#94「世界修正」
「ターゲット以外の相手を消すと、後で報告しなきゃいけないんですよ。面倒ですから邪魔しないでください」
ロロロとプリンちゃんを易々と吹っ飛ばしたムシャ子は、うんざりした口調で言う。見た目はかわいいのに、全身を包む苦労人オーラが色々と台無しにしてる。
「がるる」
よっぽどイラ立ってるのか、歯をむいてうなるロロロをプリンちゃんがなだめる。
「落ち着いてください。後でアイスあげますから」
「菓子で釣られるロロロではなきぞ。アイスはもらいしが」
あっさり釣られてるロロロはさておき、このままじゃ収拾がつかないから、思い切って聞いてみた。
「そもそも、どうして博士を殺そうとするのさ」
すると、ムシャ子はなぜかキョトンとした顔で逆に聞いてくる。
「何を言っているのですか。私がいつ博士を殺すと言いました。消滅させると言っただけです」
「同じじゃない」
「全然違います。あなたは辞書を引いたことがないんですか」
なぜか呆れられてる。すっげえ納得いかないんだけど、ムシャ子はバカに諭すみたいな口調で告げる。
「博士はこの世界におけるバグなんです。私は世界からバグを取り除くのが仕事なんです」
やっとちゃんと説明してくれたけど、意味はやっぱりわからない。
「バグってわかりますか。ハンバーグじゃないですよ」
「わかるよそれくらい。どこまでバカだと思ってるんだよ」
一応ゲーム制作の仕事をしてるから、その程度の知識はある。
「要するに、博士のせいでこの世界にエラーが起きてるって言いたいのか」
「その通りです。こんな簡単な正解へ至るのにこんなに時間をかけるなんて、どこまでバカなんですかあなたは」
正解しても褒めてはくれないらしい。なんていうかもう、デレなしのツンだけを200%に濃縮されたのを飲まされてるみたいな心境だ。甘さが微粒子レベルにも感じられない。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「嫁が悪でも嫁が敵でも嫁が世界でも俺怖い」は?
かばねだよー。かばね、アイスすきー。アイスうまいー。でもほんとは、にんげんもっとうまいのー。
じかいー、「逃走拒否」。ぜってえ、よめー。




