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悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない  作者: 汐留ライス
Chapter 11『世界にはバグしかない』
98/143

#98「標的消失」

 ロロロとプリンちゃんの攻撃を至近距離で喰らって、いくらムシャ子でも無事でいられるはずのないシチュエーション。実際無事ではなかったけど、その状態は予想外だった。


 簡潔にまとめると、左肩を中心に体の3分の1くらいがモザイクでもかけられたみたいな状態。詳しく言うと、そこだけドット絵を拡大したみたいに、画像の解像度が乱れてて粗く表示されてる感じ。


 サイバーもののアニメなんかだと見たことあるけど、現実世界でそんなものが見られるとは思わなかった。大丈夫なのかこの世界。


「まさかその女が解除コードを知っていたとは」


「解除コード?」


 ムシャ子が鋭い目つきで詰恋にガンを飛ばすので、かばいつつ尋ねる。けど彼女サイドに答える意思はナッシング。


「ここは撤退するしかなさそうですね。無理しても労災下りませんし」


「逃がすと思いしか?」


 さっきまでとは立場が逆転して、強気に出るロロロ。こいつホントにドSだよな。


「ですが、私もタダで引き下がるワケにはいきません」


 そう言うなり、ロロロとは全然違う方向へダッシュする。向かった先は俺でも詰恋でもなくて、お茶ポエム博士。


「しまった!」


 俺もロロロも詰恋をかばうのに気を取られて、博士は完全にノーマークだった。ターゲットなんだから、本来なら一番守らなきゃいけないはずだったのに。


「離せ、貧乳に抱きつかれても嬉しくないわい」


 博士も抵抗するけど、ムシャ子は博士を羽交い絞めにしたまま離れない。そしてだんだんと、彼女の姿がモヤーンとした淡い光に包まれだした。


「何か、姿が消えかけしぞ」


 ロロロの言う通り、光に包まれたムシャ子はだんだん姿が薄くなってる。そしてその光が、今度は博士も包みこむ。


「ドクター!」


 駆け寄ろうとするプリンちゃんを、博士自身が制する。


「案ずるなプリンちゃん。ワシは死ぬワケじゃない。研究のことは頼んだ」


 だいぶ姿が薄れて、電池が切れかけのデジタル時計みたいなボンヤリした姿になりながら、ムシャ子が告げる。


「賽河原メギド。今回の目的は果たせましたから撤退しますが、いずれあなたを消去しに戻ってくるでしょう。博士がバグ化したのも、元はといえばあなたの影響ですから――」


「ワシは死なぬぞ、この町にロリ巨乳を――」


 ふたりの姿が完全に消失する。博士が余計なことを叫んだせいで色々台無しだけど、去り際にムシャ子が言ってたことが気になる。


「俺の影響って何だよ。じゃあアレか、俺は周りの人たちに、存在するだけで影響与えてるのか」


 さっきまでムシャ子がいた空間に向かってツッコむと、別の角度から返事が来た。


「おそらくその通りです」


「……プリンちゃん?」

 さーて、次回の「三十路女が俺の嫁なら世界が敵でもババくさい」、略して「みそババ」は?

 長谷皮ですう。ムシャ子さんが博士を連れてどこかへ消えたのは、おそらく誘拐罪になると思いますよう。でもそれを言ったらロロロさんがしたことは傷害罪ですし、プリンさんに至っては存在そのものが銃刀法違反ですよねえ。

 次回、「一時解散」。ぜってえ読んでくださいねえ。

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