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悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない  作者: 汐留ライス
Chapter 11『世界にはバグしかない』
92/143

#92「粛清計画」

 いきなり研究所の壁をぶち抜いて現れた、カブト虫ムシャ子と名乗る少女。どうやらこいつがお茶ポエム博士を殺そうとしてるらしいんだけど、ロロロとプリンちゃんが黙って殺させるはずがない。


「やいおまえ、カブト虫だかセミだか知らざれど、あまりナメた口きかば、糞尿やヘビと一緒にドラム缶入れて坂道の上からゴロゴロ転がせしぞ」


「おおむね同意しますロロロさん」


 いつの間にやら意思の疎通もできつつあるふたり。チェリーの時もそうだったけど、ガチで殺し合った同士だからわかり合えるものがあるのかもしれない。だとすると、いまだに仲の悪いセリエルがむしろ例外なんだろうな。


 それに対して、ムシャ子はビビるでもキレるでもなく、ただ荷物が増えたぐらいのローテンションで淡々とつぶやく。


「そっちのロボが妨害するのは想定内でしたが、あなたは誰ですか。仕事が増えて面倒だから下がっててください」


「下がるか阿呆。おまえのごとき腐りしミカンは、教育してやらねばいかぬようぞ」


 そう言って詠唱を始めるロロロ。駅前と違って周りに無関係な通行人がいないから、ロロロが本気で攻撃しても大丈夫そう。もちろん近所迷惑にならない範囲でだけど。


「はあ、下がってくれないんですね。みんなが私の仕事をムダに増やそうとするんです。プレミアムフライデーなんて絶対ウソですよね。あんなの寝ぼけた人が見間違えたんですよ」


 延々と愚痴りだすムシャ子。見た目はJCなのに、どうやらかなり苦労してる模様。勤め人の俺としては共感できる部分もあるけど、ここで同意しちゃうのはどうなんだろう。YESでいいのか?


「ならば永久に休ませてやらむ!」


 ロロロが叫びながら火の玉を放つ。直撃すれば後ろの壁ごと燃え尽きそうな一撃だけど、ムシャ子は無造作に突き出した左手で受け止める。


「はあ、こうやってムダな仕事ばっかりどんどん増えていくんです。だから裁量労働制には反対なんですよ」


 愚痴るムシャ子の眼前で、力を失った火の玉は雲散霧消。どうやらこいつ、ただのJCじゃないみたいだ。

 さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「悪魔なら怖くないでも嫁怖い」は?

 メギドです! 確かにプレミアムフライデーでホントに早く帰った人って、少なくとも俺の会社では見たことないね。都市伝説みたいなものなんじゃないかな。

 次回、「労働哀歌」。ぜってえ読んでくれよな!

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