#69「緊迫一夜」
その後もソドミに迫られたりロロロに引かれたりしつつ、ようやく愛人になるのは諦めてもらえた。
「それはそれとして、今晩泊めてよ、ここに」
「そもそも、何しに東京まで来たんだよ」
「第一志望の大学で、明日オープンキャンパスやるの」
「だったら母さんにホテル代出してもらえば――」
ソドミの目が急速に泳ぎ始めた。100メートル自由形ならメダルを狙えるぐらいの猛スピード。どこの大会だよ。
「さては、出してもらったな?」
額から汗ダッラー。ここに泊まるって母さんが知ってたら、事前に連絡くらいあるはずだもんな。
「母さんに聞いてみよう」
「せいやあ!」
電話しようとスマホを持った俺の手を、ソドミが高速で正拳突き。窓に向かってすっ飛んだスマホは、ガラスを割る寸前でロロロがキャッチした。
「ホテル代をネコババして、どうするつもりだったんだよ」
「東京に来た記念に、秋葉原で薄い本とか買い漁ろうと思って」
「さすがはメギドの妹、互角の変態ぶりぞ」
ロロロは感心したように言うけど、そんな身内の性癖をさらされても恥ずかしいだけで嬉しくない。
「ネットで買えよそんなの」
「届いたブツを母さんや父さんに見つかったらどーするのよ!」
まあ普通に家族会議だろうね。俺だって今でこそ代理店かよってくらいエロいマンガやらゲームやら買い集めてるけど、実家にいるうちは間違えてもそんなことできなかったし。
俺のエロ遍歴はさておき、こんな夜中に現役JKを外に放り出すワケにもいかないから、ロロロとソドミが布団で、俺は隅っこの方で毛布にくるまって寝ることになった。
†
重みを感じて目が覚めた。
目を開ければまだ真っ暗。これはひょっとして金縛りか何かだろうか。この部屋に5年近く住んでるけど、今までそんなことなかったのに。なんて思った矢先。
「あ、起きた」
ソドミが俺の上にまたがってる。
さーて、次回の「悪魔幼女が俺の嫁なら世界が敵でも怖くない」、略して「オユメシ」は?
キューティープリンセス1号です。私は今のところドクターが作った唯一のメイドロボなので、妹はいません。もし妹ができたら、名前は「キューティープリンセス2号」がよいと思います。
次回、「疾走深夜」。ぜってえ読むべきです。




