#74「探訪童女」
女の子は幼稚園児くらいだろうか。かるかよりもさらに幼い。こんな時刻にひとりで駅前をウロウロしてるのは、安物のカツラくらい明らかに不自然。
「む、メギドは何故稚児の存在にそうも易々と気付きしぞ。おまえの髪は稚児に反応せしアンテナか」
「ねえよそんな幼女アンテナ」
あったらちょっとほしいけど。
それはさておき、俺が話しかけたらそれこそ事案になりかねないから、ナンが代表して声をかける。
「君、どうしたんだ」
「わたいー?」
女の子が顔を上げる。和装だけどかるかほどビシッと整った衣装じゃなくて、盆踊りに着る浴衣みたいなラフな格好だ。
「わたいねー、ひとをさがしてるの」
「ほう、それはどんな人なのかな」
ナンの口調は、子供相手にしては妙に固い。普段から子供との交流があまりないみたいだ。ロロロやセリエル、かるかはみんな内面は大人のロリババアだからなあ。
「さいのかわらめぎどってひとー。このへんにすんでるんだってー」
「え、俺?」
まさか幼女から名指しで指名されるとは。こりゃガチのリアルで、俺の人生にロリモテ期が到来したのかもしれない。
女の子は俺の声に反応したのか、リアクションに困ってるナンをスルーして俺の方へ歩いてくる。某国民的アニメならポトポト足音のしそうな歩き方だ。
「おめいがめぎどー?」
「う、うん」
まっすぐな目で見つめられて、よこしまな欲望に満ち溢れた俺はちょっと動揺。けど女の子は、俺のそんな動揺も気にせずぐいぐい迫ってくる。
「わたいはかばねー」
「かばねちゃん? 変わった名前だね」
「かわってないよかばねだよー」
そう言うと、彼女はいきなりジャンプして俺の体に抱き付いてきた。ここは強調しておくけど、かばねの方から接触してきたんだからね。マジで。
「おい、何やらその稚児、様子がおかしきぞ」
ロロロが驚きの声を漏らす。俺も至近距離で見て初めて気付いたけど、かばねの顔は額のところがこんもりと盛り上がってる。
それはコブって言うよりも、むしろ角。
「わたいはめぎどってひとをねー。たべちゃうのー」
かばねはにへらと笑って、俺の首筋に噛み付いた。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「俺のながい」は?
かるかじゃ。ロロロの記憶は間違っておる。吾とロロロの対戦成績は、吾の617勝614敗18引き分けじゃ。トータルで勝っておるのは吾じゃからな!
次回、「悪鬼強襲」。ぜってえ読むがよいであろ!




