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悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない  作者: 汐留ライス
Chapter 9『渡る世間は鬼バトル』
79/143

#79「凄惨治療」

 ナンとかるかがやられまくったところで、切り札的に参戦したロロロがまさかのワンパン撃沈。


「ぬう、メギド蘇生させるのに魔力使いすぎしか」


 吹っ飛ばされてもサクッと起き上がって、冷静に自己分析するロロロ。ダメージは大したことなさそうに見えるけど、彼女の性格から考えるとただの強がりかもしれない。


 だから俺なんか放っといて、早く行けばよかったのに。今さらそう思ったところでトゥーレイト。


「そんなにロロロさんが心配なら、あなたも早く傷を治せばいい」


 ナンはそう言うと、湿布の上にチューブで何やらニュルニュルと絞り出す。


「それってまさか……」


 全部言うより先に、プンと広がるスパイシーなスメル。


「私が最近開発した、貼るタイプのカレーだ」


「意味がわからん」


 カレーが食べ物でも飲み物でも個人の自由だけど、せめて口から摂取してくれ。カレーを貼るだなんて言われても、黄魔術の研究が迷走したとしか思えない。


「かるかさん、彼が暴れないように押さえていてください」


「よしきた」


 俺は今から暴れるようなことをされるんだろうか。そんな不安はすぐに的中。


「えい」


 ナンはカレーを塗りたくった湿布を、あろうことか首筋の傷に直貼りしやがった。


「うっぎゃあ、かれええええ!」


 そんなとこに味覚があるはずないのに、凶悪なまでの辛さが伝わってきた。全身から汗がドバドバ湧き出て、常温なのにサウナみたいなことになってる異常事態。


「はがすなよ、今はがしたら死ぬぞ」


「はがさなくても死ぬ! 首周りが発火しちゃうって!」


 カプサイシン効果で地獄の熱さ。俺は女性に暴力ふるうのは最低だって思うけど、これで傷が治らなかったらナンのことグーで殴るぜ。


「お主も男なら少しは辛抱せい。ロロロも耐えておるのじゃぞ」


 かるかの言葉に耳をすますと、ロロロとかばねの戦闘はまだ続いてる模様。


「うー、おめいしつこいー。ざこのくせにー」


「誰が雑魚ぞ。あまりナメた口きくと、本気で殺せしぞ」


 防戦一方になりながらも、ロロロは反撃のチャンスを窺ってじっと耐えてる。それを知ったら、俺もガマンしないワケにはいかない。耐える方向性は全然違うけど。

 さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「魔界でもがく悪い女の敵が俺」は?

 キューティープリンセス1号です。唐辛子に含まれるカプサイシンには、新陳代謝を活性化する効果があるそうなので、傷の治療にも効果があると思われます。私には関係ありませんが。

 次回、「会心一撃」。ぜってえ読むべきです。

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