#8「交換条件」
俺の熱をこめまくったネゴシエーションがうまくいったのか、最初は拒絶しまくってたロロロの態度も常温で放置したアイスみたいに軟化してきた。いやそこまでドロドロじゃない。
「ぬう、おまえの全身からとてつもなく邪悪な気を感じしぞ」
「イェーサンキュー」
「褒めておらぬ」
ロロロはなぜか呆れた顔で俺を見て、浮かんだまま腕を組む。ひとりで組むくらいなら、俺と組んでくれたらいいのに。
「ひとつ尋ねし。おまえ住まいどこか」
「東京だけど。えーとつまり、前は江戸だったとこ」
都心の勤め先までは満員電車で20分近く、駅の非常停止ボタンが無意味に押されたりして電車が遅延したらもっとかかるけど、それでも一応23区には入ってる。
俺の返答を聞いて、ロロロは腕を組んだままうーんうーんってうなりだしたから「お通じか?」って尋ねたらまた蹴られた。今度はカカト落とし気味に脳天へ入ったからさっきより痛いけど、この痛みもある意味気持ちいいかもしれない。
そんな感じで俺が新しい性癖をオープンさせてたら、ロロロが組んでた腕をほどいて俺を見た。
「よしわかった。おまえと結婚しようぞ」
「やったあ!」
喜び勇んでロロロに抱きつこうと両腕を伸ばしたら、あっさりよけられて腕は空を切る。
「ただし条件ある。夫婦は運命共同体ぞ。ロロロの夫なるなら、衣食住のみならずロロロの野望に全面協力することぞ。よいか?」
「もちろんもちろんイエスアイドゥー。ロロロのお役に立てるなら、ブラジャーからミサイルまで何でも揃えてみせちゃう」
まあ貧乳のロロロなら、ブラジャーどころかスポブラも必要ないだろうけど。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「のく」は?
ロロロぞ。「のく」って何ぞ。もはや意味わからざりし。そもそも何でも略すいう現代の風潮は(以下略)
次回、「盟約指輪」。ぜってえ読んでくれよぞ!