#79「凄惨治療」
ナンとかるかがやられまくったところで、切り札的に参戦したロロロがまさかのワンパン撃沈。
「ぬう、メギド蘇生させるのに魔力使いすぎしか」
吹っ飛ばされてもサクッと起き上がって、冷静に自己分析するロロロ。ダメージは大したことなさそうに見えるけど、彼女の性格から考えるとただの強がりかもしれない。
だから俺なんか放っといて、早く行けばよかったのに。今さらそう思ったところでトゥーレイト。
「そんなにロロロさんが心配なら、あなたも早く傷を治せばいい」
ナンはそう言うと、湿布の上にチューブで何やらニュルニュルと絞り出す。
「それってまさか……」
全部言うより先に、プンと広がるスパイシーなスメル。
「私が最近開発した、貼るタイプのカレーだ」
「意味がわからん」
カレーが食べ物でも飲み物でも個人の自由だけど、せめて口から摂取してくれ。カレーを貼るだなんて言われても、黄魔術の研究が迷走したとしか思えない。
「かるかさん、彼が暴れないように押さえていてください」
「よしきた」
俺は今から暴れるようなことをされるんだろうか。そんな不安はすぐに的中。
「えい」
ナンはカレーを塗りたくった湿布を、あろうことか首筋の傷に直貼りしやがった。
「うっぎゃあ、辛ええええ!」
そんなとこに味覚があるはずないのに、凶悪なまでの辛さが伝わってきた。全身から汗がドバドバ湧き出て、常温なのにサウナみたいなことになってる異常事態。
「はがすなよ、今はがしたら死ぬぞ」
「はがさなくても死ぬ! 首周りが発火しちゃうって!」
カプサイシン効果で地獄の熱さ。俺は女性に暴力ふるうのは最低だって思うけど、これで傷が治らなかったらナンのことグーで殴るぜ。
「お主も男なら少しは辛抱せい。ロロロも耐えておるのじゃぞ」
かるかの言葉に耳をすますと、ロロロとかばねの戦闘はまだ続いてる模様。
「うー、おめいしつこいー。ざこのくせにー」
「誰が雑魚ぞ。あまりナメた口きくと、本気で殺せしぞ」
防戦一方になりながらも、ロロロは反撃のチャンスを窺ってじっと耐えてる。それを知ったら、俺もガマンしないワケにはいかない。耐える方向性は全然違うけど。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「魔界でもがく悪い女の敵が俺」は?
キューティープリンセス1号です。唐辛子に含まれるカプサイシンには、新陳代謝を活性化する効果があるそうなので、傷の治療にも効果があると思われます。私には関係ありませんが。
次回、「会心一撃」。ぜってえ読むべきです。




