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悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない  作者: 汐留ライス
Chapter 9『渡る世間は鬼バトル』
73/143

#73「童女迷子」

「いや、今日は助かった。ありがとう」


 ナンに頭を下げられて、俺は笑って手を振る。


「別にいいってこれくらい。この面子でメシ食う機会なんてなかなかないから、俺も新鮮だったし」


 駅前からちょっと歩いたところにある居酒屋の店先。時刻は午後9時近くで、社会人にはこれから2次会って頃合いだけど、高校生のナンを連れ回すのはよろしくない。


 ナンは黄魔術の研究をするため、近所で話題のカレー屋さんとかをマメにチェックしてるらしいんだけど、そこで知ったのが今行ってきた居酒屋。ここで出すカレーがうまいって評判らしい。


 けど高校生がひとりで居酒屋に入るワケにもいかないし、彼女の両親も都合がつかないらしくて、手近にいてヒマそうな大人である俺に同行を頼んできたって次第。


 ロロロも連れて行くのは当然として、せっかくだから周りの面々にも声をかけたところ、たまたま信徒が残業でヒマだったかるかも同席することになった。


「まあ、肝心のカレーは今ひとつだったが」


 ナンの言う通り、ベロベロに酔っぱらってからシメで食べたらうまいのかもしれないけど、シラフで食べる分には牛丼屋のカレーとそんなに違わない。


「ロロロは不満ぞ。せっかく居酒屋来たりて、1杯も飲めぬとは何事ぞ」


「そうじゃそうじゃ。神酒みきの匂いだけ嗅がせて飲めぬなど、生殺しであろ」


「おまえらは、自分の見た目年齢を自覚しろよ……」


 見た目は小学生の2人にこんな目立つ場所で酒なんて飲ませたら、逮捕されるのは保護者の俺だ。


「よしかるか、うちに来い。数百年前にせし飲み較べの決着、今日こそつけてやりしぞ」


「望むところじゃ。あの時は酒蔵の酒が尽きて引き分けになったが、今宵はお主を酔い潰すまで帰らぬであろ」


「お願いだからやめてー! 酒蔵が尽きるまで飲まれたら、ロロロより先にうちの家計が潰れちゃうから!」


 どうにか穏便な部屋飲みでガマンしてもらうことにして、ナンを駅まで送ろうとした矢先。


「ん?」


 道に立って、キョロキョロ辺りを見回す女の子の姿。こんな時刻にひとりでウロウロしてるのは見るからに不自然だ。


「あれって、迷子かな?」

 さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「嫁が敵」は?

 ロロロぞ。昔かるかとはガチな殺し合いの他にも、酒の飲み較べや水中息止め、ワサビ寿司南蛮ルーレットなど色々勝負せし。トータルでは確かロロロの方が勝ちしはずぞ。

 次回、「探訪童女」。ぜってえ読んでくれよぞ!

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