が動いた事に気付くでしょうからね、急ぐわ」


「うむ、それがよかろう」


冗談だと言ったアリシアは、側近達の顔を見て頷き歩き始める、ニアとエリシアとキースとアイリーンはアリシアとアルムスを囲むように位置し、空から確認した覚醒の地の遺跡に向けて歩いて行く、転移魔法は上から見た光景を元に実行しようとしたが発動しなかった、転移出来ない原因は遺跡の周囲の魔力が強すぎて座標が狂うせいだろう。


「魔物か」


森に入ると六体の魔物が現れた、それを見たエリシアはダガーを抜き、洗脳された際に潜在能力が解放されている事により、以前よりも速い動きで魔物に迫ると一体ずつ一回の攻撃で全て斬り伏せた。


「洗脳されて良かったかもね、エリシア」


それを見てお調子者のニアが洗脳されて良かったかもと口を滑らせる。


「ニア?」


それを聞いたアリシアはニコニコしながら彼女の名を呼んだ。


「な、なんでもない!」


「そう?」


「そうそう!」


「ふぅん、ねぇ見て、ニア、あそこになってる果物美味しそう」


そう言って指差す先には木があり、確かに高い場所に実がなっている。


「取りに行けと?」


(ニコニコ)


「ニア、諦めて行ってこい」


「もう仕方ないわね!」


父に木登りしろと言われたニアは必死に木を登り始める、それを見た後アリシアは歩き始め、ニアが実を取り終えて地面に降りた頃には、アリシア達はかなり遠くに行っていた。


「待ってよぉ!」


こんな森の中で置いて行かれるのは心細い、ニアは全力疾走でアリシア達を追い掛ける、実は結局ニアが食べた。



「懐かしいわね・・・」


未来のアリシアは島にメア達とやって来ていた、未来のアリシアの時はアイリーンは敵のままであり、ニアをゼロの魔力のスタイル使いにしようとしていた未来のアリシアは、アイリーンの光の魔法に邪魔をされ続け(これが未来のアリシアが彼女をクソ聖女と呼ぶ原因)鍵も奪われてメアがゼロの魔力のスタイル使いになった。


しかし、今回はアイリーンは現在の自分の味方であり、その代わりに自分がメア達の味方としている違いがある、この変化がどのような変化を生むのか未来のアリシアには分からなかった。


「アリシア、遺跡の場所は?」


未来のアリシアが思いにふけっているとメアが話しかけて来た。


「島の中心よ、行きましょう!」


ハッとした未来のアリシアは、考えすぎる自分を今はやるべき事があるだろうと心の中で叱り、皆に行こうと伝えた。


「うむ」


「私が先に行ってるね!」


「お願いします!」


愛理がゼロフォームに変身し飛んで行く、遺跡に急行し、破壊するつもりなのだろう、ニアはゼロの魔力のスタイル使いの力は欲しいが、アリシアを止める事が先決だと判断し、愛理に向かうよう頼む、愛理は頷くと空を飛んで行った。


「さっすが師匠、頼りになる」


「だな、さぁ、俺達も急ごうぜ!」


「はい!」


メア達は地面を走り、島の中心地に向けて走る。




覚醒の地、入り口


「白くて綺麗な壁ですね、私はここで産まれ変わる、ゼロの魔力のスタイル使いにへと」


一行は遺跡の前にいた、アイリーンはしげしげと自分が強大な力を手にする地を眺める。


「あなたがゼロの魔力のスタイル使いになったら、暫くは久城愛理の足止めをする役目を与えるから、そのつもりでね」


「はい、お任せを」


アリシアの言葉を聞きアイリーンは一礼する、それを見たアリシアは娘の頬を撫でてから、扉に近付いて行く、途中まで歩いた所で何かを感じ振り返ったアリシアは見た、愛理が近付いて来ているのを。


(やはり来たか)


アリシアは影の中から杖を取り出し構える、皇帝が杖を構えたのを見て振り返った側近達は愛理がいるのを見て、武器を構えた。


「ゼロ!」


「させないわ!、ライアーン!」


愛理はゼロブラスターを放とうとする、対するアリシアはライアーンを宙に召喚し突進させて愛理の攻撃の邪魔をする。


「くっ!、邪魔しないで!」


「これは主人の命、ならば我は忠実に従うまで!」


ライアーンは尻尾による強力な一撃で愛理を吹き飛ばした。


「良くやったわ!、ライアーン!、お姉ちゃん!、手を」


「んん?、ああ!」


妹に手を差し出すよう言われたエリシアは一瞬戸惑ってから手を差し出す、アリシアは姉の手にダークチェーンの魔法陣を刻み込む。


「これで久城愛理の拘束を!」


「分かった!」


エリシアは妹の言葉に頷くと駆け出し愛理の元に行く、そして立ち上がろうとしている金色の九尾を闇の鎖で拘束した。


「そう何度も!」


「ふふ、そうね、アンタは何回も同じ手には掛からない!、だからこうするのよ!」


アリシアは愛理の足元にワームホールを出現させ飲み込ませた、愛理は驚いた顔でワームホールの中に飲み込まれ、愛理の全身を飲み込んだ途端ワームホールは閉じた。


「やったわね、アリシア」


「ええ、でもこの手が通じるのはこの一回だけ、突破の仕方が理解されればもう二度とは通じないわ」


「厄介な敵だぜ、全く・・・」


「そうね、さぁ、扉を開けるわ」


愛理を見事に封じてみせたアリシアは、扉に近付き、鍵を差し込む、するとギギギと音を立てて扉が開く。


「アイリーン、ここから先はあなた一人で行きなさい、私はニアとキースと共にここを守る、信じているわよ、必ず力に目覚めてここに舞い戻ると」


「分かりました、お母様」


アイリーンはアリシアから鍵を受け取ると、覚醒の地の神殿の中に入って行った。


「さぁ、お姉ちゃんにキースにニア、私達の役目を果たすわよ」


「ええ」


「おう」


「任せろ」


「アルムスは隠れてて、あなた戦闘はからっきしなんでしょ?」


「すまぬ、下がらせて貰おう」


一応杖を構えていたアルムスだが、アリシアに下がるよう言われ、神殿の陰に隠れた、アリシアはそれを見てから前を向き、メア達が現れるのを待つ。




三分ほど待つとメア達が現れる、彼女らは周囲を見渡す、愛理を探しているのだろう。


「・・・、師匠は?」


「んー?、闇の中かしら」


「くっ、ワームホールに封じたのね」


そう言って未来のアリシアは地面に手を差し出しワームホールを開き愛理をワームホールから引き上げようとするが、アリシアが銃弾を放った事により避けざるを得なくなり、弾を避ける。


「させないわ、久城愛理は邪魔ですもの」


そう言ってアリシアは指を鳴らす。


「それにあなたは動けない」


「何を言って・・・、なっ!?」


未来のアリシアは自分が言う、動けない、この意味が理解出来ず首を傾げたがすぐに理解する事になる、本当に動けない。


「ふふ、あの時、私の血を吸ったのは間違いだったわね?、流石に同じ吸血鬼真祖だけはあって下僕には出来ないけど、お陰様でこうやって動きは封じれたわ」


(くっそ!、なんて迂闊なの!私!)


心臓の痛みが苦しく判断力が鈍っていたとはいえ、吸血鬼の血を吸う事の危険性を失念していた少し前の自分に、未来のアリシアは自分で自分に呆れを感じた。


「みんなごめん!、どうにか私を突破して遺跡の中へ!」


「あははっ!、無駄よ!私!、こいつらじゃ私達の守りを突破なんて出来るはずがないじゃない!、今回も私の勝ちよ!」


既に勝ちを確信し余裕の笑みを見せるアリシア、それを見たメアは剣を構える。


「いいえ、アリシア、私達は必ずあなた達の守りを突破してみせます!」


「フン、出来もしないことを!」


「出来ます!、信じる心は力になる!!、これが愛理さんの教え!、私はそれを信じていますから!」


そう言ってメアはアリシアに斬りかかる、アリシアは余裕を持ってその剣を受け止めた。


「その教えを教えてくれたアンタの師匠はワームホールの中よ、信じる心は力になる?、なってないじゃない」


「師匠が封じられてるなら私が私達がその教えを実践すれば良いだけです!」


「そうだメア!、やってやろうぜ!」


「はい!」


「ハッ!、雑魚が出来もしないことを!」


皇帝とその側近とメア達の戦いが始まった。

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