#93「労働哀歌」
ロロロが放った火の玉をあっさり無力化したムシャ子は、ドヤ顔になるワケでもなく淡々とした様子を崩さない。やるべきことを普通にやってのけたって感じ。
「ぬう、思いしよりもこいつ強きぞ」
「そりゃどうも。褒めても謝礼とか出しませんよ」
ロロロが渋々ながら認める通り、今の一撃だって相手がセリエルならボディの半分以上焼け焦げていい感じに炭になってるくらいの破壊力だ。そんな攻撃を屋内でするなよとも思うけど。
「くっ」
憮然としたムシャ子に向けて、プリンちゃんが両腕のミサイルを発射。ムシャ子はよけようともしないで、虫でも散らすみたいに右手だけではたき落とす。当然ボッカンボッカン爆発が起こるんだけど、派手に巻きこまれてるのに傷ひとつない。
「終わりですか。抵抗がムダだって理解してくれましたか。お互い面倒なだけですから、こういうのやめてさっさと博士を消させてくださいよ」
「ほざけ!」
今度はロロロとプリンちゃんが同時に動く。ロロロが電撃を四方八方に乱れ打ちすると、さすがにムシャ子も両手で防ぐしかない。そこへプリンちゃんが内側から生えてきた新しい腕で、ガラ空きになった腹へ渾身のパンチを――
「はあ、面倒くさい」
世界が光った。
「うわあ!」
一瞬のフラッシュが終わって視線をロロロたちに戻すと、視界に入ったのはよくわからない光景。
ロロロとプリンちゃんは攻撃体勢のままで固まって、ふたりに触れることなくムシャ子が肩をすくめる。まるでムシャ子を中心に、球状のバリアーが展開されてるみたいな有様だ。
「ぬううう」
ロロロたちはさらに力を加えるけど、バリアーの内側へ攻撃が届いてる様子はナッシング。まるでカーテンにぐるぐる巻かれてるみたいだ。
「はあ、もういいですか」
ムシャ子が指を鳴らすと、直接触れてもないのに吹っ飛ばされるロロロとプリンちゃん。こりゃ、これまでの相手とはレェェェベルが違うぜ。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「俺が幼女の敵で嫁の敵で世界の敵で」は?
ロロロぞ。メギドの言いし通り、このムシャ子とかいう女が強きことは認めざるを得じ。こういうヤツをいかにしてボコりしか、ロロロ、ワクワクしてきしぞ。
次回、「世界修正」。ぜってえ読んでくれよぞ!




