＃95「逃走拒否」
「博士が存在し続けることで、この世界に深刻な悪影響を及ぼすリスクが高まっています。それを消去するのが私の仕事です」
淡々と告げるムシャ子。俺の周りには見た目年齢と実年齢が合ってないロリババアがたくさんいるけど、彼女も同類みたいだ。
「博士が及ぼすリスクってことは、博士の研究に関係することか」
「あまり余計な詮索はしない方がいいですよ。あなた自身がバグになると、私の仕事が増えて面倒です」
心底イヤそうにムシャ子が告げる。バグが世界に影響することよりも、自分の仕事が増えるのがイヤなのがビッシビシ伝わってくる。
「メギドさん、ここは私とロロロさんで食い止めます。ドクターとその子を連れて安全な場所へ退避してください」
「わかった」
プリンちゃんの言う通り、ムシャ子の狙いは博士なんだから、博士さえこの場からいなくなれば戦闘そのものが成立しなくなる。
けど、ここで詰恋が思わぬ行動に出た。
「私は残ります」
「えっ」
この場で一番戦闘力が低いであろう詰恋が、まさかの逃げない宣言。いったいどういうつもりだ。
「ひょっとして、それも電波の指示？」
「違います。私の意思です」
キッパリと断言する。
「話の内容は正直よくわかりませんけど、この世界の根幹に関わっているのは感じます。そんな場にいて、自分だけ安全な場所に退避なんてできません。私はイヤだ」
「いや、その気持ちはわからなくもないけど、危ないからさあ。君にもしものことがあったら全国のファンが――」
俺が詰恋を説得しようと苦心してると、今度はロロロが横から口を出してきた。
「ええいやかましき。本人が逃げずに残りたし言わば、好きにさせればよきぞ。その度胸、いたくロロロの気に入りし」
「気に入ったからって、どうやって詰恋ちゃんを守るんだよ」
「それはメギドの仕事ぞ。ロロロは知らじ」
結局俺なのかあ。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「世界が幼女で悪魔が幼女で俺も幼女なら嫁いらない」は？
かるかじゃ。バグがどうこういうのは、吾にはよくわからぬのう。あとテレビの後ろで配線がごちゃごちゃ絡まっておるのもよくわからぬ。あれは何がどうなっておるのじゃ。
次回、「電波兵器」。ぜってえ読むがよいであろ！
