#70「疾走深夜」
いつの間にか布団を抜け出したソドミが、俺の腰辺りに乗っかってる。間に毛布があるからフィジカルな接触はないものの、体重や太ももの触感はチリバツで伝わってくる。
「あの、ソドミさん。これはどういうつもりで……」
もちろん寝相が悪すぎてこんなポジショニングになったとは思えないけど、一応聞いてみる。返ってきたのは案の定そんな答えじゃなかった。
「お兄ちゃんが煮え切らないから、既成事実を作っちゃえば後に引けなくなると思って」
「煮え切らないも何も、かなりはっきり拒否ったと思うんだけど」
「それはロリコンとしてじゃない。個人として、あたしのことはどう思ってるのよ」
「……恋愛じゃなくて、家族的な意味では好きだよ、そりゃ」
世間には家庭内での不幸な事件なんかもいっぱいあって、家族が一番だなんて思考停止したまま絶賛するのは無責任だろうけど、俺個人に限って言えばソドミは一番近くにいたし、同じ部屋で寝起きもしてたんだから憎み合ってたら生活できない。
「あたしは恋愛的な意味で好きなの」
議論がループする。このままじゃ押しの強いソドミに強行突破されかねない。どうすりゃいいのさと思って、すがるようにロロロへ視線を移す。
「うーん、もうサラダ食べられなきぞー」
そんなベタな寝言、生まれて初めて聞いた。俺も夢に出るまでサラダを強要してたワケじゃないと思うんだけど。
「ロロロちゃんも寝てるし、このまま一線越えちゃおうか。あたし、まだ始まってないから大丈夫だよ?」
「いや絶対嘘だろそれ」
ロリコンとして一度は言われてみたいフレーズだけど、18にもなって本当にまだならお医者さんに相談した方がいい。
「えーい、もう強硬手段」
業を煮やしたソドミが、とうとう俺の毛布を引っぺがしにかかる。これで本当に一線越えちゃったら、家族的にもロリコン的にも、そして何よりロロロとの結婚生活にも深刻な不具合が発生するのは不可避。ピンチ、俺ピーンチ!
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「レバヤキ」は?
ソドミです! ついにお兄ちゃんがロリコン卒業! ロロロちゃんには悪いけど、しょうがないよねだって好きなんだもん。
次回、「決断深夜」。ぜってえ読んでちょうだいね!




